北朝鮮の金正恩総書記が新型大陸間弾道ミサイル「火星17」の発射実験に母親の李雪主夫人と共に娘も同席させていたようだ。この娘は2013年に生まれた第2子のキム・ジュエとのことだ。金正恩氏と妻の李雪主氏の間には、3人の子どもがおり、詳細は不明ながら年齢は10カ月〜7歳の間と言われている。第1子は男児で他は女子とのことだ。第1氏はいつの日か正恩氏の後を継ぐと言われているそうだ。
金総書記がミサイル発射場に娘を立ち会わせた理由の一つに後継者としてお披露目したとの説もあり、韓国の北朝鮮専門家の間では、今後、頻繁に登場するようだとその可能性は大だと、と言われている。
2020年4月に金正恩氏の健康不安説が流れた際は、妹の与正氏が後継者候補として名前が挙がったほどで、現体制では盤石の権力を持つそうだ。それだけに近い将来、与正氏と娘の間で後継者争いが起きるのではないか、と懸念する向きがあるのだ。
しかし、現在与正氏と雪主氏の関係は良好だとされており、その娘と権力闘争を繰り広げるのは考えにくいとのことだ。金正恩氏は2021年12月にも激やせ姿が捉えられ、重病説が再燃した。万が一の場合、与正氏が金王朝を継ぎ、まだ幼い金正恩氏の子供たちをまとめ上げて女帝になる可能性が一番大きいとのことだ。
このような話を聞くと、韓国の歴史ドラマを見ているようで面白いが、その陰には金王朝を巡る権謀術策と貧困に苦しむ一般庶民がいるかと思うと、面白がっているばかりではいられない。金正恩が倒れたところで、金王朝内部の主導権争いは熾烈を極めるであろうが、金王朝自体は安泰であることを歴史ドラマは示唆してくれるが、この民主主義の世の中歴史は繰り返されるのか、消滅の危機を迎えるのか誰も分からない。
さて、2022年に入り、かつてないペースでミサイル発射を北朝鮮は続けている。北朝鮮は西側諸国の経済制裁で経済的にはかなり苦しい筈であるが、ロシアや中国の支援のお陰であろうか、軍事的には裕福そうだ。
相次ぐミサイル発射の目的は、米国を交渉の場に引きづり出すためであろうが、それも金王朝の存続のためであろう。またミサイル発射に引き続き核実験が行われるとの予想も強いが、10月16日から始まる中国共産党大会の後、11月8日のアメリカ中間選挙までと、言われていたが幸運にも12月3日までは実施されていない。
核爆弾の実用化は自国を守るのに絶対的な抑止力を有するため、金正恩は一刻も早く世界に所有を宣言したいはずであるが、恐らくロシアや中国の反対が強いのであろう。金王朝の内部抗争に核兵器の所有をどのように活用するか分からないが、どこか外国にその技術を売って金に換えるつもりであろうか。
ロシアや中国は一党独裁と言われながら、曲がりなりにも選挙制度があるが、北朝鮮は世襲制度であり、その時の独裁者が何を言い出すか分からない怖さがある。2022.12.04(犬賀 大好ー868)