日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

岸田新総裁の政策”成長と分配”は本気か

2021年10月06日 09時21分55秒 | 日々雑感
 9月29日、自民党の岸田前政調会長が自民党総裁に決まった。新総裁の公約のひとつは新しい資本主義への脱却だ。6月11日、派閥横断型の「新たな資本主義を創る議員連盟」を発足させ、会長に就任していた。この議員連盟は総裁選を控えての単なる仲間集めと思っていたが、少なくとも以前からこの面での関心はあったようで今後の展開が期待される。

 日本のみならず世界的にも経済格差が拡大している。経済格差を縮小させるためにどうやって富を分配しつつ経済を成長させていくか、この世界的な難課題に対して、正面からチャレンジしていく姿勢を示しているが、どこまで本気であろうか。今から心配になる。

 岸田氏は、所属する宏池会の創始者、池田勇人氏が唱えた所得倍増論を倣い、幅広く所得を引き上げることで、経済全体の消費が間違いなく喚起される、とも語った。岸田氏の自身の特徴を、他人の意見によく耳を傾けること、と自己評価をしているが、様々な異なる意見を一つにまとめ、自分の信ずる方向に導く力があるかと言うと全くの別問題だ。

 訴えているテーマは”成長と分配”だ。歴代の政府はいづれも成長戦略を唱えたが、見るべき成果を挙げていない。ただ安倍政権における観光戦略が成功したかに見えたが、コロナの影響で底の浅さが露呈し、極めて外国頼みであることが分かった。

 分配のためには財源が必要だ。財源確保のために、岸田新総裁が税制にどこまで切り込むことが出来るか。高所得者に対し、あるいは金融所得に対し高課税を課し、また相続税等に対しても増税するなどして、低所得者に分配する必要があるが、当然反対意見も強く、岸田新総裁にはそれに対する説得力や実行力が試される。果たして、岸田新総裁は、財源の確保と分配を両立し、理想とする新しい日本型資本主義の実現ができるのだろうか。

 経済の発展は必然的に経済格差を生む。何となれば、経済活動は効率化の追求であり、そこには競争があり、成功する者がおれば負ける者がいる。米国における貧富の差は悪名高く、最近では中国の格差がよく話題に上がる。

 米国ではコロナ禍で対面業務が原則の飲食やサービス業の業績が大きな打撃を受け失業者が増えた一方、株などを保有する富裕層の資産価値が増え、格差が広がったようだ。米連邦準備理事会によれば、昨年3月からわずか3カ月で所得上位10%の保有資産は71兆㌦から77兆㌦に膨張したそうだ。

 一方中国の習近平総書記は中央財経委員会で”共同富裕(格差を縮めて社会全体を豊かにする)”政策に本格着手すると8月18日、宣言した。

 GDPの世界1位と2位の経済大国の経済格差が問題となっており、第3位の日本も顕在化している。この問題を岸田新総裁が早期に解決できるとは思えないが、少なくとも問題提起を国民に納得できるように丁寧に説明してもらいたい。2021.10.06(犬賀 大好-752)