日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

地球温暖化は着実に進んでいる

2017年12月20日 09時35分55秒 | 日々雑感
 今年の12月は、歳のせいもあろうかやけに寒い。人間は勝手なもので、最近の寒さを感ずると地球温暖化が恋しくなる。しかし地球温暖化は着実に進行している。

 米海洋大気局(NOAA)は今年の始め、2016年の世界の平均気温は約14.8度で過去最高であったと発表した。米航空宇宙局(NASA)も独自に集計・分析し過去最高であったことを確認した。

 また、世界気象機関(WMO)は、今年11月始め、今年1~9月の世界の平均気温は産業革命以前に比べて約1.1度高かったと発表した。今年の世界の平均気温も観測史上最も高い上位3位に入るとの予測も発表した。

 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2013年にまとめた報告書は、地球温暖化に対し「対策なし」「少しの対策」「中くらいの対策」「最大の対策」の四つのシナリオで、今世紀末の気温上昇を予測している。その予測では「対策なし」の場合、産業革命前の気温より4.3度の上昇になるそうだ。

 12月6日付の英科学誌ネイチャーで発表された論文によると、地球温暖化による今世紀末の世界の平均気温上昇は、IPCCの予測の数値よりも最大で0.5度高くなるとの話だ。

 この数値を出した研究チームは、最近の気候の観測データをシミュレーションに反映し、今世紀末の気温上昇を緻密に予測したのだ。その結果「対策なし」の場合、産業革命前より4.8度高くなるとの結果を得た。すなわちIPCCの予測から得られた4.3度より0.5度高いことになる。温暖化の程度はより厳しくなっているのだ。

 最近の一日の気温の変化が10度以上になることも珍しくなく、0.5度程度の上昇は大騒ぎする程の値ではないように思える。

 たかが0.5度、されど0.5度である。世界の平均気温が1度上がるごとに、小麦の生産量は6%、コメの生産量は10%下がるそうだ。これは、英医学誌ランセットが地球温暖化による健康影響に関する2017年版報告書を発表した結果だ。気温上昇により労働生産性の低下や感染症リスクが増大し、人々の健康にとって大きな問題となり、2016年のインドだけで約42万人が働いていないとのことだ。

 この報告は気温が人間に与える影響を調べたものであろうが、気温が植物に与える影響もそれ以上に大きいと推測できる。我が日本でも、稲作やみかんの北限が北の方に移動しているとの話をよく聞く。これに関しては別途記したいと思う。

 また、地球温暖化の影響は異常気象の多発に現れているとのことだ。平均気温が上がるとなぜ異常気象が頻発するのかの明確な説明は聞いたことが無いが、多発していることは確かであろう。平均温度の上昇は海水温度の上昇となり、気圧の変動に影響し、異常気象と繋がるようだ。近い将来これらの因果関係が明らかになるであろうが、その時には既に対策が手遅れになっている懸念がある。

 異常気象の例としては、例えばシエラレオネ、コロンビアで大雨により数百人が犠牲となる洪水が発生し、インドでは高温、干ばつによる農作物被害で過去30年間で6万人が自殺したとのことだ。

 北大西洋では巨大な台風が3連続で発生した。9月上旬のハリケーン、イルマは大西洋で発生したハリケーンの中で観測史上最強の勢力であったそうだ。あまりの威力に、地震と間違われたほどであったとのことだ。

 日本でも10月末関東地方に台風22号がやって来た。この季節にやって来るのは珍しいが、これらは海水温度の上昇が影響しているようだ。

 気象庁は今月11日、今年12月の寒さは、南米チリ沖の赤道付近で“ラニーニャ現象”が発生しているからだと発表した。これは貿易風によって海面付近の温かい海水が西側に引き寄せられ、東側では深いところから冷たい海水が湧き上がり、海面水温は東側で低く、西側で高い状態となる現象であるとのことだが、なぜ貿易風がいつもより強くなっているかの説明は無い。

 更にこの現象と地球温暖化の関係は明らかにされていないが、兎も角海水温度が気象に大きく影響している確かなようだ。水は土に比べ温まり難く、冷め難い。しかも地球上の海水の量は膨大だ。一端温度を上げると、元に戻すことは不可能と思ってよいだろう。平均温度の高まりは着実に海水温度を高め、異常気象の頻発へとつながるのだろう。

 人間の活動すべてが熱エネルギーに変わっていくのはエントロピー増大の原則だ。地球温暖化対策はこの増大を少しでも遅らせたいだけだと思うと、将来が暗くなる。2017.12.20(犬賀 大好-400)

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