(2016.08.20訪問)
南山城の古寺巡り浄瑠璃寺を辞してさて次の訪問先は、賢明な読者の方はすでにお気づきのことでしょう。そうです正解です。
浄瑠璃寺から大回りで約16キロ、後醍醐天皇の哀しいお話が残るあの石のお寺です。
R163から笠置大橋を渡るとスグ観光旅館の案内看板のようなサインの笠置山登山コースの狭い狭い道が待ってます。急カーブ、
急クランク、山道の例に漏れず行き違いもままならない道ですが不思議に完全鋪装、しかも沿道には民家が並んでいます。
標高289メートルの笠置山全山を境内とする笠置寺は巨岩、大石がゴロゴロ、まさに石のお寺。山岳信仰、巨岩信仰の姿とはこ
れか、日本最大と思われる大磨崖仏など迫力十分、巨岩をぬった行場巡りは終えた後の爽快感また格別のピースでした。
▼参道。
[ 笠置寺 ]
●山号 鹿鷺山(しかさぎざん)
●寺号 笠置寺(かさぎでら)
●宗派 真言宗智山派(しんごんしゅうちざんは)
●開基 伝 良弁僧正(ろうべん) 実忠和尚(じっちゅう)
●開創 伝 天平時代(730~750年位)
●本尊 弥勒磨崖仏
▲拝観 300円 朱印300円
▲時間 9:00~16:00
▲京都府相楽郡笠置町笠置笠置山29 電話0743-95-2848
▲http://kir013169.kir.jp
▲JR関西本線 「笠置駅」徒歩45分
国道24号線 国道163号線経由 笠置大橋渡り参道目印を左折 京奈和道「山田川IC」国道163号線経由
笠置大橋渡り参道目印を左折
第二阪奈道「宝来IC」 国道24号線 国道163号線経由 笠置大橋渡り参道目印を左折
▼山門。ここに来るまでが大変、駐車場までの参道は狭く急坂、行き違い不可能、クルマが来ないことを祈るのみの参道です。
笠置寺縁起
諸説が有り詳細は不明ですが、奈良時代に東大寺の良弁さん、実忠さんが山中に籠り秘法を感得、弥勒の磨崖仏を刻し、草庵を
建てたのが草創と伝わります。実忠さんも修行中、兜率天を感得、十一面観音悔過の行法を東大寺に伝えたのがお水取りの起源
と云われ笠置寺の正月堂で行われたので、東大寺のお水取りの行は二月堂でという説もあるそうです。
悲運の帝王後醍醐天皇方と室町幕府軍との元弘の乱により全山焼亡、その後盛衰繰り返すものの江戸期に荒廃。無住持となり明
治中期に復興をとげ今日の山容となる。
▼山門左に行くと正面に鐘楼。なぜか梵鐘だけの写真になりました。
梵鐘の開口部(下部)を見て下さい。六つの切り込みが入った六葉形は中国梵鐘の形式で珍しいものだそうです。
▼早速正月堂へ行ってみましょう。この参道の雰囲気、山寺ですネ。ここからが修験の道です。
▼はや出てきました大岩、石と岩の寺の面目。
▼十三重石塔(重文)。元弘の乱の戦死者の供養塔との伝承があるそうです。
▼正月堂、笠置寺の本堂です。本尊弥勒磨崖仏の礼堂ですがお堂としては非常に質素なものです。
▼正月堂扁額。
▼これが本尊弥勒磨崖仏。
正月堂前の高さ約16m、幅約15mの大岩に挙身光式という凹みを彫り込み弥勒仏を線刻した磨崖仏が本尊ですが、元弘兵火に
より焼滅、今では確認できません、お姿なき本尊とでも申しましょうか。
▼正月堂内にはデジタル復元された弥勒磨崖仏画像が展示されています。
▼正月堂は懸造りになってます。この下の道を行きます。
▼実忠和尚が弥勒菩薩の世界に入られたという千手窟(せんじゅくつ)
笠置山一番のパワースポット。
▼見事な線刻の虚空蔵磨崖仏。引きは無いは大きいはで最初のデッサンどう描いたんでしょう。
▼お顔を思い切りアップしてみましょうか。鑿の後がハッキリクッキリ。
▼胎内(たいない)くぐり。約800mの修行場のスタートです。笠置山には滝がないため、この岩を潜りぬけることにより心身を清
めたと云うそうです。
▼アップダウンの厳しい道、さすが修行の道です。
▼ゆるぎ石。説明文には岩の重心が真ん中に有るので、人が触ると揺れると云う。
ウソです、ウンともスンとも。
▼道々から眺める木津川の流れが清涼剤。
▼平等石。とにかくデッカイ岩ですが由来が判りません。
▼蟻の戸わたり。余りいいネーミングじゃないですネ、
ここでは狭い狭い修行道と思っときましょう。幅50cmは無いでしょう。
▼貝吹き岩。元弘の乱のとき後醍醐天皇軍が味方の士気を高めるため、この岩上から盛んにホラ貝を吹いたと云われているそう
です。岩の大きさを感じて下さい、ボクのパナマ見えます?
▼貝吹き岩から少し修行道を行くと、一時この山に隠り幕府軍と戦った後醍醐天皇の行在所跡です。
▼参道石段を少し上ると、
▼ここが行在所跡。今は僅かばかりの平地が残るのみ、高貴な場所とは到底思われない夢の跡。
▼後醍醐天皇の歌碑がひっそりと……、
うかりける 身を秋風に さそわれて 思わぬ山の 紅葉をぞ見る
▼なお修行道を進むと、左手パッと視界が開け……、
▼大きな岩が張り出しています。西ののぞきと云うそうで、下を見るとグレーに光る一堂が、
何を隠そうこの岩は、九枚目の写真、本尊弥勒磨崖仏の頂上だったのです。
後で気付いたとは云え、本尊の頭の上から下を見た、これを不遜と云うんでしょうネ。
そう云えば小さな細い結界縄があったような……。
▼修行道の最終地点に来ました、大師堂です。
▼弘法大師石仏を奉安しています。
▼境内に降りてきました、笠置寺総鎮守の椿本護王宮本殿。延喜八年吉野金峰山より勧請。
▼中興の祖、貞慶上人が勧請した春日明神。
▼境内の少し離れた高台に建つ毘沙門堂。
▼毘沙門堂扁額。
▼内陣須弥壇。毘沙門さんは黄金のお厨子の中だと思われます。
▼大岩大石に囲まれた山岳修行のお寺、岩の上のお地蔵さんに見送られて、
笠 置 寺 オ シ マ イ
▼ご朱印です。
笠置山の巨岩信仰は紀元前後から始まると云われ、山岳寺院特有の形を見せるこの笠置寺、変化に富んだ境内は、石を崇め岩を
依り代とし古代の自然信仰の一つとして山全体が神域、巨岩、奇岩を巡る古の山岳信仰の一端を見た思いがします。
僅か1キロ足らずの修行道巡りのコースですが、変化に富んだ山道とは、こんな修行道を云うんでしょう。なかなかのものなんで
すが、巨岩の上に立つとやはりビビリまくりでした。
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