箕面の森の小さなできごと&四季の風景 *みのおハイキングガイド 

明治の森・箕面国定公園の散策日誌から
みのおの山々を歩き始めて三千余回、季節の小さな風景を綴ってます 頑爺<肇&K>

春の嵐痕とアカマツ!

2009-02-20 | *編集・冬/2月

春の嵐痕とアカマツ!

 

 

この一週間は雨ばかりでうっとうしいお天気でした・・・

今日は久しぶりの晴れ間に早速、箕面の森に向かいました。

 

近くの新稲の里から小川口に入り、イノシシ防止用の金網扉を開けて

森の中へ入ります。  

いつもここへ入るときは動物園に入るような感じで少し緊張しますが、

森に一歩入ってしまうと、すぐにそんな事も忘れてしまいます・・・

しかし今朝は、登る山道沿いのあちこちに穴が掘られています・・・  

どうやら雨上がりでぬかるんだ山土を掘り返しては、エサのミミズを

探していたらしくイノシシの痕跡が見受けられます・・・

今頃は近くの森の中で寝ていることでしょうが・・・

 

湿気を帯びた山道を更に登っていくと、急に目の前に大きな枯れ松が

一本、 ド~ン と倒れて、道をふさいでいるではありませんか・・・

見れば横には、途中から折れたばかりのような太い幹が残って

います。  

今朝にでも倒れたかのようです。

 

ここから六箇山、松尾山周辺にはアカマツの木が多くあり、その

三分の一程度が枯れた状態で立っています。

マツクイムシの影響か?  それとも手入れされないで放置されて

枯れてきたのか?

複合的な原因があるのでしょうが、立派な松の木を見上げいると、

すでに枯れている木が多くあり残念です。

そんな枯れ松が年月と共に朽ち果て、立っておれなくなってやがて

倒れていくのですが、なにぶん10数メートルの高さのある木が、

昼間にでも倒れてきたら大変です。

そんな事を思いながら更に登っていくと、また一本同じように倒れて

道をふさいでいます・・・  

またかと思いながら、その木をまたいで通りました。

 

そして更に衝撃を受けたのは・・・

憩いの丘に到着すると、その遊具の横のベンチの上に大きな

アカマツの枯れ木が根元から折れ、ド~ン と上に覆い被さって倒れて

いるではありませんか・・・

子供さん連れを余り見かけないところですが、ハイカーの方が時々

お弁当を広げていますから、その倒れている光景には ゾッ! とする

ものがありました。

このところ春の嵐が時折襲い、その雨風が吹き荒れる事があったの

で、遂に力尽きた枯れ木が倒れたものと推測します。

それにしても人的被害がなくてよかったです・・・

 

12世紀後半の歌人 鴨長明が、1310年の「夫木和歌集」に 

「箕面の山の松」 を歌っている個所がありますね・・・

「 みのおやま 雲かけつくる峰の庵 松のひびきも手枕のした 」 

と。

当時の箕面の山には松が多かったことが伺えます。

今、箕面ビジターセンターから箕面川ダム湖に向かう途中に、

この記念の為と、大きな石にその歌を彫って建てた石碑が建って

いますが、ご存知ですか・・・?

 

遡って戦争前の1900年代前半には、

「箕面山はマツタケ狩りの有名な観光地」 だったとする記録もあり、

昔からアカマツ林が多かったことが分かります。

考えてみれば、アカマツは油分が多く、薪として利用され、杭や建築材

して湿気に強い成分から日本では耐久材として利用されてきました

ね・・・

しかし、戦後は化石燃料化(石炭、石油、天然ガスなど)や鉄材、

コンクリート、プラスチック材などの影響により、木材としてのアカマツ

その利用が薄れてきました。

従ってその手入れもされずに放置されてきて、箕面のアカマツも次々と

枯れ、朽ちて今日の姿を見るようにある日突然に倒れていくのです

ね・・・

 

そんな事を思うと 「みのお里山ふれあいプラットフォーム」 など

市民ボランテイアのみなさん方が、例えば六箇山山頂付近の欝蒼とし

森の下草刈りをし、間伐をして、林床に陽光が届くように森の整備

作業をされ、常に手入れをされている姿にはいつも頭が下がります・・・

しかし、今でも箕面の山の尾根筋などの岩がゴロゴロしている所で、

他の樹木が生育できそうにない悪環境の所でも、しっかりと根を下ろし

生きているアカマツもあり、そんな木を目にすると、ホッ! とする

ものがあります・・・

今日歩いたこの周辺はまったくの手付かずの状態ですから、しばらく

枯れ松の倒木によく注意して歩かねばなりませんね。

 

それにしても季節の移り目の森には緊張します・・・

この春の嵐痕など見ていると、猛威を振るう自然の力の前には、人間

なす術もない無力さを感じますが、それを招いてきたのもまた人間

身勝手である事も忘れられません・・・

 

かつての 「マツタケ狩りの箕面山」 を取り戻す事は容易ではありま

せん。

いつぞや私が教学の森の松林を歩いていると、一瞬 マツタケの香り

かぎ、そのとたん血眼になって(笑)、 その周辺を探し回った事が

ありました・・・

見つからなかったけれど、あの鼻腔をくすぐる香りは忘れられま

せん・・・

 

この秋にもう一度こっそりと探してみようかな・・・ (笑)  

 

 

09-2-28 (完)


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