雨上がりの瀧道!
前夜の荒れ狂うような風雨のなごりが、朝方まで残っています。
雨は小降りになったとはいえ、今日の森の散策はどうしよう
かな~?
私はそう迷いつつも、雨の滝道もいいかもしれない~! と、
傘を一本だけもって、手ぶらで出かけることにしました。
しかし、箕面駅前から滝道に入り、一の橋にさしかかる頃から
天気が急速に回復してきました。
雲の流れが速くなり、やがて青空が見えたと思ったら、
暖かい太陽が差し込んできました。
森の中が急に明るくなっていきます。
箕面川の渓流に垂れ下がるように、見事に紅葉したモミジが
一本あり、思わず立ち止って見入りました。
いつもより早い紅葉なので、なぜか焦りを感じます。
年々の温暖化や環境の変化により、紅葉の時期が遅くずれ
たり、色づきが悪かったりしてやきもきする時期です。
瀧安寺の境内には、血染めの紅葉と言われる艶やかなモミジが
あり、カメラマンの方々が盛んにレンズを向けています。
弁財天の境内には、これも紅葉した見事なモミジを見ることが
できます。
しかし、そこから大滝までのモミジは、所々に紅葉したモミジを
見ることはあっても、まだ青々とした葉が繁り、これからといった
感じがします。
でも、「野口英雄像」前付近のモミジは、綺麗に色づいて
いましたよ。
大滝に着くと、ここもいつもの休日ぐらいの人出で拍子抜けです。
しかし、すでに箕面ドライブウエイは大渋滞とのことですから
昼からは込みそうです。
大滝周りのモミジも、これからといった様相です。
昨年の、余りの混雑と身動きできない人出を経験すると、つい
これからの最盛期には訪れるのを引いてしまいます。
帰路はいつもの茶店に寄らずに、また山裾の脇道に入り
ました。
川を挟んで併行する滝道と比べ、余り人が歩いていません。
それに沢山の人が行き交う滝道と違い、たまにすれ違う方と、
お互いにごく自然と挨拶を交わすことに温かい人間味があって
いつも不思議な感覚を覚えます。
狭い山道での人間の心理は面白いものですね。
「中の千本」付近で、大きなケヤキを見上げながら、風が吹く
たびに落葉する枯葉の舞をしばし眺めていました。
この付近にモミジの木が沢山あるものの、まだ青い葉をつけて
います。
ゆっくりと秋の気配を楽しんでいると・・・
前方の石段をゆっくりと上ってくる、同年輩のおばさんが見え
ました。
足元の石段の石を一つ一つじっくりと眺めながら、独り言を
つぶやいています。
そして、たまに頭上を見上げてはモミジを眺めています。
「こんにちわ! まだ少し紅葉には早そうですね!」
「そうでんな! これからやわな! しやけどな!
この石・・・これは石臼の片割れとちゃうかいな?
墓石とは違うな?
あっちにも違う模様の石があるわな!
せやけど、こんな重たい石をよう運んできはったな?
えらいもんやわ! ありがたいこってんな!
ワテもな! こんなしょうもないことばっか、気になり
まんねん! せやけどありがたいでんな!
お陰でこんなとこまで登らせてもろて、もみじ
見れまんねんさかいな!
ほな、気いつけてな! おおきに! さいなら!」
おばさんはこてこての大阪弁で一人で喋りながら、
また上がっていかれました。
ワテも! 否 私もそう言われた足元の石段を見てみると、
今まで気が付かなかったものの、穴の開いた石や、角型や
丸型に整形、加工された石が所々に組み込まれていて興味を
引きました。
改めて再利用の知恵と、この重たい石をここまで一つ一つ運び
積み上げた作業を思うと頭の下がる思いでした。
おばさんの小さな気付きから、私も一つ教えていただきました。
サザンカの白い花、ピンクの花、紅色の花が、渓流沿いに
美しく咲いています。
落葉して少し寂しくなった森、色気の無くなって来た秋の森の
中で、ひときわ華やかさを感じます。
ちなみに、昨日のような雨を「サザンカ梅雨」と呼ぶそうですが、
どんな結びつきがあるのでしょうか?
瀧安寺の裏山で、落石により閉鎖されていた桜道も、二重の
ネットが張られて通れるようになっています。
木漏れ陽が山道を明るく照らしたので見上げると、樹冠の先に
秋の青空が広がっています。
私は落葉の積もる山道を踏みしめながら、秋たけなわの
森の散策を静かに楽しむことができました。
ワテは満足だす!
けど、この傘! 邪魔だす!