土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

海住山寺、国宝五重塔をジックリご覧下さい。

2016年08月09日 | 京都の古寺巡り





(2016.08.06訪問)


南山城、木津川をはさんで南側は大和国、奈良に一番近い京都、今日訪ねるお寺はR163号の北、三上山中腹、標高約200mに建つ
海住山寺です。ここは日本で二番目に小さい国宝五重塔が建つことで著名な山寺です。
山道に沿って民家が建ち並び、細い上に急坂、それはそれは相当酷い惨道。最初の寺号石が建つ辺りから道幅も広くなりますがここ
までが要注意。間違ってもドライビングテクニックを試さないように。


▼小さいながらもピリリの五重塔、国宝です。





[ 海住山寺 ]
●山号 補陀擽山(ふだらくさん)
●寺号 海住山寺(かいじゅうせんじ)
●宗派 真言宗智山派(しんごんしゅうちざんは)
●勅願 伝 聖武天皇(しょうむてんのう)
●開基 伝 良弁僧正(ろうべんそうじょう)
●開創 伝 天平七年(735年)
●中興 貞慶上人(じょうけいしょうにん) 承元二年(1208年)
●本尊 十一面観音菩薩立像(重文)。
▲拝観 400円 朱印300円
▲時間 9:00~16:30  
▲京都府木津川市加茂町例幣海住山20 電話0774-76-2256
▲http://www.kaijyusenji.jp
▲JR「加茂駅」から奈良交通バス「和束小杉行き」バス停「岡崎」下車徒歩40分
 大阪京都方面からR163号線海住山寺口左折約2km




▼少々荒れ気味の総門。位置的に参拝者は通らないのかも。





海住山寺縁起 (海住山寺HPから抄出)
天平七年盧舎那仏造立を発願した聖武天皇が、工事平安祈願のため、良弁僧正に勅して一宇を建立、十一面観音菩薩を安置し、藤尾
山観音寺と名づけたのに始まるということです。この寺は、保延三年(1137年)灰燼に帰し、寺観ことごとくを失ったのであります。
その後七十余年を経た承元二年(1208年)十一月、笠置寺におられた解脱上人貞慶が、この観音寺廃址に移り住み、草庵を営み補陀洛
山海住山寺と名づけ旧寺を中興、ここに現在の寺基が定められたのであります。



▼山門石段。







▼山門。






▼山門扁額。







▼参道。







▼本坊の石垣漆喰塀。







▼本坊の景観。相当豪勢なお寺の印象。この日は本坊拝観出来ませんでした。






            ▼境内入口に建つ寺号石柱。






▼鐘楼。







▼境内から見た山門。







▼本堂。本尊十一面観音菩薩立像(重文)。
 桁裄五間、梁間四間、入母屋造、本瓦葺、一間向拝付。明治十七年(1884年)再建。        













▼新しく生々しい本堂扁額。







▼本堂内陣荘厳。須弥壇中央お厨子に本尊十一面さんがお立ちです。
 お厨子の前まで行けるんですが、なにぶん薄暗くお厨子の扉半開き、本尊十一面さん殆ど見えずの状態。







          ▼本尊十一面観音菩薩立像(重文)。像高189cm、一木造、仏師不祥、平安時代。
           先日亡くなられた小川光三さんの写真集「南山城の古寺」から海住山寺本尊十一面観音菩薩立像。

  




            ▼妙にリアルでなかなか撫でるのを躊躇する賓頭盧さんです。






▼本堂。






▼文殊堂(重文)。本尊文殊菩薩。鎌倉後期、
 桁裄三間、梁間二間、寄棟造、銅板葺。応長二年(1312年)建立。







▼本堂前にさりげなく岩風呂。手水用か浴槽用か定説定かならずだそうです。
 長辺約200cm、短辺約110cm。鎌倉時代、正嘉二年(1258年) 花崗岩。







▼何事も成すの語呂合わせ「なすの腰掛け」。こんな坐りにくい腰掛けもまた珍しいですワ。






            ▼本堂横の良弁杉。大きいですが樹齢不明だそうです。






            五重塔アラカルト

            ▼五重塔(国宝)。
             塔高17.7m、初層方三間、本瓦葺、裳階付。建保二年(1214年)建立。
             室生寺五重塔に次いで日本で二番めに小さい塔です。
  



            内陣は厨子風造り、八枚の扉に一体ずつ、梵天、帝釈天などの天部や比丘像が
            描かれているそうです。






            裳階は12本柱の吹き放し、この柱があることで塔全体の安定感がより感じますネ。




▼初層屋根と裳階。裳階のある塔は法隆寺五重塔とここだけ。                              

    




            ▼五重塔。                                           











▼二層組み物と初層屋根の裳階。                                 






            ▼五重塔。                                           











            ▼相輪。






            ▼五重塔。



            この秋文化財特別公開で五重塔が開扉されます。2016年10月29日(土)~11月6日(日)




▼五重塔の後ろに三社明神、海住山寺の鎮守社でしょうか。







▼鳥居上を青もみじのシャワー。







▼薬師堂(開山堂)。







▼堂内の荘厳一切ナシ、中興の祖貞慶上人でしょうか、一人淋しくお坐りです。







▼石仏が適当に置かれています。






            ▼十三重石塔。塔身に金剛界四仏の梵字が刻されています。花崗岩、江戸時代。






            ▼石塔の隣に宝篋印塔。






            ▼輪廻塔。このマニ車を廻すと種々の苦悩から開放されるそうなんで、
             もちろん廻しましたヨ。






本堂横の山道を少し上りましょう。

▼オシャレと云っちゃなんですが、堂形の優れた納骨堂です。







▼手の込んだ浮彫りの扁額。






            ▼隆範大僧正の顕彰碑。



 隆範さんは明治初期、廃佛毀釈の嵐の中で寺々各地に散在し、寺院の存否危急を要するとき、その維持困難のとき一村一寺の制を
 決行、その危急をくぐり抜け統一に成功。明治九年伽藍修理をはじめ本堂再建に着手、明治十七年春竣工。本山より高僧数十名を
 招き、入佛供養庭儀大曼供を修め、海住山寺盛況の基を築いた英僧。
 (海住山寺HP大僧正隆範師略伝から抄出)




▼遥拝所と思われる広場から南、木津川市加茂町辺りの景観。













            ▼海住山寺秋の文化財特別公開、国宝五重塔開扉の告知ポスターが境内に貼られてました。







▼ご朱印です。






相変わらずこのお寺、入山料とか拝観料にシビアの印象、境内随所に貼紙があり目立ち過ぎ、余り印象宜しくないですよ。
しかし五重塔は印象すこぶる宜しい。小さいながらも国宝の貫禄充分。常時は初層開扉はしていませんが、文化財特別公開の時には
改めて訪ねてみたいお寺の一つです。





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