箕面の森の小さなできごと&四季の風景 *みのおハイキングガイド 

明治の森・箕面国定公園の散策日誌から
みのおの山々を歩き始めて三千余回、季節の小さな風景を綴ってます 頑爺<肇&K>

高山の村里にて・・・

2009-02-09 | *編集・冬/2月

高山の村里にて・・・

 

 

箕面最高峰と言われる明ケ田尾山(619.9m)山頂から、岩場の谷間を

抜けて高山(大阪府豊能郡豊能町高山)の村に着いたのは、丁度

お昼頃でした・・・

かのキリシタン大名・高山右近(高槻城主)の生誕地と掘られた石碑の

前で一休みです・・・

この村落で、余り人を見かけたことがなく、少し寂れた感じがします

が、田舎の風情が大好きな私にとってはそれも落ち着きます。

 

高山公民館前から府道を少し北へ、すぐに東に折れて田んぼ道を行く

、村の鎮守の森  住吉神社にでます。

私は故郷の信州・安曇野の寺所神社を思い出して、いつも高山に来る

と立ち寄るのです。

欝蒼と聳え立つスギの大木に囲まれるように、小さなお社が建って

います・・・

長い年月を経てきたお社が、静かに村を見守っているようです。

 

その前に広がる棚田は、季節が来ると素晴らしくも懐かしい光景と

化しますが、今は昨秋に刈り取られた稲株が残っているだけです。

しかしよく見ると、所々で野菜畑が作られているようです。

時折冷たい風が吹き抜けていきます・・・ 

神社の溜まり水には薄く氷が張っています。

私は細い畦道を通りながら、棚田の周りを巡るように上方へ向います。

その先は山の中へ続いているものの、入れそうにありません・・・

山裾の木蔭に入ると更に寒くなり、足元には残雪があり、冷たい風に

当っていると顔がこわばり、耳たぶはもう感覚がありません・・・ 

 寒い!

 

棚田の一番上にでて西の下方を見渡すと、実に絵になるいい眺め

です。

ここには遮る物がなく太陽が燦々と降り注いでいます・・・  

田畑の水溜りに氷が張っていてキラキラと輝いています・・・

ゾクゾクとする寒さの中に、ここだけは温かい!   

私も思わず帽子をとって頭皮に太陽の恵みを当ててやります (笑)  

でも一分ももちません・・・ 冷たい!

 

ここまでまだ誰一人として住民を見ていないのが不思議な感覚です。

ぐるりと回って再び神社に下りてきた時でした・・・

田舎のベンツ(軽トラック)が前からやってきました・・・  

どうやら畑を耕しにきた村の老人です。

・  こんにちわ!

   *  ああ~  どこからきなすった・・・? 

(少し疑いのまなざしです)

・  私は箕面市内ですが、いまあの山から下りてきた所です・・・

   *  歩いてきなすったか?

・  エエ~  新稲から登り、六箇山-堂屋敷山-鉢伏山から梅ケ谷に

   下り、また明ケ田尾山へ登って、いま下ってきた所です・・・  

   3時間半ぐらいかかりました・・・

   *  そりゃすごいな・・・  また歩いて帰るのかい?

・  はい!  帰りは別の道を3時間ぐらいで帰れます・・・  

   この高山が私の故郷に似ていて好きなんで、時々歩かせて

   もらってます・・・

   *  そうですかいな・・・(やっと疑いがはれたようです・・・)  

       なんぼでも歩いてくださいな・・・ 

       もうなんにもあらしません・・・  

       すっかり寂れてな・・・

       店も一軒もないし、小学校も何年も前に廃校になってな・・・  

       賑やかな頃は生徒が40人ぐらいおったが、数人になって

       しもうて仕方ないな・・・  今も数人いて、マイクロバスで

       止々呂美の方へ通ってますわ・・・  

       ところがな、最近そんな子に、どこからきたのか?  

       車で送ってやるから・・・ と、誘う若者がいるそうでな・・・

       そんで心配してまんねん。

(お孫さんでもおられるのだろうか?  私はうなずきながらそんな

おじいさんのお話を聞いていました・・・)

 

   *  この神社でな・・・  大きな洗い石が盗られましてな・・・

       こんな所で物騒ですわ・・・ 

       多分重機を持って盗みにきたんやろな・・・  

       ところがな・・・  何ケ月したらあの隅の方へ戻してあった

       んや・・・  多分、何かバチが当たってあわてて返しに

       きたんやな・・・  

       重すぎてそのままにしてまんねんけどな・・・

       バチあたりなこっちゃ!

 

・  この辺はイノシシが多いんですか?

   *  多いな!  しゃあさかいな、こんな電線を畑の周りに張らな

       いけしませんね・・・ そんでも、時々新人? のイノシシが

       な、知らんと突っ込みまんねんで・・・ 

       そんでもビックリして一度痛い目にあると次からはきません

       わ・・・

           (新人の鹿とは面白い!)

       やっかいなんわ、鹿でんな・・・  シカは飛び越えて入って

       きよるさかいな・・・  昼間でも時々近くで見まっせ!  

       年に4回程電池交換せないかんけど、背に腹は変えられま

       へんな・・・

   

   *  ワシも若い頃、一時サラリーマンやってましてな・・・  

       この府道ができるまでは、下の街へ出るのに大変でした

       わ!  

       今やったら箕面の駅前までで30分もかからんで行けます

       やろ・・・   

       便利になったんやが、それでも村の若もんはもうみんな

       街へ出て行ってしまいますわ・・・

       冬は寒いしな、店はないし、バスも一日数本やさかいな・・・ 

       もうワシらの世代でおしまいやな・・・

 

私は村の鎮守の森の前でとつとつと話すおじいさんの話を聞き

ながら、時代の変遷を垣間見ていました。

・  そうですか・・・ でも私はこの村が好きですよ・・・ 

   素朴で温かくて、いつも故郷を思い起こしています・・・  

   また立ち寄ります・・・  

   どうぞお元気で!

   *  おおきにな・・・  また来てくださいな・・・  さいなら!

 

あの山の向こうとこっちでは、そんなにも全てが違うものなのか・・・?

改めて地域格差を実感しました。

帰路、私はあのおじいさんと立場を代わりたいな・・・ と、真剣に考え

ほどです。

こんな自然に囲まれて穏やかに暮らす老後がいいな・・・  

実は静かに夢見ているのですが・・・

 

最も、誰一人として賛成してくれる家族はいそうにありませんがね・・・

ト ホ ホ ! です。   (笑)

 

 

09-2-8  (完)

 

 


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