日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

我が国の財政破綻はじわじわと押し寄せて来る

2021年11月20日 18時28分55秒 | 日々雑感
 先の衆議院の総選挙ではばらまき合戦と現財務次官から批判されていたが、自民党の圧倒的勝利となり、岸田新首相は公約通り55兆円規模のばらまき政策を実施しようとしている。コロナ禍で生活苦に苦しむ人や経済回復のためと称しているが、国の借金はGDPの2倍を超える異常状態であるに拘わらず。

 現代貨幣理論は、日本のように独自通貨を持つ国は債務返済のための自国通貨発行額に制約を受けないため、借金をいくらしても財政破綻は起きないと説く経済理論であり、従来の経済学には無い異端の学説である。

 この理論では、巨額債務があっても、インフレを抑制すれば、社会保障やインフラなど公共サービスの拡充は可能だと訴えている。現在の日本は異次元金融緩和の真っ最中であり、インフレ抑制の懸念どころか、デフレ脱却を目的にインフレを起こそうとしている位で、インフレ抑制の心配は皆無だ。

 この理論を背景に、安倍元首相は国の借金はお札をどんどん刷ればいくらでも解消出来ると金融緩和を始めた。異次元金融緩和の目標は物価上昇率2%の達成であるが、開始から10年以上経つのに達成されておらず、国の借金はついに1100兆円を越えた。現代貨幣理論が本当に正しければ全く心配ないが、どう考えても将来に禍根を残す。

 国の保有財産はそれほど変わらない筈なのに、お札をどんどん増やせば即インフレとなる筈であるが、今もってデフレ傾向だと言う。開始当初2年で目標を達成できなければ辞職すると宣言していた日銀の幹部もいたが、経済とはそれほど予測できないものだろうか。

 経済学者の中には財政健全化を訴える人もいるが、今年11月9日の経済財政諮問会議でも話題にもならなかったようだ。内閣府は今年1月21日、政府の経済財政諮問会議に中長期の経済財政試算を提出している。財政健全化の目安となる国と地方の基礎的財政収支(PB)黒字化の実現時期について、名目3%超の高い経済成長が続けば2029年度に達成できると試算した。

 歴代の政権は判で押したように成長戦略を立てるが、3%超の高い経済成長を実現できない。岸田首相は”分配と成長”を掲げるが具体策が見えない。世界をリードした半導体産業は、台湾企業が逆に日本に進出することで話題となるほどであり、太陽電池は中国に取って代わられてしまった。現在、自動車産業は日本の稼ぎ頭であるが、世界は電気自動車への方向転換で競争が激化しており、安穏としておられない。

 PBは政策経費を借金に依存せず、税収でどれだけ賄えているかを示す指標であり、感染症対策のため3次にわたる大型補正予算編成もあり、PB赤字は2020年度に69.4兆円、2021年度に40.1兆円の巨額に上るとのことだ。

 安倍元首相はお札を印刷すれば財政破綻は起きないと今でも主張しているようだが、財政破綻は突然やってくるのではなく、じわじわと押し寄せて来るらしい。我が国の社会保障制度は破綻直前であり、現在のコロナウイルス騒動の原因の一つは、地域の保健所を大幅に縮小したためとも言われている。2021.11.20(犬賀 大好ー765)


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