日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

岸田首相の素早い決断もプーチン大統領の影響

2022年12月21日 10時11分26秒 | 日々雑感
 毎日新聞は17、18の両日、全国世論調査を実施した。岸田内閣の支持率は25%で、1か月前の調査の31%から6ポイント下落し政権発足以降最低となった。また不支持率は69%で前回の62%より7ポイント増加した。

 岸田首相の特徴は他人の意見によく耳を傾けることで、自分の意思を積極的に表に出さない筈であったが、防衛力の増強に関しては専守防衛から敵基地攻撃能力の保有、更に原発回帰の姿勢に関する決断は素早かった。それぞれ賛成、反対の意見は当然ながらあり、政治家としてはどちらかの意見に傾かざるを得ない。往々にしてどっちつかずの曖昧な態度で押し通す政治家も多いが、今回の首相の姿勢は従来路線とは異なる、思い切った方向転換の決断であった。他人の意見をよく聞く首相としては、反対意見によく耳を傾け、説得し納得させる努力がこれからは望まれる。

 支持率低下の原因は岸田首相が防衛費増額の財源について、1兆円強を増税で賄う方針を示したことだったと先述の世論調査結果の分析である。防衛費増額そのものは、今年10月のNHKの世論調査で賛否を聞いたところ「賛成」が55%で「反対」の29%の約倍となったとのことであり、支持率低下の直接の原因とはならなかったであろう。

 防衛費増額の中身に関しては、アメリカ製の巡航ミサイル「トマホーク」を購入する費用2100億円あまりを計上するようだ。このミサイルは40年前から世界各国に実戦配備され、2003年のイラク戦争でも使用された実績があるとのことだ。兵器は年々進歩し、40年前の開発品は時代遅れの感もするが、各国が保持している巡航ミサイル類のなかでもかなり上等のもののようで、敵基地攻撃用としてかなり抑止力があると言われている。

 一方、経済産業省は12月8日、東京電力福島第1原発事故以降の政策を転換した原発活用に向けた行動指針を示し、首相は大筋で了承した。廃炉が決まった原発の次世代型原発への建て替えや、60年を超える運転延長を盛り込み、原発回帰の方向に舵を切った。これも首相の思い切った決断である。

 この方向を決めた委員は従来からの原発関係者であろうが、廃炉作業や高放射能廃棄物の処分場決定等の原発事故の後始末に関してはすっかり忘れ、将来に向けての都合の良い話ばかりを取り上げて、相変わらず原発の安全神話の信奉者であるようだ。

 最長で40年かかるとしている福島第一原子力発電所の廃炉作業の中でも最大の難関とされる溶け落ちた核燃料 ”燃料デブリ”の取り出しは今もって道筋が見えず、その先に待ち受ける建物の解体や放射性廃棄物の処理・処分については、どのようにするかの選択肢も示されていない。将来の話をする前に過去の遺産をしっかり片付けてもらいたいものだ。

 防衛費の倍増や原発回帰の動きはロシアのウクライナ侵攻が影響しているかと思うと、プーチン大統領の罪が如何に大きいか今更ながら驚かされる。2022.12.21(犬賀 大好ー873)