蜜柑のつぶやき ~演出家の独り言~

NPO法人劇空間夢幻工房の演出家/青木由里の日々の呟き。脚本執筆・役者・ワークショップ講師も兼業する舞台人日記♪

劇空間夢幻工房 創立25周年記念公演「ISHIN version.2024」

NPO法人劇空間夢幻工房 創立25周年記念公演
タイトル 『ISHIN ~狼たちは最果てに~ version.2024』
脚本・演出 青木由里
出演 青木賢治/栗生みな/村松沙理亜/清水まなぶ/井田亜彩実/導星ゆな 他

日時 2022年9月8日(日)11:00~/15:30~
会場 飯山市文化交流館 なちゅら 大ホール
チケット予約フォーム:https://www.quartet-online.net/ticket/ishin2024

皆さまへ感謝を込めて晴れやかに開催‼
どうぞお楽しみに‼

観劇♪

2012年01月20日 23時32分16秒 | 日記
昨夜は、稽古を遅刻させてもらって
市民劇場の例会で演劇鑑賞。

シアターWSが終わり、2月の「カン太の涙」公演に向けて
本腰を入れなければならないので
舞台観劇か稽古か、優先順位で悩んだが
今回の例会作品が「劇団1980」の舞台だったので

  うーん…やっぱり観たい!
  どうしても観たい!

と思い、劇団員にお願いして観劇させてもらうことにした。

兼ねてから、夢幻の支援者Tさんに

  劇団1980は面白い
  一度観たほうが良いよぉ~

と言われていた経緯もあるし

  何かヒントを得られそう!

という予感もあった。

18:25 会場であるホクト文化ホールに到着。

出演者がロビーや会場に立ち、案内をしている。

  お席はおわかりになりますか?

と、爽やかな口調で話しかける男性劇団員さん。
唐組も団員さんが受付や会場整理をしてたけど
役者と観客の距離を縮めるには良い手法だよね。

18:30 開演。

タイトル 『あゝ東京行進曲』
原作:結城亮一/脚本:藤田傳/演出:関矢幸雄)

黒一色の舞台。
黒い箱馬が30個近く?
明かりはホボ地明かりのみ。
キャストは全員ナチュラルな舞台メイクで
衣装は和風ポンチョ&パンツ
色は若干異なるが全体的に地味目な色。
個性を敢えて排除しているのがわかる。
効果音は一切なし。
口三味線風の口立て音楽と生歌のみ。
箱馬と白いロープ2本のみで
お客様の想像力を喚起させながら
どんどんシーン転換をしていく。
100人以上登場人物がいるらしいが
10人の役者が簡易的な衣装(上着や帽子、リボンなど)で変化をつけ
どんどん早変わりしていく。

語り芝居にも見えるし、音楽劇に見える。
何しろ歌が多い!
大正~昭和の懐メロを、役者が次々口ずさむ。

そぎ落とされて整理された舞台…
そんな印象を受けた。

ロープで線路や十字架や山を表現するんだけど
妙に笑いを誘った。
一歩間違えれば陳腐にも成りかねないが
役者陣が整然と美しい動きで大真面目に所作をするので
それが面白さになり、あちこちで笑い声が漏れる。

私も何回も噴き出しました♪

そばを食べるシーンなどは
落語風に誇張して音を立てて食べてくれるので
思わず笑わずにはいられない・・・そんな感じ。

歌も演技も声も所作も達者な役者陣で
観ていて、とても気持ち良かった。

以前所属していた劇団も、似た触感の芝居を作っていたが
何かが根本的に違う…と思い
帰宅してから劇団1980について調べてみた。

  演出の関矢幸雄が提唱する「素劇」は
  リアルな舞台美術や衣装・メイキャップにたよらず
  何もない空間の中で“見立て”を駆使した想像力豊かな表現様式。
  見立てであるからこそ自由
  何もないからこそ観客の中に高まる想像力。

なるほど。
これを「素劇」というのか。
言葉は知っていたが、観たのは初めてだった。
確かにねぇ~
想像力を働かせないと観れない芝居。
観客の記憶にある風景次第で
見え方は全然違うんだろうなぁ~

この劇団のこだわりは『喜劇ニッポン』
”ドしがたい日本と日本人”の姿を描いていく集団喜劇だとか。

 ドしがたい:「度し難い」の意味
  道理を説き聞かせてもわからせようがない。
  救いがたい。どうしようもない。

例えば 「頑固一徹で度し難い男」とか。

アホな日本人、されど愛すべき日本人…そんな触感を感じる。
うーん…以前所属していた劇団も
目指していたのは同じなんだよね。
何が違って見えるのかと言うと…
美しい動き、整然と整理された所作
訓練された声・身体は同じ…
恐らく違いは、大衆向けか否か…かも。
敷居の高低…のように思った。
うーん…今度、現所属員に聞いてみよう。

今回の作品はレコード第一号歌手
“佐藤千夜子”の一生を描いたもの。

劇中、大正~昭和の歌が次々に紹介されていく。
長野県中野市出身の作曲家/中山晋平氏や
女優/松井須磨子さん、島村抱月さんなど
長野にゆかりのある著名人が登場し
「カチューシャの唄」を聞きながら身近に感じられ…
けど…「りんごの唄」は、何度聞いても
戦争の絵が思い浮かび、胸がしめつけられそうになる…
もちろん創造者は、それを狙ってるんだろうけど。

途中、二回程、漫才?コント?仕立てで
劇団員さんたちが素で演じるシーンもあり
わかりにくそうな言葉の意味を
会話でわからせてくれた。

面白かったですよ!
観察眼、イメージ力、発想の転換、想像力の喚起
わかりやすさ、シンプルさ、そぎ落とし…
色々なワードが明確に私の脳にインプットされて
物凄く収穫が多い舞台でした。

終演後、カーテンコール前にササッと会場を出て
急いで稽古場へ向かった。

稽古場について、状況を見ると…

  うーん…やっぱり休まないほうが良かったかな…

と思ったけど、未来を考えれば
今日の舞台は絶対観るべきだったと思えるので
後悔しないことにした。

団員たちにも、良い舞台を観てもらいたいなぁ…
自分の引き出しの中身を増やしていくために…