黙祷・・・

昨日、ある方の告別式に参列するため
御代田まで行って来た。

亡くなられた方は・・・

私がヒアリングをさせて頂いた
戦争体験者のお一人Ｏ氏だった。
この時は劇団員も同行したヒアリングだった。

私たちの問いに対し
真摯に誠実に話してくださって
大切な資料もお貸し下さった。

海軍兵だったＯ氏は
戦争で手の指を一本を失い
ずっと戦争の傷跡を抱えながら
生きてこられたお一人だった。

去年、劇団本公演で戦争をテーマにした
舞台『虎』を上演したが、内容は
O氏から伺ったものではなかった。

が、上演会場に、奥様とご一緒に
遠方からわざわざいらして下さって・・・

本当に嬉しかった。

その頃から既に病に侵されていたようで
長い闘病生活の末、一昨日逝去された。

告別式会場で、Ｏ氏の遺影を見つめ

　　ありがとうございました・・・
　　必ず伝えて続けていきます・・・

と心の中で叫ぶ。

奥様が溢れる涙をこらえながら

　　来てくれて、ありがとう・・・

と、仰ってくれて・・・

会場の出入り口に
奥様との思い出の写真の展示があり
その横に海軍兵士としての表彰状と
勲章が設置されていた。

勲章が目に沁みた・・・

いろんなお話を聞いていたせいか
胸に熱いものが込み上げてきて
もう少し溢れてしまいそうだった。

ああ・・・
戦争体験者が、またお一人
この世を去ってしまった・・・
あの悲惨な体験をした方々が
こうして次々と亡くなったいく―

去年の『虎』は、自分の目から見て
まだまだ熟成が不十分だったと思う。

もっと戦争体験者の生の声を伺いたい。

昨年秋からの多忙さで
ヒアリングから遠ざかっていたのだが
やはりやり続けなければ・・・と思い直した。

Ｏ氏もあの世で、きっと見守って下さっているだろう・・・

私の頭の片隅に、戦争の光景がある。
それは幼い頃、テレビで観たベトナム戦争の映像。

　　生きている限り追い続けるんだろな、私は・・・

人が人でなくなる戦争―
殺人が殺人でなくなる戦争―

人類の歴史は血塗られた歴史だ。

人間は誰しも平和を求めているはずなのに
争いはいつも存在していて
私もそんな争いの渦中に入ってしまったときもある。

なぜだろう・・・
なぜなくならないんだろう・・・
人間が人間である以上
避けて通ることは出来ない道なのか・・・

などと自問自答を繰り返しながら
諦めずに、ずっと考え続けている。
死ぬまで答えは見つからないのかもしれない。
それでも私は考え続けるのだろう・・・


話は変わりますが―

戦時中の治安維持法により
弾圧を受けた教師たちを描いた
ドキュメンタリー映画

　　「草の美」

の試写会が来月開催されます。

　　日　　時／４月９日（木）　14：00～　18：30～
　　場　　所／長野市若里市民文化ホール
　　チケット料金／前売券　1000円　　当日券　1300円

この映画には我が劇団の団員及び
関係者が多数出演していますので
ご予定がつく方はぜひご覧下さい。

どんな映画に仕上がっているか
ちょっぴり不安で、ちょっぴり楽しみ・・・かな？