ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

専制君主と月

2011-01-27 23:08:39 | ご挨拶

専制君主が月を見上げる
月は三日月
専制君主がつぶやく
月よ我が宮殿へ参れ
謁見を許す
月がにやりと笑う

月が地上に近づき語る
王よ
青い髭の王よ
おまえの甘言が処女を誘い
甘い夜が
おまえのみに甘い夜になる
繰り返されるその夜が絶えるとき
私は
おまえを訪問しよう
そしてまた
かすかに笑う

専制君主が月を見上げる
何も語らず
ふいと
寝室にとって返す
月の重力が耐えきれぬ
というように
寝台に伏せり込む

ひとつ咳をして
眠り込む
何事か夢見て
ほくそ笑む

おぞましい
愉悦の笑いを


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