野鳥の水場に !?
今日は二月中旬というのに20℃以上とか・・・ 異常ですね!
いつもの冬支度で出かけてきたので、山を登りだすともう汗だくに
なってしまいました。
先週の凍えるような寒さを思うと、一気に初夏の感じがします。
(* 最もこの2日後に同じ所で小雪が降っていたので、寒暖の差が
激しい季節ですが・・・)
外院の里に入ると地面から立ち上がる陽炎(かげろう)を感じ、遠方の
あたごの森が少しかすんで見えます。
農業池では釣り人がノンビリと糸を垂れています・・・
黄色いタンポポの花が、春近しの槌音を聞かせてくれるようです。
勝尾寺へ向う旧参道へ入ると、前夜の雨のせいで落葉の間から山土
の泥が浮きだし、狭い山道はまるで解けたチョコレートのようで歩き
にくく・・・ といっても昼頃には乾くのでしょうが、しばし下ばかり見て
歩かねばなりませんでした。
ふっと見上げるとメジロが目にとまりました・・・
そして遠くでウグイスの鳴き声も聞えてきました・・・まだ練習中のよう
で、その完全でない初々しさが余計に嬉しく感じられます。
第二ベンチのある所で一休みをしていて、ふっと横を見ると最近作ら
れたばかりのような野鳥の水場が目にとまりました・・・
覗いてみると、切り株の上に半割した竹を逆さに固定し、竹の節を
境にして右に水を、左に餌となるアワやヒエなどが入っています。
しばらく見ているとシジュウガラがやって来てとまり、ノドを潤して
います。
これはいつ、どなたが、ここへ設置されたのかは知りませんが・・・
この付近はいつも小鳥が多くいて、私はそのバードコンサートを楽しみ
にしている所です。
第三ベンチのある所を経てしばらく登ると尾根道にでてホッとすると、
右手に小高い丘が見えるのでここでまた一休みにします。
久しぶりに登ってみるといつになく小鳥が飛び交っています・・・
見るとヤマガラが多く飛んでいます。 どうしたのかな?
周りを見てみると松の木の根元に石と土で組んだ鳥用の小さな水場が
あります・・・
更に新しい巣箱も取り付けられています・・・ 半割丸太のベンチが
あり、その付近に「山頂 鳥の水場用 水・・」と書かれた大きな
ポリタンクと箱、それに水の入ったペットボトルが何本かありました・・・
これをみんな担いでもってきたのでしょうか?
ひょっとすると先程の竹の水場を作った人と同じ方なのかな?
と言う事は、鳥の餌も毎日蒔きに来られているのでしょうか?
とすると・・・ 私が登ってきたので、また餌がもらえると学習した鳥たち
が、集まってきていたのかもしれませんね?
私は山頂に座り、温かい太陽の日差しを浴びながら、小鳥達の戯れを
身近で垣間見る事ができました・・・ しかし街のスズメに似て、余り
にも人に慣れている様子に何か変? 私の変? は、そこに自然
の姿を見るのではなく、自己満足的なもの・・・?
いつも私が感じる自然からの感動と、少し何かが違う思いがして、
その疑問符を消す事ができませんでした。
この自然の森の中で、鳥に水や餌が果たして必要なのかな・・・?
ご自宅の庭で餌付けをし、趣味として楽しまれるのはいいと思うのです
が・・・?
かつて私は旅の合間にシンガポール、バリ、オーストラリア、デンマーク、
USA・・・ などの野鳥園へ行ったことがあります・・・
しかし、不思議と人間に関与された施設の中で飛び交う鳥たちに、
自然の感動を味わう事はできませんでした・・・
動物園とて同じですね。
人間が自然の中で、どこまでその生き物や生態に手を入れていいもの
なのか・・・? 今日も考えさせられました。
しかし逆に人間が鳥に協力してもらう為に、餌を与えながら森の再生を
計るということもしてきたようですよ・・・
江戸前期の陽明学者の熊沢蕃山と言う人が、
「山に鳥を呼べば緑が育つ・・・」 旨、を書いていて・・・
それによって多くの禿山に森を育てたと言う事です・・・
そのやり方とは・・・
荒れて禿山となった所に鳥の餌となるアワやヒエなどの雑穀を撒く・・・
するとすぐに鳥たちがやってくる・・・ 荒地の枯れ木や枝、枯れ葉、
倒木、岩場の間などに落ちた小さな餌を探して食べている間に糞を
する・・・ まずそのフンが貴重な肥料となる・・・
次いで鳥たちはそのフンの中に未消化の木の実も混じっているので、
肥料付きの実を落とすことになり発芽しやすく、すぐに木は成長して
いく・・・
そんな繰り返しの中でいつしか立派な雑木林が自然と広がっていく・・・
するとそこには昆虫が住み、木の実がなるので鳥は益々増えて、
やがて動物もくるようになると、更にフンの肥料も増えるし微生物も
増えていく、命の循環が始まりいい森になっていくという・・・
こんな具合だそうです。
でも自然豊かな箕面の森の鳥たちに、その役目を頼むのはまだまだ
先のことのように思います。
茶園谷に入ると珍しく小さな谷川に水が流れています・・・
前夜の雨が相当降った様子です。
私が樹齢100年近い杉木立を見上げていると、初めて聞く鳥の
さえずりが聞かれました・・・
なんとも優しい表現のしようのない鳴き声です・・・
しばらく見上げていると急に・・・
* 何がいるんですの・・・? との声。
見ると、二人連れの女性ハイカーの方も同じように見上げています・・・
・ すいません! ボクにも分からないんです・・・
でもきれいな鳴き声ですね!
* そうですね・・・ いいわね! さっきもこの先で今年初めて
のウグイスの鳴き声を聞いたところなんですのよ・・・
きれいだったわね・・・
(お隣の方がうなずきながら・・・)
* 感動だったわね! 本当に箕面っていいのね!
自然ってすばらしいわ・・・ じゃお先です・・・
と、言いながら去っていかれました。
そうなんです!
この一瞬の予期せぬ感動が随所にあるので、私は箕面の森を歩くの
がやめられないんです! (笑)
09-2-15 (完)