4月21日のプログで、”東京五輪の無観客での実施が現実味を帯びてきた”と題する記事を掲載した。1週間ちょっと前の投稿記事であるが、コロナウイルスの感染が更に拡大し、東京等に緊急事態宣言が発せられる中、無観客の可能性がいよいよ強くなってきた。
東京大会の観客数の上限などを議論する大会関係者の5者のオンライン会談が先日28日夜、開かれようだ。会談の後橋本組織委員会会長は、”出来る限り6月の早い段階で決定しなければ準備する上で迷惑をかける。満員の観客を入れることは非常に厳しく、ギリギリの判断として無観客にするという覚悟は持っている”、と発言し、無観客開催が現実味を帯びてきた。
観客数の上限に関しては、4月中に決める筈であったが、何とか開催したい、出来ればなるべく多くの観客を入れて開催したいとの欲張り根性から、結論を先延ばしにしているが優柔不断の典型である。
しかも無観客開催どころか中止の可能性も出てきた。自民党の二階俊博幹事長は4月15日、東京五輪・パラリンピックの中止が選択肢になり得るとの考えを示したが、さすがベテラン政治家だ。単に思い付きの発言ではなく、深慮遠謀の結果の発言であったと思われる。
4月28日、丸川オリンピック・パラリンピック担当大臣が、大会期間中の医療体制について、具体的な提示がないと東京都に不満を爆発させたが、小池知事は事務的には詰めていると冷静に反論した。二人の争いの裏には、森前組織委員会会長と二階幹事長の確執があると、ベテランコメンテーターの深読みのコメントをテレビで聞いた。
丸川大臣も小池都知事と同様に前歴はニュースキャスターであり、情報をあらゆる面から得ており、開催までに3か月を切る昨今、こんな内輪もめをしている場合ではないと十分分かっている筈だ。にも拘らず、この発言があるとは、争いの元は医療体制ではなく、もっと深い所にあると勘繰れるのだ。すなわち無観客開催か中止を巡っての争いなのだ。
小池都知事は二階幹事長と親密な関係にあることは周知のことであり、二階氏の頭には五輪中止の選択肢があるのだ。一方、森氏は組織委員長を発足当時から長年務めていたため絶対開催だろうし、後任の橋本現委員長および丸川大臣も同様であろう。
コロナ感染が広がり、コロナワクチンが五輪開催までに間に合いそうにもなく、五輪の為の医療体制の整備など現実を無視した計画に、小池都知事の頭は中止の方向であろう。しかも、国民の大半は開催に否定的であり、二階氏の頭の中は五輪より今秋の次期総選挙で一杯であろう。今年10月には衆院議員は任期満了を迎え、それまでに総選挙が行なわれることとなる。
さて、次期総選挙で自民党は大敗するであろうが、二階氏は幹事長として如何に損害を最小限に留めるかに知恵を絞っている筈だ。そのためには五輪中止決定を大英断の方向に導く必要があるが。2021.05.01(犬賀 大好ー699)