箕面の森の小さなできごと&四季の風景 *みのおハイキングガイド 

明治の森・箕面国定公園の散策日誌から
みのおの山々を歩き始めて三千余回、季節の小さな風景を綴ってます 頑爺<肇&K>

親子三代の間伐!

2009-02-14 | *編集・冬/2月

親子三代の間伐!

 

 

今日(11日)は建国記念日の休日と言う事もあり、立ち寄った

箕面ビジターセンターの駐車場もいつになく満車でした・・・

自然2号路、3号路が今改修工事中の為に通行が制限されていますが

、山道を歩きやすいように整備してくれている事は、行政の予算難の

時代に、有り難い事です。

 

3号路から山伏の修験道に入り上っていくと、後から次々とハイカーの

方々がこられます・・・  

いずれも中高年の二人連れ、五人連れ、そして十数人のパーテイなどで

、みなさんはお喋りに夢中で賑やかな森です・・・

私は後ろからせっつかれるのが苦手なので、ましてドンカメと呼ぶ位に

鈍なカメ歩きですから、後方にハイカーの人影を見るといつも一休みに

して過ぎ去るのを待つことにしています・・・  

今日はその一休みの多いこと・・・ (笑)

今日のコース選択を間違えたかな? と、少し後悔していたのに、やがて

ピタリと誰も来なくなり、シ~ンとした穏やかな冬の森に戻りました。

 

耳を澄ませば鳥たちが楽しそうに飛び回っています・・・ 

(古くなった自分の頭では、いまだに鳴き声と名前が一致せず、諦めて

とっくに覚えるのを止めてしまいましたが、文章に表現できないのが少し

悔しい思いです) (笑)。

冷たい風が吹くたびに木立が大きく揺れて、私はその都度帽子を深く

かぶり、襟を立てて寒さをしのぎます・・・ 

冷たい風!  

でもこの凛とした冬の森は大好きです。

植物も、動物も、昆虫も、鳥たちも・・・ 森で生きるものたちが、じっと

厳しい寒さに耐えながらも生きている姿には、感動さえ覚えるのです。

 

山の中腹まで上ると、丸太を半割にして作った木のベンチがあり、休憩

できる所があるので、私はここでいつも一休みにします。

この周辺の木に何枚かの表示物がかかっています・・・ 何かな?  

近づいてみると・・・

「無断伐採禁止・・・ ここは国有林です。 

無断で木を伐採すると違法行為で処分されます。 

既に警察に通報してあります。 

無断で木を伐採している所を見かけられた方は、最寄の森林管理署、

森林事務所、警察署に通報を願います・・・」 の旨。

 

確かに周辺を見ると、切り倒されたヒノキやスギの木などが積み上げて

あり・・・ 更に、7~8本のヒノキが私の腰あたりの高さでカットされて

います。

つまりノコギリで幹をグルリと全て切り込んでいて、給水の役目を果たす

樹皮が分断されているので、枯れ果てるのはもう時間の問題です。   

なぜ?  誰が?  個人が勝手にやったのかな?

そんなことを考えながら再度冷静に周りを見てみると、どうやら無造作に

やっているのでなく計画性があり、ここを切り開いて見晴らしのいい

休憩場にしたい為・・・?

それに山道沿いの歩くのに障害となる危ない木や、込み合っている

樹木の間伐をしているような気がしました。

やっておられる方のお気持ちは分からないわけではありませんが、

何しろここは国有林ですから、許可のない伐採はやはり違法と言わねば

なりませんね・・・

 

天上ケ岳周辺の西斜面には、国によって伐採されたスギの間伐材が

切り倒されたままに放置されているのが見えます。  

森が開けて明るくなり、気持ちのいい散策が楽しめますが、一方で立派

に育ったおびただしい数の大きな杉の倒木を見るたびに、何か

活用方法はないものなのか?  

儲からないと言う事で、なんでもかんでも経済性至上主義の世の中に

なってしまうと思うと、つい悲しくなってしまいます。

 

天上ケ岳(499.2m)の役の行者像に参拝の後、堂屋敷跡から北への

尾根筋を通り堂屋敷山(553.4m)へ向かう途中のことです・・・

先のほうで コン コン コン・・・ バサ~ バサ~! の音・・・  

どうやら森の中で誰かが何かをしている様子です・・・  

ゆっくりと近づいていくと、急に上方から バサ っ とスギの小枝が落ち

きました・・・  

ビックリして上を見上げると一人のおじいさんと目が合いました・・・  

みるとナタを片手にスギの枝払いをしている所でした・・・  

樵(きこり)だ!?

(きこりなんて言葉は今どき 死語に近いのに、なぜか瞬間的に頭を巡り

、後で自分の古い頭を笑いましたが・・・)

 

   *  やあ~  いま何時ですか?

・  今ですか?  (私は時計を見ながら・・・)  

   いま12時5分前ですよ・・・

   *  もう昼か・・・ 

(そういいながら木の上から下りてこられました・・・)

   *  あんた!  一人で歩いてまんのんか?

・  ええ!  いつも一人です・・・ 人と歩くと気を使うし、それに山の中

   ぐらい自分の気持ちに沿って自由気ままに歩きたいものですから!

   *  分かる 分かる・・・! そりゃええこっちゃ! 

      それが一番やな・・

・  枝払いですか・・・  しかし大変なお仕事ですね!

   *  いやいや これやっとかんとな、節ばっかりなって売れんように

      なるさかいな・・・  何しろこの木を出荷するまで親子三代

      かかりますさかいな・・・ 大きな声では言えんけどな、細い木で

      50年以下のは安い建売り用やな・・・   本建築物やと、

      100年以上育てんとあきまへんのや・・・

・  それはまた気の長い話ですね・・・

   *  しゃあさかいな、もう今どき誰もやらしまへんがな・・・  

      東南アジアからごっつい安い材木がドンドン入ってきよる

      からな・・・  

      この辺の山持ちももう誰もやらへんから荒れ放題やな・・・  

      下草刈ったり、間伐したり手入れせんと山はすぐに荒れてしま

      うさかいな・・・

・  私の夢の一つに、小さくていいから自分の山が一つ欲しいな~ と、

   思っていたんですが、それを聞くと大変なんですね・・・(笑)  

   私のは、もっぱら自分用に森で静かに浸る為のものなんですがね・・  

   ところでここは民有林ですか・・・

   *  そうや! ここの前から国有林やさかいな、一本たりとも許可

       ないと切れまへんわ・・・  しかし切る時はものすごい機械と

       人出で一気にやりよるな・・・ 採算なんか度外視でな・・・ 

       搬出もヘリコプターやしな・・・  わしら個人ではとうてい

       やれんわな!

   *  わしもな、若い頃はサラリーマンと兼業やった、定年後に

       やっと出来るようなったがな・・・  

       確かに山は税金は安いけど、管理が大変なんや・・・  

       この木見てみ・・・!  

       鹿に表皮を食われてこれはもうダメやな・・・

・  こんな所に鹿ですか!?  

   *  鹿が多いな・・・  もう何本もやられてしもたわ・・・

・  私も昼間に谷川で水飲んでる鹿を見かけますが、そんなに多いん

   ですか・・・?

   *  顔見たら可愛い顔してるんやがな・・・ 

      食いもんがないんやろな・・・

      それに昔はオオカミや鹿を餌とした天敵がいたけどな,今は

      恐いもんなしやから増えるんやな・・・

 

・  この前に止呂々美の山の方で猟師が沢山鉄砲持って狩りをして

   ましたけど・・・  

   *  あれは殆どがイノシシ狩りですわ・・・  許可制で期間も限ら

      れてまんねん・・・イノシシはボタン鍋で高こう売れまんねん・・・ 

      しかし鹿肉はあきまへんわ!

(ここでも採算の問題か・・・)

・  イノシシというと、この前に雪の日にここを通ったらイノシシの大きな

   足跡がくっきりとついていてビックリしましたけど・・・

   *  この辺も多いな・・・  ミミズ探して掘り返すんでな・・・  

      それに葛の根っことか野菜も何でも雑食やからな・・・ 

      しかし猪肉はミミズの塊りみたいなもんやな!

 

・  そうだ!  一つ教えてもらいたんですが・・・  

   スギやヒノキの植林をする時に、なぜあんなに積めて苗を植えるん

   ですか・・・?  さっきもその先の国有林の間伐材を放置してある

   のを見て、そう思っていたんですが、もっと最初から空けて植えて

   おけば、こんなにも間伐作業に追われなくても良さそうなものなの

   にと、単純にそう思ったのですが・・・ 

   *   ハハハハ・・・  そりゃ簡単や・・・  植林は最初1m以下の

       間隔で苗を植える、太陽があまり林床を照らすと草や他の

       植物が育ちすぎてスギやヒノキの苗が育たない・・・  

       その内に苗が育つ順に間引きしてその間隔を広げていくんや

       10m間隔ぐらいまでな・・・  

       そうすると下に他の植物が育たんし、木と木が擦れん程度に

       間隔空けていくからまっすぐに伸びるんや・・・  

       そんで途中の枝を切っていってやると節のないええ木が

       できていくんやな・・・

・  なるほど! すると間伐も枝払いも木の生産には欠かせない労働

   なんですね!

   *  そうや!  三代かけてな・・・  昔から子供が生まれたら

      スギやヒノキを植えたもんや・・・  その子の子供、つまり自分

      の孫が嫁に行く頃になってやっとその木を切って家を建てて

      やるんやな・・・

・  いい話ですね・・・!

(そんな話を聞きながら、私も子供の頃にそんな話を当たり前に聞いて

いた事を思い出していました・・・)

   *  そろそろ昼休みにしまっさ! ほな気いつけてな・・・

       さいなら!

 

 山を持っている人を羨ましく思ってきたけれど、維持管理にそれなりの

苦労を思うと、自分の夢の一つが急にしぼんでいくようで、寂しくも思い

ました (苦笑)。

 

( 気になったので帰宅してデータを見てみると、ちなみに日本の

森林面積は2500万ヘクタールで、国土の66%が森、その40%が

植林された杉やヒノキの人工林とか、国有林が790万H。 日本は毎年

一億立方メートルの木材を使用し、その量は甲子園球場いっぱいに

積み上げたら、富士山の二倍の高さにまでのぼるとか・・・  

うち75%が外国からの輸入材・・・ と、ありました。 )

 

国土の三分の二が森なのに、使用材の四分の三が輸入材とは、

これいかに?    考えさせられる一日でした・・・

 

私はそれからexpo90箕面の森に立ち寄り、四反田谷の冬枯れの

小鳥村(名付けは私です) を楽しみ、箕面林道から四季の森を経て、

箕面川ダム湖を周って帰路につきました・・・

国有林でも民有林でも、こうして箕面の森の散策を楽しませていただけ

のは、私にとってこの上ない至福の時間であり幸せなことです・・・

 

そろそろスギ花粉が飛び始めたようで、私の鼻がムズムズして知らせて

います・・・   当分スギやヒノキ林は歩けそうにありません。  

それにしても念願の山がどこかに持てたとしても、その間伐や枝払い

中に・・・   いや、ゆっくりとそこに浸るにしても、私のように花粉症で

クシャミや鼻水、目に涙でクシャ クシャになれば、全く仕事にはならない

でしょうし、ゆっくりと浸るどころではないようですから、

私の山もち夢はもうここで完全に粉砕もののようです・・・ (笑)

    

 

09-2-11 (完)

 


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