日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

国防費倍増は世界の動きに従ったまで

2022年12月14日 09時26分37秒 | 日々雑感
 ロシアのウクライナ侵攻は、わが国の安全保障にも大きな影響を与えている。ウクライナ侵攻はプーチン大統領が仕掛けた戦争であり、ウクライナがロシアを離れ西側諸国に接近しようとしているのを拒もうとしてウクライナに傀儡政権を樹立することが目的であった。プーチン大統領に抵抗するウクライナに人道問題は二の次ばかり圧倒的な軍事力で破壊攻撃する行動を目にした周辺の国々は自分の国は自分で守らなくてはならないと一斉に軍事力の増強に乗り出した。

 また、中国も台湾は自国領土だとして武力統一を匂わせている。ゼロコロナ政策の失敗による国内の混乱を外交問題に振り向けないよう願うばかりだ。台湾を巡り米国と中国の衝突が現実味を帯び、日本は蚊帳の外で様子見と言う訳にはいかない。

 さて、我が国の防衛関係費は、2022年度当初予算で5兆3145億円であり、目下国内総生産(GDP)比が1%程度である防衛費を、今後5年以内に2%以上へ引き上げるべく、政府は動き出している。この動きは日本独自の動きではなく北大西洋条約機構(NATO)の動きと関係している。

 2014年当時、NATO加盟国であるEU諸国において国防費対GDP比は、平均で1.19%だったが、2019年には1.53%に上がった。今般のウクライナ侵攻を受けて、国防費の対GDP比2%目標を表明するNATO加盟国が次々と出てきた。

 特に、NATO加盟国のドイツは、2022年から国防費を対GDP比2%とすべく予算を組んだ。2021年は1.49%だったところから2%にまで大幅に増額することになる。そして、福祉国家として知られるNATO非加盟国のスウェーデンも、国防費を対GDP比で2%にすることを表明した。

 我が国の防衛費は対GDP比1%でも高過ぎるとの意見もあったが、ウクライナ侵攻の影響か今年10月のNHKの世論調査で防衛費増額に対する賛否を聞いたところ「賛成」が55%で「反対」の29%の約倍となった。

 自民、公明両党は12月7日、防衛力強化に関する幹部協議会で、2023年度から27年度までの5年間で総額約43兆円となる防衛費の大幅増を巡り、歳出改革や決算剰余金などで賄えない不足分について増税で対応する方針を確認した。これに対し、防衛力強化の中身に対する疑問や財源に対する議論が活発となっている。

 防衛費の増額は日本の国内事情より先進国に歩調を合わせるためであろうので中身はこれから煮詰めるのであろう。一方、政府・与党は11日、防衛費増額の財源に法人税、たばこ税、東日本大震災の復興特別所得税を充てる調整に入った。これまで必要な財源は安倍元首相以来、赤字国債に頼り勝ちであったが、将来につけを回すやり方は、将来大きなしっぺ返しを食う。1千兆円を越す国の借金は増税してでも減らす努力をしなくてはならない。2022.12.14(犬賀 大好ー871)


ロシアのウクライナ侵攻に新たな局面が

2022年12月10日 09時55分11秒 | 日々雑感
 12月5日に、ウクライナとロシアの国境から600km以上離れたロシア中部のエンゲリス空軍基地がドローンで攻撃され、TU95爆撃機2機が損傷した。この基地はウクライナ各地へのミサイル攻撃に使用される重爆撃機が30機以上駐留出来る戦略的に重要な拠点だそうだ。損傷の程度は不明であるが、重要な空軍基地が無人ドローンで攻撃されるとはロシアの軍事力の甘さが目に付く。

 ここで使用されたドローンは元々ロシア製で偵察用だったドローンをウクライナが改造したと思われているそうだ。このドローンが完全に無人運転だったか、目標近くで無線誘導されたか不明であるが、技術の進歩はすざましい。更にウクライナは自国開発の1000㎞以上の航続距離のあるドローンの実用化直前のようだ。劣化するロシアの軍事力と進化するウクライナの軍事力、戦争は新たな局面を迎えようとしている。

 ウクライナは連日のように、主要な都市のインフラ設備がミサイル攻撃されており、7~8割がた迎撃しているとの報道であるが、このミサイル攻撃を何とか防ぐべく、戦争拡大に繋がるリスクのあるロシア内陸の空軍基地攻撃に踏み切ったに違いない。

 これに先立つ約1か月前の11月15日、ポーランド国内、ウクライナ国境から6Km離れた村の農場でミサイルによる爆発があり、2名が死亡した。この日、ロシアは2月の侵攻開始以降で最大規模とみられるミサイル攻撃を実施しており、ウクライナの防空システムが起動していた。ミサイルの着弾現場では、ロシア製の地対空ミサイル「S300」の破片が見つかったと伝えられている。ソ連時代に製造が始まったS300は、ウクライナ侵攻でインフラなどを攻撃する際攻撃用ミサイルとして使用され、ウクライナもロシアによるミサイル攻撃への迎撃手段として使ってきた。

 NATO加盟国でもあるポーランド国内への着弾はロシアのウクライナ侵攻以来初めてであり、もしロシアからの攻撃であったならば、NATO全体を敵に回すことになるため、地球規模の大戦争に発展する可能性がある。

 しかし、ポーランドの大統領はこれまで、問題のミサイルはロシア製のS-300だった可能性が高いが、ロシア側によって発射された証拠はないと述べている。一方、ゼレンスキー大統領はテレビ演説で、私たちの軍の報告から、ロシアのミサイルだったと信じている、と述べ、欧米諸国とウクライナの見解が割れている。

 ウクライナにすれば、欧州諸国が全面的に戦争に参加してくれれば、戦争終結も早まる期待もあるだろうが、全面戦争は危険が大き過ぎる。ポーランド国内に着弾したミサイルの現地調査が進んでいるようだが、当時ウクライナの迎撃ミサイルシステムが稼働していたことを考えると、現地調査より迎撃システムの履歴調査の方が肝要と思われる。

 この事件はウクライナの迎撃ミサイルの失敗であったとの結論になるだろうが、ゼレンスキー大統領を納得させるために西側諸国は何かしらの妥協が必要になる。これが、ロシア内陸の空軍基地への攻撃を黙認することであったと勘繰られる。2022.12.10(犬賀 大好ー870)

中国のゼロコロナ政策の緩和は政府批判と直結する

2022年12月07日 10時42分39秒 | 日々雑感
 中国で11月23日、新型コロナウイルスの1日当たりの新規感染者3万1527人となり、11月26日には3万9506人になったそうだ。今年4月の2万8000人が最多だったとのことで、新型コロナウイルス感染が全国的に急激に拡がっているようだ。ただし、中国政府の発表する数値は政治的な意図の下細工されていると勘繰られるが、急拡大していることは隠しようが無い事実だろう。

 感染拡大と共に暴動も急拡大しているようだ。暴動は西部ウルムチ市で24日に高層集合住宅火災が発生し、10人が死亡したことをきっかけに始まったそうだ。市当局による新型ウイルス関連の規制が、緊急車両の出動を遅らせ死者の発生につながったとする抗議行動が週末の26、27日を経て激しくなり、中国のいくつかの大都市にも拡がったとのことだ。

 この抗議活動は新型コロナウイルス対策の規制に反対するばかりでなく、習近平政策に対する抗議にも拡がったようだ。政府や中国共産党に対する批判は処罰の対象となる中国では、あってはならないとして警察が警戒の強化に乗りだしている。

 中国で新型コロナウイルス感染対策を指揮する孫春蘭副首相は12月1日、防疫担当者との会議で「防疫策をさらに適正化する条件がつくられた」と述べ、ゼロコロナ政策を緩和する考えを仄めかしたと見られている。習近平氏のゼロコロナ政策に否定ではなく、適正化と表現するところが、副首相の副首相たるところだ。

 この方針を受けてか、上海市当局はゼロコロナ政策のもと実施されてきたコロナ対策を12月5日から一部緩和すると発表した。地下鉄などの公共交通機関を利用するときに加え、屋外の公園や公共の場所に入る際にも陰性陽明を求めないという。

 上海市と同様に中国の主要都市でのゼロコロナ政策は緩和されつつあるようだが、日本の現状を合わせ見ると中国ではコロナがこれから猛威を振るい始めると懸念される。その理由は日本に比べワチチン接種率が低い、自然免疫者が少ない、更に医療体制が整っていないからだ。

 ゼロコロナ政策は、中国での医療体制が不十分な為感染拡大を少しでも低く抑える必要性から取られたとの背景もあるで、新型コロナウイルスの全国的な感染拡大に備えるために3年の時間があった。しかし病院を増やし、ワクチンを開発するための支出は増加したが、資金は徐々に費用のかさむ新型コロナ関連の規制へと流れたそうだ。

 当局は大規模検査の実施や感染者の隔離施設建設に追われており、ワクチン接種促進の取り組みも停滞している。政府のまとめによると、ワクチンの追加接種を受けた中国人は60%に満たず、80歳以上の追加接種比率は40%にとどまるそうで、これからの感染拡大の可能性が大きい。

 習近平氏のゼロコロナ政策は緩和の方向に動き始めているが、同時に政策の失敗に対する批判も大きくなるだろう。中国政府の今後の対応が注目される。2022.12.07(犬賀 大好ー869)

北朝鮮の金王朝の行方

2022年12月04日 11時01分43秒 | 日々雑感
 北朝鮮の金正恩総書記が新型大陸間弾道ミサイル「火星17」の発射実験に母親の李雪主夫人と共に娘も同席させていたようだ。この娘は2013年に生まれた第2子のキム・ジュエとのことだ。金正恩氏と妻の李雪主氏の間には、3人の子どもがおり、詳細は不明ながら年齢は10カ月〜7歳の間と言われている。第1子は男児で他は女子とのことだ。第1氏はいつの日か正恩氏の後を継ぐと言われているそうだ。

 金総書記がミサイル発射場に娘を立ち会わせた理由の一つに後継者としてお披露目したとの説もあり、韓国の北朝鮮専門家の間では、今後、頻繁に登場するようだとその可能性は大だと、と言われている。

 2020年4月に金正恩氏の健康不安説が流れた際は、妹の与正氏が後継者候補として名前が挙がったほどで、現体制では盤石の権力を持つそうだ。それだけに近い将来、与正氏と娘の間で後継者争いが起きるのではないか、と懸念する向きがあるのだ。

 しかし、現在与正氏と雪主氏の関係は良好だとされており、その娘と権力闘争を繰り広げるのは考えにくいとのことだ。金正恩氏は2021年12月にも激やせ姿が捉えられ、重病説が再燃した。万が一の場合、与正氏が金王朝を継ぎ、まだ幼い金正恩氏の子供たちをまとめ上げて女帝になる可能性が一番大きいとのことだ。

 このような話を聞くと、韓国の歴史ドラマを見ているようで面白いが、その陰には金王朝を巡る権謀術策と貧困に苦しむ一般庶民がいるかと思うと、面白がっているばかりではいられない。金正恩が倒れたところで、金王朝内部の主導権争いは熾烈を極めるであろうが、金王朝自体は安泰であることを歴史ドラマは示唆してくれるが、この民主主義の世の中歴史は繰り返されるのか、消滅の危機を迎えるのか誰も分からない。

 さて、2022年に入り、かつてないペースでミサイル発射を北朝鮮は続けている。北朝鮮は西側諸国の経済制裁で経済的にはかなり苦しい筈であるが、ロシアや中国の支援のお陰であろうか、軍事的には裕福そうだ。

 相次ぐミサイル発射の目的は、米国を交渉の場に引きづり出すためであろうが、それも金王朝の存続のためであろう。またミサイル発射に引き続き核実験が行われるとの予想も強いが、10月16日から始まる中国共産党大会の後、11月8日のアメリカ中間選挙までと、言われていたが幸運にも12月3日までは実施されていない。

 核爆弾の実用化は自国を守るのに絶対的な抑止力を有するため、金正恩は一刻も早く世界に所有を宣言したいはずであるが、恐らくロシアや中国の反対が強いのであろう。金王朝の内部抗争に核兵器の所有をどのように活用するか分からないが、どこか外国にその技術を売って金に換えるつもりであろうか。

 ロシアや中国は一党独裁と言われながら、曲がりなりにも選挙制度があるが、北朝鮮は世襲制度であり、その時の独裁者が何を言い出すか分からない怖さがある。2022.12.04(犬賀 大好ー868)