一羽のアヒルがおりました。
淋しいアヒルでありました。
いつも独りでおりました。
悲しいアヒルでありました。
あるとき空を見上げると
別のアヒルが飛んでおり
どこへ行くかと見ておれば
自分の傍に舞い降りた。
アヒルはおずおず近づいて
勇気を出して聞きました。
君君君の君の名は
果たして何と言うのかい。
それに答えて言いました。
別のアヒルは言いました。
僕の名前は僕だけど
君君君の君の名は
果たして何と言うのかい。
おやまあ何と言うことか。
僕の名前も僕だから
君と僕とは同じ名で
僕は君だし、君は僕。
二羽のアヒルは喜んで
一緒にになって踊り出し
いつしか一つになりました。