日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

日本の経済政策は物価上昇促進か抑制か

2022年04月02日 09時56分04秒 | 日々雑感
 日銀は今年3月の金融政策決定会合で、従来通りの金融緩和を継続すると決めた。黒田総裁は今年1月の金融政策決定会合の後の記者会見で、”賃金上昇を伴わない資源高主因の物価上昇は一時的にとどまる”と述べ、最近の諸物価の値上げラッシュにも拘わらず金融緩和政策を続行する決意を示していたが、今回もその姿勢は全く変わらない。

 日銀の黒田総裁と安倍元首相が始めた異次元金融緩和はデフレ脱却が目的で、市中に金を溢れさせ諸物価の値上がりを目指しており、ゼロ金利政策もその一環だ。

 昨年2021年は世界の多くの国・地域においてインフレが加速し、歴史的な高水準となり、米国の12月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年同月比+7.0%に達し、39年ぶりの高水準となり、金融政策を決めるFRBは、2022年中に3回の利上げを見込む。日本の金利より米国のそれが高くなると円安が進み輸入品の値上げとなり、これも日銀が望むところであると解釈できる。

 しかし、金融緩和に関係なく日本では去年から相次ぐ値上げラッシュだ。コロナ禍で原材料費や輸送費が高騰していた中、ロシアによるウクライナ侵攻がさらに追い打ちをかけた。小麦粉はアメリカなど主な産地で不作となったことや、ウクライナ情勢の悪化で国際価格が上昇したそうだ。政府は4月から製粉会社に売り渡す価格をおよそ17%引き上げる予定だ。トマトソースや食用油も価格が上がるそうだ。 

 総務省の統計局による今年2月の消費者物価指数の総合指数は2020年を100として100.7、前年同月比は0.9%の上昇、前月比は0.5%の上昇となっており、どの値も昨年からの値上げラッシュとは無縁の数値だ。統計処理に時間がかかり数値にまだ反映されていないのか、あるいは値上げラッシュと言っても極一部の商品だけの話で全体的には値上げとなっていないのかよく分からない。兎も角、現在の消費者物価指数は現状を表していない。

 岸田総理大臣は3月29日の閣僚懇談会でウクライナ情勢に伴う物価の上昇をめぐり“原油や穀物の国際価格が高騰し、一部の水産物などの安定供給に懸念が生じている。社会経済活動の順調な回復の妨げにならないような対策が必要だ”との主旨の発言をし、小麦などの価格上昇に伴う食料品や飼料などへの対策等、緊急対策を策定する考えを示した。これは夏の参院選に向けた物価高騰対策であるが、日銀の物価上昇への施策と真逆の対策である。

 このように現日本では、物価高騰の要因と物価低迷の要因が入り乱れており、物価高騰の主因は海外にあるかも知れないが、物価低迷の原因は国内にある。日本の一流の経済通が集まっていると思われる金融政策決定会合は、この10年成果を見ない異次元金融緩和をまだ続けるようであるが、海外の動きは想定外の方向に向かっている。

 借金大国の日本は国際情勢の変化に対応できるか、甚だ心配だ。2020.04.02(犬賀 大好ー803)