全国の新型コロナウイルスの第6波の新規感染者は、2月5日の10.5万人を最高に、4月3日には4.7万人と半減したが、その減り方はこれまでになく緩やかで、最近では逆に再拡大する兆候も見られる。
都の専門家会議も感染の再拡大の危険性が高く、第7波の到来の可能性が高いと分析している。まん延防止措置が全面解除され、桜を楽しむ等、接触機会の増加が可能性を高める。現在流行中のオミクロン株は「BA.2」と称する変種のようで、感染力は高いが、重症化するリスクは高くないと言われている。
ただ、ワクチン接種率が上がれば、感染者数が下がる可能性があるとの見方もある。しかし、これまでの経験からもその通りであろうが、一時的な減少に過ぎない気がする。集団免疫効果が余り期待できないため、いったん収まっても再拡大する可能性が高い。
イスラエルは世界に先駆けてワクチン接種を開始し、国民の約70%が少なくとも1回の接種を終えた昨年5月から6月にかけては、感染者数や死者数がゼロに近づき、新型コロナウイルス感染症の終息に成功したかと期待された。しかし、7月以降、デルタ変異株による感染の再拡大に見舞われた。原因は変異に伴う感染力が強くなったこと、あるいはワクチンの感染予防効果が減少したことが考えられている。
現在、イスラエルでは4回目のワクチン接種が進められているが、同国のある病院が、初期段階での研究結果として、4回目の接種で抗体の量は増えたものの、オミクロン株の感染を防ぐ効果は十分には得られない可能性があると1月に発表した。イスラエルは世界の中でもワクチン接種が一番進んだ国であるが、集団免疫効果が現れず、感染終息の話は聞こえてこない。
さて、冬季北京オリ・パラが3月14日無事閉幕した中国では、政府の進める”機動的ゼロコロナ対策”で感染者をほぼゼロに抑え込んでいたと思われた。しかし、中国の衛生当局は3月16日、前日に確認された中国本土の新型コロナウイルスの市中感染者が3054人だったと明らかにした。オミクロン株が急拡大し、各地で事実上の都市封鎖や厳しい行動制限が相次いでいるそうだ。
上海の4月4日の市中感染者は1.3万人を越えたとのことだ。5日に解除予定であったロックダウンも当面延期されることになったそうだ。ただ3月中旬以降は無症状感染者数が急激に増加し、感染者の96%が無症状だったそうだ。
中国では一人でも感染者が発見されるとその地域全体の住民対象にPCR検査が強制的に実施されるそうで、無症状の感染者の割合も正確な数値であると思われ、この数値を信ずれば、ほとんどのコロナ感染者が無症状となる。
中国政府は、「オミクロン株は重症率や致死率は低いが、感染力は強く、感染者数が増大すれば重症者、死者の絶対数が大きくなり得る」として、従来の政策を継続する理由を説明している。世界の動向は経済的な活動を重視し規制を緩める方向であり、日本も同様であるが、中国の今後の政策に注目される。2022.04.06(犬賀 大好ー804)