今年の春は例年になく暖かく、高齢者には過ごし易い日が続くが、同時にこの夏の灼熱地獄が思いやられる。これも人類の経済活動による地球温暖化の影響と思うと情けなくなる。
地球温暖化を招く温室効果ガスの代表は二酸化炭素(CO2)であるが、日本の排出量は11億3240万トンとのことであるが、どの程度のことか分からない。
2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ宣言をしているが、ゼロの状態とは人為的な排出量と森林等の吸収による回収量との間の均衡状態を指すが、環境庁の資料によれば現在の回収量は5590万トンとのことで、人為的排出の5%程度に過ぎず、実質の言葉を省略した方がよさそうである。
さて、日本の排出量の世界ランキングは5位だそうで、1位は中国で日本の8.2倍、2位はアメリカの4.2倍、3位はインドの1.9倍、ロシアは1.4倍だそうだ。地球全体から見れば排出量の規制を中国に一番頑張ってもらいたいが、中国の人口は日本の10倍程度であるので、一人当たりでは日本の方が多く、中国ばかりを非難せず日本人も頑張らなくてはならない。
それでも中国は2060年までに温室効果ガスの排出実質ゼロを宣言した。日本は2050年までのゼロ宣言であるが、10年遅れと言えどもゼロ宣言をしたからには今から本気で取り組んでもらいたいが、本気度を示すためか先日の全人代で2030年までに排出量を減少に転じさせるとの中間目標を設定した。
しかし、現在中国では石炭火力の発電所の新設が相次いでいるそうだ。経済成長に伴う電力需要の増加、新型コロナウイルス禍で落ち込んだ景気を回復させるため、安価で自給可能な石炭に頼っているとの話だ。どうも中国のゼロ宣言は外国向けの単なる宣伝の様な気もする。
日本の現在の化石燃料発電への依存度が85.5%となっているそうで、この内石炭は、2018年度は30%程度であり、中国の化石燃料は69.7%と日本より低いが、この内石炭の割合はよく分からないが資源が豊富で安価な中国ではかなりのウェートを占めているだろう。
中国では、2040年までに火力への依存を60%にして、太陽光発電や風力発電の再生可能エネルギー27%、原子力発電を7%程度にする計画のようだが、火力の大部分を占めると思われる石炭利用を2050年までにどこまで減らせるかは、国内経済事情によると思われ、国の内外に経済的な諸問題を抱える中国では実質ゼロは到底無理なような気がする。
また、2019年末の段階で中国は風力、太陽光の設備容量は世界最多で、それぞれ日本の50倍と3倍の規模であり、この値を聞く限りでは日本の随分先を走っているような気になる。しかし、どうも国策による無理をした結果であるようで、今後は設備容量の拡大は企業に任せるとの話だ。同時に従来からの固定価格買い取り制度を縮小するそうで、頭打ちになることこと必須だ。
今後は政府の役目は、送電線等のインフラ投資やスマートグリッドと呼ばれるIT技術や新しい発電方法を組み合わせた電力網の構築にあるとのことであるが、このあたりの事情は日本も全く同じである。
日本も中国も石炭火力への依存度は高いが、石炭資源が豊かな中国の方が脱却がはるかに困難なような気がする。2021.04.03(犬賀 大好ー691)