日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

北朝鮮の核実験

2016年01月16日 09時52分58秒 | 日々雑感
 1月6日、北朝鮮は4度目の核実験を行った。北朝鮮の発表では水爆の実験であったとのことだが、米国は疑問視している。水爆でなく原爆であったとしても着実に技核術を身に付けている。早速、日本の国会は、8日午後、本会議を開き、北朝鮮による核実験実施に対し「唯一の被爆国の我が国として断じて容認できない暴挙」などと非難する決議を全会一致で採択した。

 また、国連の安全保障理事会は日本時間の7日午前1時すぎから非公開で緊急の会合を開き、北朝鮮による核実験を強く非難し追加の制裁も視野に新たな決議の検討に入るとする、報道機関向けの声明を発表した。安保理は、以前より北朝鮮が新たな核実験を行った場合、重大な措置を講じるとの決意を表明しており、北朝鮮の行為は「安保理決議の明白な違反」であると指摘し、今回の違反の重大性を踏まえ、新たな制裁処理等直ちに作業を開始すると表明した。

 日本や国連の北朝鮮に対する非難は核実験に対する非難であり、核保有に対しては言及していない。一旦保有が認められれば、世界はそれを尊重せざるを得ないのだ。過去3回の実験により世界は北朝鮮を核保有国と認知したと思われるが、金正恩は保有国としての扱いを受けていないと思っているのであろうか。

 今回4回目の実験を敢えて行った真の目的は何だったろう。色々報道されている。北朝鮮は今年5月開催予定の朝鮮労働党の党大会に向けて、国内の経済不振から目を背けさせる為であるとか、米国や中国の対北朝鮮政策に不満があり、見返す必要が有った為とか言われているが、多分どちらでもあったのであろう。

 核実験は核を保有したことを世界に宣言する手段の一つであろう。一旦保有が認知されれば、保有に対して世界は文句を挿まない。実験は一過性であるが、保有は永続的であり、本当に恐ろしいのは保有の筈である。

 1998年5月、インド、パキスタンが相次いで核実験を断行した。日米など先進諸国は両国に経済制裁を実施したが、目に見えた効果はなかった。結局、2001年9月11日の米同時多発テロ後、印パ両国を反テロ戦争の拠点と考える米国の意向が働き、制裁解除が方向づけられ、現在に至っている。印パ両国は、テロのお蔭で無事核保有国として地位を確立できたわけだ。核保有は通常の軍備より維持費が少なくてよいとのことであるが、そのためか特にインドの経済発展は目覚しいところがある。

 安倍首相は、昨年12月にインドのモディ首相と日印原子力協定を原則合意した。 これは、日本の原子力発電技術をインドに輸出せんがための協定である。インドは核不拡散条約(NTP)に未加入である。核軍縮・不拡散を掲げる日本にとって、原発技術を核実験や軍事転用を防ぐ仕組みが不可欠であるが、軍事関係は国の最高機密である。どのような文言を盛り込もうが、日本は軍需機密にまで触れることは出来ない。軍事転用されても日本は勿論誰も文句を言えないだろう。

 金正恩はインドを見習いたいと思っているのかも知れない。核保有に対しては誰も文句を言えない。文句を言えるのはせいぜい核実験に対してのみとの感がする。2016.01.16(犬賀 大好-199)

日本人の勤勉さはどこから

2016年01月13日 09時29分38秒 | 日々雑感
 経済協力開発機構(OECD)によると、2012年のドイツの就業者1人あたりの平均労働時間は1393時間であり、日本に比べて352時間も短い。一日あたりにすると、年間を通し毎日約1時間日本人の方が長く働いていることになる。

 このように長時間労働を厭わない日本人の勤勉さはどこから来るのであろうか。仏教的には勤労の勧めは無いどころか、働くより瞑想する方を重要視し、食べ物は人から恵んで貰えの精神である。神道や儒教に勤労の勧めはあるのだろうか、余り聞かない。キリスト教においては6日働いたならばちゃんと一日休息を取れと教え、ひたすら労働ではない。

 堺屋太一氏によれば、日本人の勤勉さのルーツは江戸時代中期の石田梅岩あたりにある、とのことを彼の著書で読んだことがある。江戸中期の世相は商業の発展と共に急速に貨幣経済への進展が進む一方、封建体制にも陰りが見えはじめ、都市部には無職の武士や農村からの農民の流入で溢れていた。一方では富裕な商人たちの行動やその驕りに対する批判が噴出した時代であったそうだ。かかる社会状況の中で石田梅岩はその商いの体験から得た「信念」を社会に問いかけた。

 その中身は「正直・倹約・勤勉」を基盤にするもので、その後 “石門心学” として広がって行ったとのことだ。梅岩の信念は商家奉公の傍ら「神・儒・仏」の道を独学で学び、その知識を土台にして己の商いの体験から得た信念とのことである。労働に関して何も教えない、神道、儒教、仏教を乗り越えて労働に対する教えを開いた、と言えよう。どうやら、日本人の勤労精神は、日本古来のものではなく、江戸中期から培われてきたと推察できる。

 高度経済成長期には、「24時間戦えますか」の掛け声と、猛烈社員が幅を利かせた。これは梅岩の教えが影響したというより、戦後の復興が本格化し、働いただけ分だけ稼げた時代であった為ではなかろうか。その頃の名残であろうか、日本ではまだ長時間労働を良しとする風潮が幅を利かせている。

 大手居酒屋チェーン「和民」で正社員だった森美菜さんが入社2カ月後に過労死した問題があった。店の従業員の9割が勤務体系の不規則なアルバイトのため、シフトに穴が開くことは日常茶飯事であり、シフトの穴埋めは社員の役目となっていた。この為責任感の強さから長時間労働に追い込まれたようだ。上司は、決して強制していないと言い訳しているようであるが、責任を持たせるとの美辞麗句の下、働かざるを得なかったに違いない。森さんは石門心学の実践者でもあったのだろう。

 森さんに限らず、日本人には石門心学の信奉者は多い。しかし、2013年の独の国民1人あたりのGDPは4万3667ドルであるのに対し、日本は3万6294ドルであった。つまり、独人は日本人よりも労働時間が短いのに、日本を上回る生産を生み出しているのだ。この理由はいろいろ言われているが、一つには日本が島国であるとの閉鎖性があると感ずる。

 すなわち、日本の製造企業は同じような製品を作り、専ら日本国内で販売競争してきた。例えばテレビである。大手の電気メーカは同じような性能のテレビを競って製造してきた。技術者の努力は世界にまで広がらず、国内に留まってしまった。これが生産性の悪さとなり、今日の低迷となっているのだ。

 日本人の「正直・倹約・勤勉」は貴重である。グローバル化された世界でこの精神はどのように変化していくであろうか。2016.01.13(犬賀 大好-198)

石油輸出国機構(OPEC)の復権はあるか

2016年01月09日 14時15分30秒 | 日々雑感
 ガソリンの価格がこのところ120円以下となり、消費者は大喜びである。これは世界的な原油供給過剰に原因がある。石油製品の値下がりは庶民にとって有難いが、デフレ脱却を願う政府関係者は頭の痛いことであろう。特に日銀の黒田総裁は物価上昇率2%を目標に異次元緩和を続けているが、一向に達成する目途が立たない。IMFのイエレン総裁は、同様な目標を掲げていたが、石油価格の予想外の低下が無ければ目標は達成された筈と、金融緩和中止を決断した。黒田総裁は、そんなことは理由にならないとばかり、金融緩和を続行するつもりのようだ。

 この原油価格の低下は、これまで石油の供給量をコントロールしてきた石油輸出国機構(OPEC)の影響力が低下したためであろう。OPECとは、1960年にイラク、イラン、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラの5か国によって結成された。 現在は、カタール、インドネシア、リビア、アラブ首長国連邦、アルジェリア、ナイジェリア、ガボンの7か国が加わり、12か国の組織になっている。ほとんどが中東の国である。

 さて、2012年の石油輸出量の上位3国は、サウジアラビアが625万バレル/日、ロシアが487万バレル/日、カナダが247万バレル/日であり、何と、2位、3位は非OPECである。これでは、OPECが石油価格を支配できない。生産国は、なるべく高い値段で輸出したいが、そのための減産では収入が減るとのことで、意見の統一が出来ないのだ。資本主義、自由経済主義の世の中当然の話だ。

 4~50年前には、石油の枯渇問題が深刻になり、現在のような供給過剰状態になるとは夢にも思わなかった。2012年末時点で、世界の石油確認埋蔵量は1兆6,689億バレル(オイルサンドを除く)であり、これを2012年の石油生産量で除した可採年数は53年となる。1970年代のオイルショック時には30年後には石油は枯渇するとの説まで流布した。それから早くも45年経ったが、枯渇どころではない。

 その後、掘削技術、回収率の向上や新たな石油資源の発見によって、1980年代以降、可採年数はほぼ40年程度の水準を維持し続けてきた。最近では、米国のシェールオイルやベネズエラやカナダにおける超重質油の埋蔵量が増大していることもあり、可採年数はむしろ増加傾向にある。特にOPEC以外の国における埋蔵量の増加が目立つ。

 最近、石油輸出国機構(OPEC)は、将来の見通しを発表した。2014年は、一日当たりの生産量が、OPECは3千万バレル/日であったのに比べ、非加盟国は4270万バレル/日であり、非加盟国の方が上回っていた。しかし、非加盟国の供給量が10年後の4440万バレル/日をピークに減少する見込みであるのに対し、OPECの埋蔵量の多さから生産が伸び、2040年には4070万バレル/日と、逆転するとのことである。そうなればOPECの復権となるとの楽観的見込みのようである。

 しかし、つい先日、3日にOPECの主要国、サウジアラビアとイランが国交断絶をした。これを受けて、原油価格が下がったとの報道もあった。OPECの復権はまず両国の和解が前提であろう。

 世界の推定石油埋蔵量は調査機関によって大幅に異なり、明確でないが、グリーンランド自治政府は、グリーンランド領域内には、少なくとも推定埋蔵量が1 兆100億バレルにのぼる油田があると予想している。地球温暖化の影響でグリーンランドを覆う氷が解け、そこに埋蔵する石油が取り出し可能になるとの背景があるようである。北極海の海底油田も同様であり、本当であるならOPECにとって地球温暖化は、この意味でも防止すべき課題である。2016.01.09(犬賀 大好-197)

神様に手を合わせるということ

2016年01月06日 08時47分43秒 | 日々雑感
 初詣で、神様の前で手を合わせて、何かお願いすることは、俄か信者で真に手前勝手な行いである。神様もわずかなお賽銭でかなえてくれる程お人よしではない。

しかし、自分の願い事を自分の心に浸み込ませる効果があると思う。この意味で、神様の前だけではなく、日の出に向かって、大きな樹に向かって等、心の中で復唱することは、重要なことと考える。神様にお願いする他力本願ではなく、心の中で思うことは、自然に行動となって現れるからである。以上

外国人労働者と少子化対策

2016年01月06日 08時40分58秒 | 日々雑感
 ここ数年、日本の人口はどんどん減少している。特に日本の経済を支える15~64歳の生産年齢人口は、 総務省が発表した人口推計によると、2013年12月時点では7,883万人まで減少しており、今後の予測では2060年には4,418万人まで大幅に減少すると予想している。生産年齢人口は、20年ばかり前は8700万人位であったので、早くも1000万近い人数の減少があったわけだ。

 安倍政権は、“新三本の矢”の一環として、「希望出生率1.8の実現を目指す」と明言したが、例え今すぐ実現できたとしても、生産年齢人口に達するまでは15年要する。

 少子高齢化社会では供給力が減少していくのだ。毎年50万人位減少すると予想される労働力を補うためには、生産性を上げるか、外国人労働者に頼らざるを得ない。

 さて、一方では日本で活躍する外国人労働者がどんどん増えている。厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況によると2014年10月末の合法的な外国人労働者数は78.8万人と過去最多を更新したようだ。昨年の大晦日に渋谷駅の付近で若者が大騒ぎしたそうだが、その約半数は外国人だったとの報道もあった。いつの間にか外国人労働者が押し寄せていたのだ。

 厚生労働省研究会の推計によれば、2003年には、外国人総労働者数は79万人となっており、 合法就労者が57万人、不法残留者が22万人の内訳である。最近の統計は不明であるが、総外国人労働者に対する合法労働者が同じ割合だとすると、計算上昨年は100万人を超す外国人が日本で働いていることになる。自由人権協会理事の旗手氏も、すでに100万人働いているのはほぼ確実と言っている。

 さて、日本で合法的に働く外国人78.8万人は4つに分類されるそうだ。①身分に基づく残留、②専門・技術分野における労働、③資格外活動(主として留学生)、④技能実習制度による労働、である。この中で一番多いのは、①の日系人や日本人の配偶者等であり、33.9万人であり、全体の43%を占める。残りの②~④は、ほぼ同数だ。

 一方、不法滞在者は21万人と推定される。このような多くの不法滞在者がどうやって日本に入って来るのかよく分からないが、一つには技能実習制度の抜け穴があるようだ。

 日本で働きながら技術を学ぶ「技能実習制度」で来日した外国人が、実習先からいなくなる事例が相次いでいるそうだ。今年は10月末までに、約4930人不明となり、年間で最多だった昨年を上回ったとのことだ。技能実習制度は、日本の優れた生産技術を習得し、自国で活用するとの高尚な目的の筈であるが、実態は日本人が敬遠する単純労働の担い手として活用されているためだ。しかも、そこでの賃金は極めて安いため、違法を覚悟し高賃金を求め、他の職種にこっそり変更するのだそうだ。失踪者の多くは必然的に不法滞在者となる。元々技能習得より、賃金獲得が目的であったとの説もあるが、日本の受け入れ先もちゃっかり労働力不足を補っているのだ。失踪者ばかりを責められない。

 既に日本は外国人労働者抜きでは考えられなくなっているのだ。介護師に関しても、海外に頼らないと、人手不足で閉鎖する介護施設がたくさん出るとの指摘もある。少子高齢化社会はどんどん深まっていく。労働生産性の向上は当然であるが、外国人労働者に頼らざるを得ない社会にどっぷり浸かりつつある。2016.01.06(犬賀 大好-196)