4日、冬季北京五輪が始まった。これまでの常識での開会式は国家の威信をかけた華やかさがある筈であったが、今回の開会式では聖火台の縮小など簡素化されており、持続可能な開発目標(SDGs)を意識していたようだ。
2008年に行われた夏の北京五輪開催式の華やかさを期待していた人は物足りなかったであろう。これは一例であり随所に国際世論を意識した演出が見られた。聖火リレーの最終ランナーをウイグル族の女性選手らが務める場面もあった。これは西欧などの国が、新疆ウイグル自治区などでの人権問題を理由に政府関係者を派遣しない外交的ボイコットを行う中での反論だった。
また、開会式には20か国余りの首脳などが出席し、翌日行われた歓迎のレセプションで、国際社会はもっと団結すべきだと習国家主席が訴えたそうだが、レセプションに参加した国は元々中国式のやり方を真似ている国であるので、大いに賛同されたことだろう。自国に都合の良いように解釈するのはお手の物であり、中国式のやり方だ。
中国の元副首相に性的関係を強要されたとする同国の女子テニスの彭帥選手が聖火ランナーとして登場するとの噂があったが噂に留まった。無理やりにでも出席させることも出来たであろうが、素直に解釈しない西欧のマスコミの反発を恐れたのであろう。
北京冬季五輪で新型コロナウイルスの他に懸念されるのが大気汚染の問題だ。この季節、中国の大都会はスモッグで霞むことで有名であり、中国政府も排出ガス規制や工場移転など対策に本腰を入れてきた。また、煙を発生する木材等を燃料とすることを禁止する一方、電力はすべて自然エネルギーで作られていると誇る。この寒い季節暖房がすべて電力で賄われているか極めて疑問である。
また、コロナ対策で自宅待機に違反した人の家の扉を溶接したり、材木を燃やす竈の入り口をコンクリートで固める等の強権的な対策がなされているようだが、共産党一党の強権を発動しないと取り締まることの出来ない人民のしたたかさも伺われる。
中国の経済的な発展ばかりがよくマスコミに登場するが、経済的な格差も大きいようだ。コロナ騒動以前中国人観光客の日本での爆買いと、同時に日本に押し寄せる技能実習生の多さに驚くと共に中国での経済格差の大きさを感じていた。
習主席も格差是正を図るべく ”共同富裕”のスルーガンを掲げた。日本や米国でも格差是正のために富裕層に対する増税を目論んでいるようだが、経済発展と両立させる実施は抵抗が強いようだ。この点国家統制経済の下では税制の改革は容易なように思われるが、経済発展を抑制してまで出来るであろうか。2022.02.09(犬賀 大好ー788)
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