TOMATOの手帖

日々の生活の中で出会う滑稽なこと、葛藤、違和感、喪失感……などをとりとめもなく綴っていけたらと思っています。

1週間

2024年04月04日 | エッセイ
4月1日。辞令を受け取る。
月・火・水の、週3日勤務である。
ぎりぎりまで勤務先が決まらない役所の常としてやきもきとすることもあったが、結局、今までと同じ職場の、別の部署に席を作っていただいた。
20年近く前に、常勤職員として在籍していた部署である。
まずは朝いちばんに、このたび異動してきた職員といっしょに前に並んでご挨拶。
「お世話になりました」と、同じ場所でお別れの挨拶をしたのが、ほんの2週間ほど前。
それを思うとかなり気恥ずかしい。
これでお別れとばかりに、”お餞別”までいただいているので気まずくもある。

3月までは、感染症が起きるたびにバタバタと煽られたが、このたび配属になった部署は庶務課なので、比較的落ち着いてルーチンワークにいそしむことができるかもしれない。

さらに職責が軽くなるというのは、実に気が楽であるということにも気がついた。
新年度のフォルダのラベル張り、郵便物の仕分けと配布、レジ、マニュアルの校正作業など、こうした単純作業がわたしは好きなのである。

まわりからは、引退した高齢女性がお手伝いに来ているような感じに見られているかもしれないが、職場も変わらず、(よくも悪くも)顔見知りも多く、事務用品の保存場所ひとつとっても知っていることも多いので、自分ではあまり立場が変わったという自覚がない。
通勤電車の中で、見慣れた顔ぶれを眺め、今までと同じ庁舎に足を踏み入れると、退職したということ自体、ぴんとこない。
3月までいた部署から、引継ぎ事項について質問なんかされると、まだお役にたてることがあるようで、ほのかにうれしい。

とはいえ、20年も経つと、業務のやりかたも進化しており、最初から覚えなくてはいけないことのほうが断然多い。
さらに、いったん退職すると、職員番号からなにからすべてがご破算になる。
そのため、パソコンの設定や通勤手当の申請まで、初めからやり直さなくてはならない。
1年間も身がもつかどうか早くも不安になるほど、1日が終わるとヘロヘロであった。

そして最初の1週間、月火水がやっと終わった。
有給休暇をとらなくても、木曜日と金曜日に出勤しなくてもいいというのは、思いのほか、解放感でいっぱいである。
例えて言えば、土日が2度続けてやってくる感じである。
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2 コメント

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Unknown (しろ猫)
2024-04-04 14:51:53
こんにちは
滑り出し快調のようで良かったですね。
ある程度生活に負荷がかかった方が気合いが入るかも知れませんね。
あとは健康に留意しつつ仕事を楽しんで下さい。
くれぐれも無理はなさらぬように・・。
しろ猫
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Unknown (TOMATO)
2024-04-04 19:00:00
しろ猫さん、いつもありがとうございます。

そうですね。職員の名前や職場の決まり事みたいなものを知っているということは、新しい仕事を覚えることに専念できるということですね。
週2,3日は、出かける先があったほうがメリハリがつくかもしれません。
「来てもらってよかった」と思ってほしくて、つい根詰めて張り切り過ぎた3日間でもありました。
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