土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

朝光寺、国宝本堂の存在感に最敬礼。

2015年02月20日 | 兵庫の古寺巡り


(2015.02.14訪問)


これから訪ねる朝光寺も先の清水寺も天竺の法道仙人を開基とする寺院。法道さんは紫雲に乗って天竺から
飛来、中国、朝鮮を経て日本にやって来たと伝わり、神通力で鉢を飛ばして食事の施しを受けたとされる事
から「空鉢仙人」とも称される伝説上の人物で、その法道さん開基と伝わる寺院は播磨だけでも六十ヵ寺、
丹波や摂津を含めると百ヵ寺はゆうに越えるそうです。
その法道さん開基の一つ、朝光寺へは清水寺から10キロばかり南へ走ります。



▼本堂。このお堂に入堂したくてやって来たのです。





[ 朝光寺 ]
●山号 鹿野山 (ろくやさん)
●寺号 朝光寺 (ちょうこうじ)
●開基 伝 法道仙人 (ほうどうせんにん)
●開創 白雉二年 (651年)
●宗派 高野山真言宗
●本尊 十一面千手千眼観音菩薩
▲入山料 境内自由 朱印 300円 (塔頭吉祥院で戴けます)
▲拝観時間 8:00~17:00
▲兵庫県加東市畑609 塔頭吉祥院 Tel.0795-44-0733
▲中国自動車道「ひょうご東条インター」から約15分、「滝野・社インター」から約20分
 
朝光寺縁起 (加東市HPから抄出)
白雉二年 (651年) 法道仙人開創の寺とされ、文治五年 (1189年) 境内北側の権現山から現在の地に移ったと
伝えられています。事実、山上には平安時代末期には寺院が建立されており、近世に至っても修験の場があ
りました。



▼駐車場に道しるべ。





▼こんな参道をすこしばかり歩くと、





▼この時期でも相当鬱蒼とした参道。仁王門が左手石段上に見えます。





▼簡素で少々小ぶりな仁王門。両脇前室は壁面がなく、ステージ形式なので後室の仁王さんが間近に。
 単層、三間一戸、入母屋造、本瓦葺、八脚門。文治年間 (1185~1190年) 建立。





▼右に阿形金剛力士。





▼左吽形金剛力士。



両像とも相当傷んでいるようで痛々しい限り、これでは悪党と太刀打ち出来ないでしょう。



▼手水舎。





▼本堂 (国宝)。なんと立派な本堂でしょう。このお堂を見るだけにこのお寺を訪ねる方が多いと聞きました。
 たった一つの国宝伽藍の存在感、判りますワ。しかも拝観はボク一人、ワクワクしてます、しかしちょっ
 とゾクゾクです。


 
単層、桁裄七間、梁間七間、寄せ棟造、本瓦葺、三間向拝付。応永二十年 (1413年) 建立。
三間向拝は江戸期の補加とは云えあくまでも改変いや改悪、元々向拝は無かったようです。
本尊 十一面千手観音菩薩立像二躰 (秘仏) 六十年に一度公開される秘仏、なぜご本尊が二躰なのか、謂れは
数説あるようです。
後の祭! 塔頭吉祥院に本尊の写真パンフが置かれてあったみたいなんですが戴き損ねました。



▼内陣と外陣は格子戸と菱格子欄間で区切られ幾何学的美観そのもの。
 格子から内陣をのぞいてみましたが、マックロケ。





▼外陣床にしばらく坐り、光の床映りやヒンヤリした空気感、静寂を堪能しました。が、ゾクゾク感の集中
 砲火も。



(朝光寺パンフから抄出)
内部造作は密教寺院本堂の典型を示し、外陣は側一間を化装屋根裏、中央は紅梁を架け鏡天井を張る。内陣
は鏡天井。細部は和洋と唐様を混合した折衷様式、室町初期の折衷様式の典型的な遺構として貴重である。



▼信仰と祈りの空間に連子窓を通して入る柔らかな光もきっと計算されたものなんでしょう。





▼どっしとした床下。構造上の力強さを感じませんか。





▼本堂。屋根の勾配はほぼ直線、こうして見ると向拝はとって付けた感がアリアリ。





         ▼多宝塔。本尊 大日如来坐像。
           桁行三間、梁間三間、本瓦葺。大正六年 (1917年) 再建。









         ▼不動明王。前には護摩壇があります。





         ▼細身でスタイル抜群の鐘楼(重文)。
          桁裄三間、梁間二間、寄せ棟造、銅板葺、袴腰。





         ▼決して広くない境内ですが、石仏がたくさん残されています。
          この石像は舟形光背に半彫りで右手太刀を持つ像で基台に切戸
          文殊と刻されているようです。





         ▼こちら穏やかな四人衆、台座には花山院の文字が、
          花山法皇がお供をつれて三十三カ所巡りの一場面でしょうか。





▼五輪塔も。





▼鐘楼となりにお社二社。左鎮守社、右護法社。いずれも神名は判りません。





▼御朱印です。本堂外陣床に置いて撮りました。





今日の特別フロク。

▼つくばねの滝。落差6mの小さな滝です。
 多宝塔の横から鬱蒼小径を下って行くとせせらぎの音、「つくばねの滝」です。











周辺には加東市の天然記念物のツクバネと云う植物が自生しているところから「つくばねの滝」と呼び名さ
れているそう。ツクバネとは実の形が羽子板の羽根に似ているので衝羽根と名付けられたそうです。



▼こんな長閑なところ右の山懐に朝光寺は在ります。





伝説上の人物が残したものは、やはり伝承のみで法道さん名残は両寺ともまったく感じることは出来ません。
伝承の裏には事実の歴史やその積み重ねはきっとあるはず。法道さんの名を借りた相応の組織や人物がいた
のでは。なん~てことを空想しながら、たった一人の貸し切り境内を、そしてクリアな冬の深閑な空気感を
思い切り味わいました。




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