国会に呼ばれた憲法3学者の集団自衛権に対する違憲陳述は当然と思われるが、安倍政権はあわてて、数少ない賛成論者の意見を披露したが、説得力は全く無かった。
すなわち、西修・駒澤大学名誉教授は、集団自衛権の目的は抑止効果であり、本質は抑止効果に基づく自国防衛であり、法案は「限定的な集団自衛権の容認であり、憲法の許容範囲内」であるとの意見である。また、森本敏、元防衛大臣は、核実験を繰り返す北朝鮮や海洋進出を強める中国に対応する必要性を強調したが、違憲・合憲の判断はしなかった。
両者の意見ばかりでなく、集団自衛権賛成の立場の人々は、憲法判断より中国や北朝鮮の脅威にどのように向き合うかが最重要課題のようである。東シナ海や南シナ海に進出する中国をいかに押し止めるか。北朝鮮の核の脅しにいかに対処するかである。その答えは、米国の軍事力に期待しつつ、出来る限り米国に協力するである。そのためには、集団自衛権の法制化が必要であり、違憲・合憲は二の次である。
つまり、軍事力には軍事力で対抗しようとする姿勢である。ある意味非常に分かりやすいが、短絡的な主張である。確かに、集団自衛権の法制化は一時的な効果があるかもしれないが、中国や北朝鮮は次の手を打ってくるだろう。
中国政府の最大関心事は国内をまとめることであり、そのために手っ取り早いのは外に敵を作り、国内の問題から目を背けさせることである。中国はこの法案を理由に国内を引き締め軍事力の一層の強化を図るであろう。軍拡競争になれば、最終的には日本の核武装しかない。
中国の新聞、“人民日報” の関係者が分かりやすい解説をしていた。予定されている安倍首相の談話でも、兎も角日本は中国に謝っておけば、両国は幸せになれる。言葉には一銭も必要ない。後は黙って経済面で儲ければよい。中国は政府のメンツが保たれ、共産党独裁の理屈が成立する、との趣旨だ。日本が集団自衛権を容認しようが、しまいが、中国は日本に難癖をつけてくる。同じであれば、敢えて法制化の必要は無い。中国の国内問題は中国に任せるしかない。
もう一つの問題国、北朝鮮も国内の難問を日本に転化し、核の脅しをかけてくる。これに対抗するため、集団自衛権の賛成者は、核弾頭が飛んでくる前に、核基地攻撃をしたいと思っているようである。しかし、万が一日本に向かって核弾頭を発射するにしても、結果米国が黙っている筈がないので、自国の消滅を覚悟しなければならない。北朝鮮が問題視するのは、日本ではなく米国なのだ。このため米国を脅かすミサイルの開発を急いでいるはずだ。
安全保障関連法案の違憲性は益々はっきりしてきた。このため、安倍政権は中国、北朝鮮問題を前面に押し出してくるだろう。違憲・合憲問題とは別に、この国際情勢に力で対抗する是非を考える必要がある。(犬賀 大好-143)
すなわち、西修・駒澤大学名誉教授は、集団自衛権の目的は抑止効果であり、本質は抑止効果に基づく自国防衛であり、法案は「限定的な集団自衛権の容認であり、憲法の許容範囲内」であるとの意見である。また、森本敏、元防衛大臣は、核実験を繰り返す北朝鮮や海洋進出を強める中国に対応する必要性を強調したが、違憲・合憲の判断はしなかった。
両者の意見ばかりでなく、集団自衛権賛成の立場の人々は、憲法判断より中国や北朝鮮の脅威にどのように向き合うかが最重要課題のようである。東シナ海や南シナ海に進出する中国をいかに押し止めるか。北朝鮮の核の脅しにいかに対処するかである。その答えは、米国の軍事力に期待しつつ、出来る限り米国に協力するである。そのためには、集団自衛権の法制化が必要であり、違憲・合憲は二の次である。
つまり、軍事力には軍事力で対抗しようとする姿勢である。ある意味非常に分かりやすいが、短絡的な主張である。確かに、集団自衛権の法制化は一時的な効果があるかもしれないが、中国や北朝鮮は次の手を打ってくるだろう。
中国政府の最大関心事は国内をまとめることであり、そのために手っ取り早いのは外に敵を作り、国内の問題から目を背けさせることである。中国はこの法案を理由に国内を引き締め軍事力の一層の強化を図るであろう。軍拡競争になれば、最終的には日本の核武装しかない。
中国の新聞、“人民日報” の関係者が分かりやすい解説をしていた。予定されている安倍首相の談話でも、兎も角日本は中国に謝っておけば、両国は幸せになれる。言葉には一銭も必要ない。後は黙って経済面で儲ければよい。中国は政府のメンツが保たれ、共産党独裁の理屈が成立する、との趣旨だ。日本が集団自衛権を容認しようが、しまいが、中国は日本に難癖をつけてくる。同じであれば、敢えて法制化の必要は無い。中国の国内問題は中国に任せるしかない。
もう一つの問題国、北朝鮮も国内の難問を日本に転化し、核の脅しをかけてくる。これに対抗するため、集団自衛権の賛成者は、核弾頭が飛んでくる前に、核基地攻撃をしたいと思っているようである。しかし、万が一日本に向かって核弾頭を発射するにしても、結果米国が黙っている筈がないので、自国の消滅を覚悟しなければならない。北朝鮮が問題視するのは、日本ではなく米国なのだ。このため米国を脅かすミサイルの開発を急いでいるはずだ。
安全保障関連法案の違憲性は益々はっきりしてきた。このため、安倍政権は中国、北朝鮮問題を前面に押し出してくるだろう。違憲・合憲問題とは別に、この国際情勢に力で対抗する是非を考える必要がある。(犬賀 大好-143)