TOMATOの手帖

日々の生活の中で出会う滑稽なこと、葛藤、違和感、喪失感……などをとりとめもなく綴っていけたらと思っています。

お役所言葉

2018年06月04日 | インポート
役所には特有の言葉がある。
長男を保育園に預けたときのことだ。
説明会があり、園長先生が園での生活について話し始めた。
「『ごすい』は、1時半からになっております」。
「ごすい?」聞き慣れない言葉だった。
とっさに頭の中で漢字変換することができない。
誰も質問しないので、わざわざ手をあげて聞くようなことでもないのかもしれないと、黙っていた。
説明会が終わり、出口に向かって歩いていると、廊下に面した部屋に掛けられた札に目が留まった。
「午睡室」――。ごすいとは、昼寝のことだったのだ。
文字で追えば想像がつく。
しかしお母さんたちに説明するのに、「おひるね」と言わないだろうか。
公立の保育園である。役所としての権威を見せたかったのだろうか。
説明会のはじまりに、保育園で預かることを措置、とさらりと言ってのけたのにも違和感が残った。
卒園式はあったが、幼稚園ではないので卒園証書は発行されず、
代わりに『よい子のしるし』というのをいただいた。
手作り感があふれた温かみのある式で、感慨深いものがあったが、
制度の違いとか、壁、みたいな事情が見え隠れした。

あれから四半世紀。
今では保育園の数が足らず(正確には保育士の数が足りないようだが)、
「保活」などといって、預けるのにもそうとうな苦労があるらしい。
ゼロ歳児枠に余裕があると聞けば、そのために出産の日を調整したりもするそうだ。
もはや、言葉遣いなんかにこだわっている場合ではないのかもしれない。


コメント
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