箕面の森の小さなできごと&四季の風景 *みのおハイキングガイド 

明治の森・箕面国定公園の散策日誌から
みのおの山々を歩き始めて三千余回、季節の小さな風景を綴ってます 頑爺<肇&K>

谷川を見つめる人

2020-08-26 | *編集・夏/7月

谷川を見つめる人・・・

 今日は箕面・外院から旧巡礼道を北に登り、七町石碑の分岐地で

一休みにしました・・・

初夏の風が心地よく、汗ばんだ肌を乾かしてくれます。

天気予報によると、明日からやっと梅雨らしく雨が降るようです

が・・・?

 

しばらくして東の方面からリュックを背に、一人の同年輩の

ハイカーの方がやって来られました。

 

・  こんにちわ!

     *  ああ こんちゃ!  エ エ 気持ちでんな!

         これから南山(勝尾寺南山・407m)で飯食って、

         昼寝ですわ・・・

・  昼寝ですか・・・?

     *  そうですわ!  人も来んしな、気ままに、もう最高の

         贅沢ですわ・・・  天国でんな!

         家じゃ ワシがおらんと、かあちゃんは天国らしいです

         わ・・・ ハ ハ ハ ハ ハ

 

 

その気持ち、その楽しみはよく分かります。

最近は私と同じように、一人でゆっくりときままに森歩きを楽しんで

おられる中高年の方々と、よく出会います。

類は類を呼ぶ・・・?  のかもしれませんが、そんな方々との一時の

会話は共感するものが多くあります。

すぐに気持ちを理解し、納得できるので、お互いに話しやすいのかも

しれませんね?

 

しかし、家の中で 「山頂での昼寝が天国やねん!」 と、奥さんに

言ってみても・・・

クーラーのきく涼しい部屋で、お菓子ぼりぼり、お尻ぼりぼり? 

TV見ながらのエステで・・・ 「亭主元気で留守がいい・・・」 

なんて!

もうこの家の中での昼寝が天国やねん!  というCMの奥さんから

見ると・・・

そんな山へ登るだけでもしんどいし、虫もいるし、蒸し暑い所で、

汗かいて 何が天国の・・・?  と、

きっと理解のできない事なのでしょうね? 

 

やがてオジサンは嬉々としながら、前の山道から登っていかれ

ました。

 

私が谷山の山越えをして谷に下り、南に下っている時でした・・・

足場が悪く、倒木も多くあり、それを避けたり、乗り越えたりしている

ときに、上方でピカリと目をさす光が・・・  

なんだろうか・・・?

 

よく見ると、欝蒼とした杉林の合間から木漏れ日が差し込み、

山の中腹で何かを反射させているようです。

歩みを進めると、それがステンレス製の水筒だと分かりました・・・

その横の小枝にリュックも引っ掛けてあります・・・

しかし人はいない・・・ どこへいったんだろうか?

用足しか?  山菜取りか?  植物採集か・・・ はたまた?

 

そんな事を思いながら下を通り過ぎていくと・・・

先の谷川に人の気配が・・・

この谷山渓流も近年めっきりと水が少なくなりましたが、それでも

才が原方面からの流れが少しはあります。

近づくと、一人の中年女性が一人で、谷川の流れを じ~ と、

見つめています・・・ ・・・ ・・・

 

わかります!

私もわかりますよ・・・!

 

サラ サラ サラ~ と、リズミカルであって不規則な水の流れと、

その谷間にこだまする水の響き・・・  

川の流れは実に心地いいものです。

環境音楽に海の波の音、谷川渓流の音、滝の流れ落ちる音、

森の風にそよぐ樹木葉の音・・・

それらの自然の音と映像が延々と収録したCDやDVDがあり、

よく売れていると聞いた事があります。

そんな何でもないような自然の風景や自然の営みごとが、

人の心にはとても心地いいもののようですね・・・

 

人間の心理は人それぞれで複雑ですから、一概に言えませんが・・・

あの人は 至福のひと時 を楽しんでおられるのだ・・・ と思います。

私の経験では、寂しい時や、孤独を感じる時、不安があるとき

などは、森で一人で存分に浸る事は出来ません・・・  

出来ないのです。

まだ都会の人ごみの中にいる方が、落ち着くかもしれませんね?

そんなわけで、私はその方の 至福の時間 をお邪魔しない

ようにと、挨拶もせずにそっと右折れして、才が原池の方へ向い

ました。

 

途中、この谷間にも木漏れ日が差し込み、チョロ チョロ 流れる

水にそれが反射して キラ キラ キラ~ と、輝いています・・・

きれいだな~ !

その光と影が、近くの岩や断層に反射して動く光景は、見事な

創作芸術といえます。

世界の芸術家たちが大自然をモチーフにしたり、大自然から

ンスピレーションを与えられたり、大自然から学び、創作する

姿勢が分かるような気がします。

箕面の森のこんな小さな場所で、小さな谷川の流れの中でさえ、

驚くほどの美的感動を与えられるのですから、自然界の営みごと

にはいつも驚異で神秘的ことばかりです。

 

谷川を見つめる人・・・

私も同じようにしばし見つめていたら・・・

至福のひと時・・・ と 言うよりは、ウト ウト ウト と、眠たくなって

きました・・・

先ほどのオジサンが、南山で昼寝すると言っていた気持ちがよく

分かります。

この小さな森の水の流れが、子守唄に聞えてきました・・・

それだけリラックスでき、心が安らぎ、癒されているのかもしれま

せん?

 

枯れ葉の上に ゴロン~ と、横になったものの・・・

もしこのままぐっすりと眠ってしまうと・・・?

 (想像・・・)

森の暮れるのは早いから、真っ暗になると大変!  

この先には、数箇所のイノシシのヌタ場があるのを、私は知っている

ものですから・・・

もし早く目覚めたイノシシがその風呂場に現れて、私とハチ合わせ

でもしたら、お互い迷惑ですからご遠慮したい・・・

 

私が重い腰をあげ、谷川の水で顔を洗っていると・・・

重い低音のドスの聞いた大声で・・・ 

 グオー  グオー (By  By!) と、ウシガエルが一鳴きして

見送ってくれました・・・

 

ところで・・・

先ほどの女性は、まだ谷川の水を見つめたままなのでしょうか?

声をかけて見ても良かったかな・・・?

少し気になりながら、帰路についたのでした・・・

’13 7・1
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