日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

核兵器禁止条約と日本の核武装

2017年10月11日 09時08分40秒 | 日々雑感
核兵器禁止条約は、今年7月に122ヵ国の賛成多数で採択された。条約の発効は50ヵ国の署名・批准を達成してから90日後だそうだ。9月20日の記念式典には、署名する国が50ヵ国に達したとのことであるので、来年早々には発効すると思われる。

先日、この条約の成立に尽力した”核兵器廃絶国際キャンペーン”のメンバーが、今年のノーベル平和賞に選ばれた。日本政府がこの核兵器禁止条約に参加しないのは、70年にわたって核廃絶を訴えてきた被爆者に対する裏切りだとして、メンバーは日本に改めて参加を求めた。

この条約の発効、そしてノーベル賞の受賞と、勢いづくが、果たして成果が現れるのであろうか。単に犬の遠吠えの感もする。

核兵器禁止条約は核非保有国のオーストリア、ブラジル、メキシコ、南アフリカ、ニュージーランドなどが交渉を主導したが、米、英、仏、ロシア、中国、インド、パキスタン、北朝鮮、イスラエルの核保有9か国は条約に反対の立場で、いずれも交渉に参加していない。保有国がこの条約に賛成すれば、自国の核が問題になるからだ。また、世界で唯一の被爆国で核廃絶を長く訴えてきた日本も、交渉をボイコットした。

北朝鮮の金正恩は核保有に向けて一直線であるが、世界各国は核実験等を一斉に非難している。しかし、既に核保有している国に非難するだけの資格があるのだろうかと考えてしまう。核の保有は絶対的な効果があるため、核保有国は権利を独占したいが為、仲間を増やしたくないとの思いで反対していると感ずる。

また、北朝鮮の核の技術が他国へ輸出されるのを恐れるから非難するとの意見もあるが、そうであるならば輸出をさせないような方策を練ればよいだけだ。兎も角、米国やロシア並みの核技術には及ばないとしても、ある程度の核技術は確立したのは間違いない。そこでお金の欲しい金正恩は当然輸出を考える懸念は残る。北朝鮮への経済封鎖は強化されているが、核の輸出だけは何としてでも防いで欲しい。

先日、イラク北部のクルド自治政府が実施した住民投票で、独立支持が圧倒的多数を占めた。中東の4カ国を中心に計約3000万人とされる人口を抱え、国なき最大の民族と言われるクルド人の悲願は民族統一であろう。しかし、トルコを始めとする周辺各国は自国への波及を恐れ独立運動に強く反対している。クルド人が悲願を達成するためには多くの難題が立ちはだかる。多くの血が流されることもあろう。しかしクルド人が核保有すれば即解決するであろう。それほど核の力は絶大である。恐らくクルド人への北朝鮮からの何らかの働きかけがあっても不思議ではない。

北朝鮮に続き、韓国も核保有の世論が高まっているとの話である。日本は核兵器の開発技術を十分持っているが、現憲法の下では出来ない。日本国憲法では、核兵器が禁止されていると規定されていないが、第9条の、戦争や国際紛争においては武力の使用を永久に放棄する、という規定があるため、その趣旨からして出来ないのだ。

安倍首相は、今回の総選挙では国難と称して北朝鮮の脅威を煽り立て、第9条はそのままにして自衛隊の存在を明記する、との憲法改定を公約している。現9条と自衛隊の存在は矛盾するため、更なる改定が必要になることは明らかであり、真の狙いはそちらにあると思われる。

小池都知事が党首となる希望の党も憲法改定を目指しているが、その内容はよく分からない。小池氏は核武装の必要性も主張しているとのことであるので、目指す所は安倍首相と同じなのかもしれない。

日本は世界唯一の被爆国でありながら、米国の傘に守られているとの理由から、核兵器禁止条約には参加しなかった。トランプ大統領の米国第1主義の下では、いつ傘を外されるかも知れないと不安を煽っている人もいる。このような人の行きつく先は核武装である。核兵器禁止条約に参加しない理由は、将来日本が核武装するときに妨げにならないようにとの、予防線と考えているのかも知れない。2017.10.11(犬賀 大好-380)

物価上昇率2%を金融緩和の判断基準としてよいのか

2017年10月07日 09時01分59秒 | 日々雑感
 日銀の黒田東彦総裁は、2013年4月、物価上昇率2%を2年程度で実現すると約束し、大規模金融緩和を開始した。しかし、現時点では約束は果たされていない。7月の物価上昇率は0.5%で、日銀が目指す2%にはなお遠い。

 日銀が公表した9月末の金融政策決定会合の主な意見は、2%の実現にはまだ距離があることから、これまで通り、金融緩和を粘り強く推進するとの意見が相次いだそうだ。政策委員に新たに就任した片岡委員は、一層の金融緩和を主張しているとのことだ。

 経済学にど素人の筆者は、これほどの異次元緩和の結果、インフレの歯止めが利かなくなることを恐れていたが、未だ物価上昇率は2%以下だとは、驚きである。経済学の専門家ですら予想が外れるのだから、素人が外れるのは当然かもしれないが、経済学とはこれほどいい加減な学問かと驚きである。

 しかし、一部の生活必需品は値上がりしているようだ。世界的なかつおの不漁などの影響で、鰹節は9月出荷分から、5~25%値上げされる。また、10月からオリーブ油を10%以上値上げする企業もある、と経済ジャーナリストの荻原博子さんは報告している。かつおの不漁は一時的な現象かも知れないし、油の値上げも円高の影響であろう。

 また、大手電力10社は9月の家庭向け電気料金を発表したが、火力発電の燃料となる液化天然ガス(LNG)などの価格上昇が続いているため、6社が8月よりも値上げするそうだ。都市ガス全4社も11カ月連続で値上げするそうだ。関西電力は高浜原発3号機・4号機の運転再開によって8月に値下げをしたが、9月には26円値上げするそうだ。LNGは輸入に頼る為、円高の影響であろう。

 一方、技術の進歩、経済の効率化や競争の激化、が進み、KDDIは7月に従来に比べ2~3割安くなるスマートフォンの新料金プランを発表し、8月に入るとイオンがプライベートブランドの114品目を平均で1割値下げすることを表明した。また、イケア・ジャパンも家具など886品目を来年8月までに平均で約22%値下げすることを決めたそうだ。

 どうも、値上がりするものと、値下がりするものが共存しているようであり、物価上昇率のみで評価すること自体を金融緩和の判断基準にして良いものかおかしさを感ずる。

 そもそも物価上昇率を示す代表的な消費者物価指数とは,日常生活で私たち消費者が購入する商品の価格の動きを総合してみようとするものであり、私たちが日常購入する食料品などの価格の他に、理髪料などのサービスの価格の動きも含まれているので、スーパで購入する日用品は極一部に過ぎないのだ。

 これまで消費者物価指数は経済政策を的確に推進する上で重要な指標となってきたが、様々な欠点も指摘されている。

 消費者物価指数は、家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によって、どう変化するかを指数値で示したものである。従って、同一店舗における価格が変化しなければ物価は変わらない仕組みになっている。しかし、より価格の安い店で購入するようになるといった家計の行動の変化、すなわち消費構造の変化がある場合、価格の変動を捕らえることはできないのだそうだ。

 最近ネットで購入することが盛んになっている。一般的にネット価格が実店舗より平均13%安いとのことで、総務省の調査によると、ネットショッピングを利用した世帯は全体の34.9%にもなったとのことだ。正に消費構造の変化が進行中であるのだ。
日本の消費者物価指数は、消費構造の変化を捉え切れておらず、実体より1ポイント程高めであることが知られているのだそうだ。そうなると7月の物価上昇率は0.5%であったとの話であるが、実体は、0.5%の物価下落だったと言うことになり、目標は更に遠ざかることになる。

 金融緩和の判断基準は、消費者物価指数の算出根拠の見直し、更に輸入品の価格を左右する替レートの変化も加味して決められるべきであろう。

 そもそも、金融緩和は景気好循環を目的とする着想から生まれたものである。現在、企業はアベノミクス景気で潤っているが、消費者にまで恩恵が回っていないとのことだ。企業の儲けが消費者に回らない原因追及とその対策こそ、日銀政策決定委員の役目かも知れない。金融緩和の弊害が大きくなっているのに、更に緩和を大きくしろなどとは、責任ある者の言い分とは信じられない。2017.10.07(犬賀 大好-379)

北朝鮮に中国の傀儡政権誕生の可能性はあるか

2017年10月04日 09時29分18秒 | 日々雑感
 今年2月、クアラルンプール国際空港で金正恩委員長の異母兄の金正男氏が殺害された際、その息子である金漢率氏が話題になった。現在、中国は金漢率氏をどこかに匿っている筈である。氏は北朝鮮では金正男氏と並ぶ正統な体制承継者と見なされ得るため、もし金正恩が排除された場合、有力な次期後継者となろう。中国は北朝鮮の崩壊を防ぐことに最大努力しているように思われるが、一方では聞き分けの良い傀儡政権の樹立を企んでいても不思議ではない。

 北朝鮮の核保有はどうやら避けられない状況となってきたが、中国にとって最善の策は傀儡政権の樹立であろう。金正恩に代わり聞く耳を持つ主導者となれば、北朝鮮への全面的な経済支援により、その崩壊を避けることも出来るだろし、中国への核の脅威は無くなるだろう。

 金正恩の北朝鮮が核保有した場合、世界の懸念材料の一つは核技術の拡散との話だ。お金の欲しい北朝鮮と核技術が欲しい国の結びつきはいくらでもありそうだ。一度核保有すれば、国の存続は絶対安全と信じられている。イランを筆頭に独裁体制を守りたいアフリカ諸国も沢山ある。

 これらの可能性を、中華思想の習近平氏が指を咥えて見ている筈が無い。金正恩の核保有は恐ろしいが、北朝鮮の崩壊はもっと恐ろしい。残される道は傀儡政権の樹立しかない。

 トランプ大統領と金正恩の罵倒合戦が続いており、今にでも戦争が始まりそうな気配であるが、両者共に本当に戦争を欲しているとは思えない。トランプ大統領のツイッター内容は、単にストレスのはけ口であろうし、金正恩は弱みを見せたくない子供の仕業であろう。

 国際政治学者の酒井啓子氏も、制裁も攻撃も効果なし(9月13日朝日新聞夕刊)と主張しているが、話し合いで核放棄をする様子は見られない。然らば、核保有を認知することしか選択肢がないだろうか。中国にとって核保有を安心して認知するためには、言いなりになる北朝鮮だ。

 ネットを見ると、様々な憶測が飛び交っており、話としては面白い。無責任な話であるが、何があってもおかしくない程、情勢は混とんとしている。

 まずロシアへの亡命説だ。今や金正恩政権は中国ではなく、ロシアの傀儡政権となっているとの話だ。先日の6回目の核実験では、ロシアは事前に連絡を受け、国境近くのロシア側住民は事前に避難していたそうだ。また、万が一に備え金正恩には亡命ルートまで用意されているという。北朝鮮とロシア間には、金正恩一族が亡命するためのトンネルまで建設されているというから驚きだ。

 また、昨年7月には在英国北朝鮮大使館の、テ・ヨンホ公使が妻や子どもと共に亡命し、先ごろ韓国入りしたそうだ。公使によれば、金正恩は米国などの暗殺行動から逃れるため、すでに中国逃亡計画を策定したと述べたそうだ。中国も傀儡政権が出来るのであれば、金正恩一族の亡命など簡単に受け入れるだろう。 

 更に、昨年10月には、金正恩委員長の健康管理に関わっていた北朝鮮の高官が亡命を求めたとの話だ。金正恩氏のストレスによる健康不安はかなりあるとのことだ。氏は疑心暗鬼の為No2の人材をことごとく粛清しているとのことだが、自分が病気で倒れた場合、北朝鮮の指導を誰に託すか、子供は小さ過ぎるため、異母兄である金正男氏の息子の金漢率氏に託すことが罪滅ぼしと考えるかも知れない。

 これらの噂はどこまで真実か分からないが、トランプ大統領と金正恩委員長のにらみ合いはチキンレース状態であり、今後の見通しは何が起きても不思議でない状況であろう。戦争だけは起きて欲しくないが、一番無難な解決方法は、金正恩が何処かに亡命し、北朝鮮に中国の傀儡政権が出来ることであろう。2017.10.04(犬賀 大好-378)