旧統一教会をめぐる問題で、文部科学省は10月13日、民法上の不法行為などを理由に、教団に対する解散命令を東京地方裁判所に請求した。11カ月に及ぶ教団に対する調査を経て、教団への解散命令の是非が司法の場で審理される見通しとなった。教団側は多数の弁護士を抱えており全面的に争うつもりとみられ、裁判は2年以上かかる見込みだそうだ。
過去に法令違反を理由に解散命令が確定したのはオウム真理教など2件であり、いずれも幹部らが起こした刑事事件が根拠となったが、旧統一教会は幹部による刑事事件は確認されておらず、霊感商法や高額寄付等が問題となっているのだ。
旧統一教会は政府が示した解散命令請求の方針について「極めて残念で遺憾」とコメントを発表した。「今後は裁判において法的な主張を行っていく」として司法の場で争う構えを示した。政府は「組織性、悪質性、継続性」の3要件を満たせば民法上の不法行為を理由に解散命令を請求できるとの基準を設けているが、これら3要件はいずれも定性的なため被告と原告側の主張がかみ合わない恐れがあり、裁判は長引く可能性が充分にある。
統一教会と政界、特に自民党議員との関りは想像以上であることが報道されている。昨年9月、自民党の茂木幹事長は旧統一教会と党所属国会議員の関わりについての調査結果を公表した。衆参両院の所属議員全379人から回答を得て、教団側と何らかの接点があったのは半数近くの179人だったと明らかにした。自民党の調査で教団と接点があったとして氏名を公表された衆院議員のうち、2021年の衆院選で次点との差が1万票以下だったのは16人、選挙区で敗れ比例復活だったのは27人だったそうだ。これら43名の議員は、特に今秋にでもあると噂される衆院選での影響を心配しているだろう。
一般選挙人の拒絶反応も怖いが、選挙運動員を依頼できなくなる恐れもある。運動員が統一教会の信者であれば、上から言われたことは絶対命令として必死に選挙運動をやってくれるだろう。解散命令が出されても、ほとんどが様子見でだんまりを決め込むだろう。
何しろ細田前衆議院議長は旧統一教会の関連団体の会合への出席8回、祝電の送付3回などを認めているが、いずれも問題は無いと言うばかりで、今もって説明らしい説明をしていないのだ。問題無しと思うならば、胸を張ってその理由を述べるべきだ。国会議員の模範となるべき議長がこんな有様では一般議員は推して知るべしであり、何とも情けない。
そして教団へ解散命令が出されたとしても、宗教法人としての納税義務免除が無くなる程度で、宗教活動は続行できるとのことだ。統一教会の政治家への接近は禁止される訳ではないが、一般国民には知られないように密かに行われるに違いない。政治家は選挙時の応援を当てにして、教会は広告塔として利用するつもりであろう。2023.10.18(犬賀 大好ー955)