日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

政府は移民政策を採らないと言うが!

2019年01月12日 13時26分14秒 | 日々雑感
 現在、空前の人手不足との話だ。安倍首相は、少し前までは有効求人倍率が高いのはアベノミクスの成果と誇ってきたが、最近この弁はほとんど聞かれない。

 それどころか、現在の人手不足の状況に対処するため、法律の中身の詳細は今後省令で決めるとして、昨年暮れに生煮えの入出国管理法(入管法)改正を急遽成立させた。これを受けて、政府は昨年12月末、特定技能の枠組みを定めた基本方針、業種ごとに人数などの詳細を決めた分野別運用方針を閣議決定した。

 しかし、基本方針には、・外国人労働者が大都市に集中するのを防ぐ、・悪質なブローカーを介在させない、等が盛り込まれたが、あくまで方針であり具体的方策はこれからだそうだ。特にブローカー云々は主に派遣元の他国での話であり簡単に改善出来るとは思えない。

 今回の改正は実質的な移民政策だと野党は批判するが、政府は移民政策では無いと言い張る。すなわち政府は単純労働の分野の外国人労働者の定住をあくまでも認めないとしているのだが、例によりなし崩し的に移民政策に変わっていくであろう。すなわち、まず滞在可能期間を延長し、その後無期限とする方向だ。

 現在日本で働く外国人労働者の主流は技能実習制度による。政府は、経済連携の強化、日本の優れた技術の移転による国際貢献などがその目的であると主張するが、現実は茨城県における農業の手伝い等に見られるように、単純労働の側面が強い。

 一方、こういった外国人の雇用をめぐり、彼らに対する賃金の不払いや違法な時間外労働といった問題が多発し、厚生労働省の2015年の調査によると、実習実施機関約5,000のうち、約7割以上で労働基準関係法令上の違反が認められたそうだ。

 現場で必要とされているのは低賃金で長時間労働に耐える単純労働者であり、技能実習制度の主旨とは根本的に異なるが、現実はこの実状に応える制度として運用されているのだ。

 少しでもこのような状況を改善するため、実習生の保護を目的に、各管理団体や実習実施機関を指導・監督する外国人技能実習機構も設けられ、さらに実習生の相談に乗るための労働相談窓口の設置が検討されるなど、各方面から実習生の労働環境改善への取り組みが行われている筈である。

 その一つが、1昨年2017年11月に創設された「外国人技能実習機構 (OTIT)」である。OTITの具体的な任務は、監理団体の技能実習計画の認定、実習実施者や監理団体に対する指導監督、等のようである。しかし、OTITが創設され1年以上が経つがちゃんと機能したかとなると甚だ疑わしい。

 OTITのホームページを見る限り立派な組織が出来上がっているが、技能実習生の実習先の労働環境の悪さを原因とする脱走事件はマスコミを賑わし、外国人労働者が関わる事件や事故の増加といった問題が顕在化し始めている。

 組織は役人の単なる天下り先の確保のためと思われ、これからも改正された入管法の実行のためと称し様々な組織を作るであろうが、問題の本質は組織とは別の所にある。

 制度上日本での労働は期間限定であり、日本語を十分学べない、労働環境が悪くても派遣先の変更は出来ない、単純労働のため技術が身につかない、将来自国で技術が生かせない、等の不満をこの組織だけでは解決できないからだ。

 現場で必要とするのは単純労働者であるが、今回の入管法の改正においても移民政策の変更は無いとする政府の方針は、現場との矛盾を含んだままだ。2019.01.12(犬賀 大好ー511)