経団連は4月16日、日本の産業競争力の強化に向けた政府への提言を公表した。これによると日本が国際市場で優位に立てる「勝ち筋」の産業を見極め、官民で推し進めることが重要とし、その候補として人工知能(AI)、ロボット、半導体、エネルギー等の7つを挙げている。
最初に挙げたAIの最近の進歩で目に付くのは生成AIであり、コンピュータが学習したデータを元に新しいデータや情報をまとめ上げる技術で、これまで人間が頭で考えていた作業をAIが代行しその答えを生み出す新しい技術である。誰もが利用可能な生成AIプログラムも既に市場に出回っており、特に有名なのがChatGPTである。その開発企業のOpenAIは4月15日、日本法人である「OpenAI Japan」の設立と営業開始を発表した。OpenAIの本社はサンフランシスコにあるが、世界各地に拠点があり東京オフィスは4つ目の拠点であり、アジア地域としては初になるそうだ。
日本でもChatGPTの普及が目覚ましく毎週200万人以上に使われており、日本向けに特化する等の技術開発でも重要な国であるそうだ。OpenAIの役割として、企業がAIによるイノベーションに対し遅れずについていけるよう支援することや、企業や政府と歩調を合わせテクノロジーの向上を目指しながら、より高度な基盤づくりが目標とのことである。
OpenAIに限らず、外資系企業が日本市場に参入を考える場合には、何よりもまずニーズがあるのか、自分たちの製品やサービスが売れるのか、儲かるのか、と言った視点で考えるのが常識だそうだ。顧客のためとか、ITの民主化と言った言葉は、綺麗ごとに過ぎないようである。
既に日本進出を果たして大成功を治めている企業には、例えばGAFAと呼ばれる大企業4社、Google・Amazon・Facebook・Appleがある。Amazon以外はIT企業であり、Amazonは通販で有名であるが生成AIの事業にもちゃんと参入している。Amazon Bedrockを利用すればテキスト生成はもちろん、画像生成、チャットボットなど様々なAIサービスを利用できるのだそうで、事業展開の速さに驚かされる。2022年に日本進出を決めたアメリカの企業、Gainsight、PagerDuty、Figmaはクラウド上のソフトウェアをインターネット経由でユーザーに提供する企業で、門外漢には初めて聞く名前だが、今後の発展が注目されているとのことだ。技術の流れの速さについていけない。
経団連はAIを「勝ち筋」の産業とするため官民一体となって推進したいと考えているが、米国発のこれらの企業は個人が考え出して起業したものである。日本人は目的が明確であれば集団で分担してまとめ上げることが得意であるが、AIもっと幅広くはソフトウエアの世界は個人のアイデアが物言う世界である。出る杭は打たれる日本人の風土も徐々にではあるが変化していくと期待するが、根本は学校教育にあり、そこから変化させることは容易でない。2024.04.18(犬賀 大好ー1000)
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