日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

ETF購入後の後始末

2024年04月03日 18時48分49秒 | 日々雑感
 植田日銀総裁が先月3月19日の金融政策決定会合でこれまでの異次元金融緩和政策の終了を決定した。それに伴い2010年に開始した不動産投資信託(J-REIT)と、上場投資信託(ETF)の買い入れも終了したが、これら処置はこの日突然ではなく前々から徐々に進めていたようだ。

 2023年4月より日銀総裁に就任した植田氏はマクロ経済学などを得意とする経済学者だそうで経済のプロだ。自民党の安倍元首相と黒田前総裁が2013年4月から始めた大規模な異次元金融緩和政策は10年経過しその悪影響が顕在化し、この政策の停止が植田新総裁の下でいつどのような形で行われるか注目の的であった。その終了は経済に大きな影響を及ぼすと懸念され、新総裁は就任以来停止ではなく継続を示唆してきた。これは停止の影響の大きさを懸念していたのだろうが、筆者はこの優柔不断な態度にイライラしていたが、前々からその終了を軟着陸すべく気を使っていたのであろう。日銀によるJ-REIT購入は2022年6月の12億円が最後で、その後一度も実施していないようだ。ETF購入額も2023年は計2103億円と、異次元緩和の開始以降で最も少なかったそうだ。

 そもそもETFとは、東京証券取引所などの金融商品取引所に上場している投資信託で、誰でも参加でき、日銀は直接購入するのではなく運用会社を介して購入する仕組みになっているようでETFが保有する株式の企業への議決権はないとのことだ。その意味で企業活動に対する国の関与は無いと言うことらしい。

 異次元緩和の導入以降10年足らずで日銀の保有残高は国内ETF市場全体の約8割を占め、国内株式市場の約7%相当にまで膨張したそうだ。株式市場を通じて経済をてこ入れしようとし、これまで日銀は約37兆円のETFを買い入れており、時価は2024年1月末時点で約67兆円と推計され、含み益は約30兆円と巨額で、この額を鵜吞みにすれば国は大儲けしたことになる。

 アベノミクスの効果としてよく株高を宣伝しているが、ETFによる下支えの影響はそれなりにあったのであろう。すなわち日銀が株式を購入すれば政府がその安全性を保証していることにもなり、株高への誘導にもなるだろうから。日銀の株式の保有は企業の経営にも影響する懸念があるが、企業への決議権はETFの運用会社にあり日銀の関与の心配は無いとのことだが、運用会社は当然国からの委託であろうので、この言い訳は余り当てにならない。企業側は国の保護を当てにして企業努力を怠り、世界の潮流から取り残された懸念が残る。

 ETFの含み益は30兆円とのことであるが、これはあくまでも帳簿上の額で、買い手がn無ければ只の紙屑だ。到底同額で現金化することは無理だろう。経済通も、日銀が購入済みのETFやREITを今後どうするかについては、「放出する時が大変だ。急激にやってもらうと株式市場がめちゃくちゃになる」と懸念を示し、「徐々に解消していく方向で進めるのが良いのではないか」と述べたそうだ。アベノミクスにはこの類の話が多い。
2024.04.03(犬賀 大好ー996)



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