小松市は古い歴史の町だが、現在は
地上にブルドーザー工場、空に戦闘機が飛び交う自衛隊航空基地の町。
芭蕉が訪れた当時は北陸路の”しおらしい”町だった。
白山連峰が見え、安宅関にも近い。
町には秋の花・萩が咲き、ススキが揺れていた。
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「日本の古典11松尾芭蕉」 山本健吉 世界文化社 1975年発行
「しほらしき名」とは小松という地名をいったので、
昔の小松引きの行事なども連想されて、いかにもしおらしい名だ、といったのである。
「小吹吹萩すすき」の「吹」は小松にも萩すすきにもかかる。
小松は地名であると同時に実際そこに生えている姫小松でもあり、
小松を吹く風が同じくしおらしいさまの萩やすすきにも吹き渡るといったのである。
多分、亭前に萩やすすきがあったのであろう。
主が古風な連歌の人だから、ここでは小松とか萩、すすきとかみやびやかな景物を詠みこんで、
時に応じた挨拶句に仕立てたのだ。
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旅の場所・石川県小松市材木町
旅の日・2020年1月28日
書名・奥の細道
原作者・松尾芭蕉
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「超訳芭蕉百句」 嵐山光三郎 筑摩書房 2022年発行
小松は加賀藩三代藩主前田利常の隠居城があった城下町で、海沿いには安宅の関跡がある。
弁慶と義経の歌舞伎十八番 「勧進帳」の舞台である。
小松に着いた芭蕉は、
しほらしき名や小松吹萩すすき
と、小松の地名をほめている。
芭蕉が歩く小道に萩の花が咲いていた。
それが小松という地名と二重になって、すずやかな風が吹いてくる。
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