来月、5月刊行予定の文庫新刊より、わたくし個人が気になる書目を7冊ピックアップしてみました。合わせて、今月刊行予定の中から選んだ3冊もご紹介いたします。
わたくしが主に関心を持っているのがノンフィクション系の本ということで、ここで選んでいる本はその月に刊行される本のごくごく、もひとつごくごく一部に過ぎません。なのでその他多くの、小説をはじめとする本についての情報をお知りになりたい向きにはほとんど参考にはならないことと存じます。どうぞ、本屋さんや出版社のホームページでもご確認していただければ幸いであります。
刊行データについては、書店向けに取次会社が発行している情報誌『日販速報』の4月14日号の付録である、5月刊行の文庫新刊ラインナップ一覧に準拠いたしました。発売日は首都圏基準ですので、地方では1~2日程度のタイムラグがあります。また、書名や発売予定は変更になることもあります。
『和食とはなにか 旨みの文化をさぐる』 (原田信男著、角川ソフィア文庫、24日発売)
「素材を活かし、旨みを引き出し、バランスのよい食文化が、いつどんな歴史のもとに生まれたのかを探り、その成り立ちの意外な背景を描く」とのこと。著者の原田さんは、これまで日本の食文化についての著作を数多く出しておられる方だけに、「旨み」から成り立つ和食の歴史がよくわかる一冊になっているのではないかと期待しております。
『語りあかそう』 (ナンシー関著、河出文庫、8日発売)
対象の人物を巧みに表現した消しゴム版画と、切れ味鋭い批評眼とユーモアを持つコラムとで、没後10年以上を経た今も多くの人から仰ぎ見られる存在であり続けているナンシー関さんが遺した対談集の中から、10本を精選して収録した一冊です。はたして、どなたとの対談が選び出されているのか、ファンとしては楽しみです。
『「科学者の楽園」をつくった男 大河内正敏と理化学研究所』 (宮田親平著、河出文庫、8日発売)
河出文庫からもう一冊を。仁科芳雄、朝永振一郎、湯川秀樹、寺田寅彦などの傑出した才能が集っていた「科学者の自由な楽園」理化学研究所の、栄光と苦難の歴史を描いたノンフィクションの復刊。目下、妙な形で取り沙汰されている理研を、その始まりからの歴史から捉え直してみることにも意味がありそうです。まだ未読の本でしたので、これはぜひ読んでみたいと思っています。
『大衆宣伝の神話 マルクスからヒトラーへのメディア史』 (佐藤卓己著、ちくま学芸文庫、8日発売)
メディアをめぐる歴史のオーソリティである著者が、祝祭、イラスト、漫画、シンボル、新聞、ラジオなどのメディアを幅広く分析しながら、政治宣伝の歴史を綴った本とのこと。それらの歴史が現代とも関わっているのだろうか、という点からも、ちょっと注目したい一冊ですね。
『万国奇人博覧館』 (G・ブクテル、J-C・カリエール著、守能信次訳、ちくま文庫、8日発売)
「戦闘で失った片足を国葬にした大統領」「実在が疑わしい人物の年代記を作りあげてしまった歴史家」「へそから麦を生やした農夫」などなどなどなど。常人には思いもつかないようなオドロキの人生を送った有名無名の人びとのエピソードを満載した大著にして奇書がついに文庫化!1996年に出た元本を大喜びしながら読んだわたくしとしては、大いにオススメしたい一冊なのであります。日本からは大屋政子さんなどが登場。
『塩の世界史 歴史を動かした小さな粒』上・下 (マーク・カーランスキー著、山本光伸訳、中公文庫、23日発売)
古代の製塩技術、各国の保存食、戦時の貿易封鎖とともに発達した製塩業、悪名高き塩税、ガンディー塩の行進•••。人間の生活に必要不可欠な存在として、時に歴史を動かす源ともなった塩の歴史を、先史時代から現代まで辿った大著。こちらもなかなか興味深そうで楽しみな一冊(あ、上・下だから二冊か)であります。
『デザイン思考が世界を変える イノベーションを導く新しい考え方』 (ティム・ブラウン著、千葉敏生訳、ハヤカワ文庫NF、10日発売)
人びとが気づいていないニーズを探り出し、飛躍的な発想で生活を豊かにするという思考が「デザイン思考」。組織に持続的なイノベーションをもたらすというデザイン思考の、現代における必要性を語った本。もしかしたら、ビジネス以外にも通ずるところがあるかもしれない、という意味でも注目したい一冊です。
そして、以下の3冊は今月刊行予定の中からセレクトいたしました。
『音楽史と音楽論』 (柴田南雄著、岩波現代文庫、4月16日発売)
日本を軸にして東洋音楽、西洋音楽の歴史を人類史とともに共時的に比較しながら、古代から現代までの音楽の変遷の歴史を辿った画期的な一冊。幅の広い視野から音楽史を捉えた内容のようで、面白そうであります。
『旧暦で日本を楽しむ』 (千葉望著、講談社+α文庫、4月21日発売)
奥の細道で芭蕉が聴き入った5月には蝉はいなかった?七夕はなぜ梅雨の真っ只中?赤穂浪士の吉良邸討ち入りは12月14日じゃなかった?などなど、意外な話から旧暦の面白さと、日本人が忘れかけているように見える暮らしの中の情緒を蘇らせる一冊。以前、千葉さんがNHKのラジオでやっておられた陰暦のお話も大変面白かったので、こちらもぜひ読んでみたいところです。
『インタヴューズ』1・2 (クリストファー・シルヴェスター著、新庄哲夫訳、文春学藝ライブラリー、4月10日発売)
マルクス、ヒトラー、スターリン、アル・カポネ、ジョン・F・ケネディ、マリリン・モンロー、ジョン・レノンなど、世界の歴史を動かした巨星たちへのインタヴューを完全収録。単行本が出ていたときにも欲しかったのですが、買うのを逸してしまっておりましたので、文庫化はまことにありがたい限りです。
わたくしが主に関心を持っているのがノンフィクション系の本ということで、ここで選んでいる本はその月に刊行される本のごくごく、もひとつごくごく一部に過ぎません。なのでその他多くの、小説をはじめとする本についての情報をお知りになりたい向きにはほとんど参考にはならないことと存じます。どうぞ、本屋さんや出版社のホームページでもご確認していただければ幸いであります。
刊行データについては、書店向けに取次会社が発行している情報誌『日販速報』の4月14日号の付録である、5月刊行の文庫新刊ラインナップ一覧に準拠いたしました。発売日は首都圏基準ですので、地方では1~2日程度のタイムラグがあります。また、書名や発売予定は変更になることもあります。
『和食とはなにか 旨みの文化をさぐる』 (原田信男著、角川ソフィア文庫、24日発売)
「素材を活かし、旨みを引き出し、バランスのよい食文化が、いつどんな歴史のもとに生まれたのかを探り、その成り立ちの意外な背景を描く」とのこと。著者の原田さんは、これまで日本の食文化についての著作を数多く出しておられる方だけに、「旨み」から成り立つ和食の歴史がよくわかる一冊になっているのではないかと期待しております。
『語りあかそう』 (ナンシー関著、河出文庫、8日発売)
対象の人物を巧みに表現した消しゴム版画と、切れ味鋭い批評眼とユーモアを持つコラムとで、没後10年以上を経た今も多くの人から仰ぎ見られる存在であり続けているナンシー関さんが遺した対談集の中から、10本を精選して収録した一冊です。はたして、どなたとの対談が選び出されているのか、ファンとしては楽しみです。
『「科学者の楽園」をつくった男 大河内正敏と理化学研究所』 (宮田親平著、河出文庫、8日発売)
河出文庫からもう一冊を。仁科芳雄、朝永振一郎、湯川秀樹、寺田寅彦などの傑出した才能が集っていた「科学者の自由な楽園」理化学研究所の、栄光と苦難の歴史を描いたノンフィクションの復刊。目下、妙な形で取り沙汰されている理研を、その始まりからの歴史から捉え直してみることにも意味がありそうです。まだ未読の本でしたので、これはぜひ読んでみたいと思っています。
『大衆宣伝の神話 マルクスからヒトラーへのメディア史』 (佐藤卓己著、ちくま学芸文庫、8日発売)
メディアをめぐる歴史のオーソリティである著者が、祝祭、イラスト、漫画、シンボル、新聞、ラジオなどのメディアを幅広く分析しながら、政治宣伝の歴史を綴った本とのこと。それらの歴史が現代とも関わっているのだろうか、という点からも、ちょっと注目したい一冊ですね。
『万国奇人博覧館』 (G・ブクテル、J-C・カリエール著、守能信次訳、ちくま文庫、8日発売)
「戦闘で失った片足を国葬にした大統領」「実在が疑わしい人物の年代記を作りあげてしまった歴史家」「へそから麦を生やした農夫」などなどなどなど。常人には思いもつかないようなオドロキの人生を送った有名無名の人びとのエピソードを満載した大著にして奇書がついに文庫化!1996年に出た元本を大喜びしながら読んだわたくしとしては、大いにオススメしたい一冊なのであります。日本からは大屋政子さんなどが登場。
『塩の世界史 歴史を動かした小さな粒』上・下 (マーク・カーランスキー著、山本光伸訳、中公文庫、23日発売)
古代の製塩技術、各国の保存食、戦時の貿易封鎖とともに発達した製塩業、悪名高き塩税、ガンディー塩の行進•••。人間の生活に必要不可欠な存在として、時に歴史を動かす源ともなった塩の歴史を、先史時代から現代まで辿った大著。こちらもなかなか興味深そうで楽しみな一冊(あ、上・下だから二冊か)であります。
『デザイン思考が世界を変える イノベーションを導く新しい考え方』 (ティム・ブラウン著、千葉敏生訳、ハヤカワ文庫NF、10日発売)
人びとが気づいていないニーズを探り出し、飛躍的な発想で生活を豊かにするという思考が「デザイン思考」。組織に持続的なイノベーションをもたらすというデザイン思考の、現代における必要性を語った本。もしかしたら、ビジネス以外にも通ずるところがあるかもしれない、という意味でも注目したい一冊です。
そして、以下の3冊は今月刊行予定の中からセレクトいたしました。
『音楽史と音楽論』 (柴田南雄著、岩波現代文庫、4月16日発売)
日本を軸にして東洋音楽、西洋音楽の歴史を人類史とともに共時的に比較しながら、古代から現代までの音楽の変遷の歴史を辿った画期的な一冊。幅の広い視野から音楽史を捉えた内容のようで、面白そうであります。
『旧暦で日本を楽しむ』 (千葉望著、講談社+α文庫、4月21日発売)
奥の細道で芭蕉が聴き入った5月には蝉はいなかった?七夕はなぜ梅雨の真っ只中?赤穂浪士の吉良邸討ち入りは12月14日じゃなかった?などなど、意外な話から旧暦の面白さと、日本人が忘れかけているように見える暮らしの中の情緒を蘇らせる一冊。以前、千葉さんがNHKのラジオでやっておられた陰暦のお話も大変面白かったので、こちらもぜひ読んでみたいところです。
『インタヴューズ』1・2 (クリストファー・シルヴェスター著、新庄哲夫訳、文春学藝ライブラリー、4月10日発売)
マルクス、ヒトラー、スターリン、アル・カポネ、ジョン・F・ケネディ、マリリン・モンロー、ジョン・レノンなど、世界の歴史を動かした巨星たちへのインタヴューを完全収録。単行本が出ていたときにも欲しかったのですが、買うのを逸してしまっておりましたので、文庫化はまことにありがたい限りです。