イコンのもとに


在宅介護16年が終了後、やっと自分のために生きられる。イコンも描いてます。ブログは書いたり書かなかったり、気分で。

画材の知識

2023年04月01日 | イコン
昨日の朝、
どの番組か?わからないのですが、
京都の日本画絵具を作っている上羽絵惣とナカガワ胡粉が紹介されていましたね。

上羽絵惣の現在のご主人が店を畳むというお話は前から知っていました。
というのも、過去に京都の美術系大学で先生をしている知人から、
日本画の新入生が3人しかいないということを聞いていたからです。
これは、もうだめだ、と思ったのが2016年ですから。

私は在宅介護で大変で、日本画どころじゃなくなりましたし、
公募展の巨大な日本画を描いても売れるわけじゃなし、
油絵やアクリルの方が若い画家たちのパワーを感じていて、
日本画展は確かに美しいけれども、
圧倒的なエネルギーはなかったからです。
今から日本画をしようか、とは若い人たちは考えないだろうと思いました。

若い時、有望されていた女性画家が、彼女の日本画の先生や、そのまわりの何人もの日本画家の男たちの愛人になっていたのを見ても、
いまだにハラスメントだらけの、古くさい世界だなと思いましたよ。
結局、彼女は日本画は描かなくなりました。
そんなことを若い人たちが知ると
流行りの現代美術の方が楽しくて、金になると思うのは当然でしょう。
(実際は、そう簡単にはなりませんが)

でも、いざ、たとえば、
私がチャリティとして描いているイコンのような、
絵具は現代の絵具を使っているけれども、
昔からの伝統的な技術や知識を知っていないと、
次の発展にはなかなか行かないですし、
特に、日本の湿度、昔より日本の夏は暑く湿度が高くなりましたから、
それに対応していける画材を知らないと
それこそ、描いて間もないイコンにカビを生やすようなお粗末な作品になります。

毎日新聞岡山支局のイコン教室でイコン画家が
「私のイコンにカビが生えたと言われたけど、綿棒でふいたらいいと言ったのよ」と言った時には
生徒たちが青ざめました。
生徒の中には日本画で入賞した人もいたりしました。
日本画の膠は何十年もカビなんか生えない。私の作品では見たことないです。
まして、描いて間もないアクリル画にカビが生えるなんてあり得ないからです。

筆洗の水を替えることを私はイコン画家に度々言いましたが、
いつまでも汚い水で描いていました。泥水です。
画面下にカビの根は残るので、綿棒でふいたぐらいでは、繰り返しカビは生えます。
カビを生やしたらいけないんです。
画材の扱いを知らないね、とイコン教室の生徒たちで話しました。
「画材なんか知らなくていいのよ」と本人も言ってましたから、それで宗教画家をしていくつもりだったんだと思います。
シール金箔の独占販売もありました。
オリエント美術館のイコン教室で「金箔屋が私にしか売らないのよ」と威張るんです。
土産物屋でもネットでも、誰でもシール金箔は買えます。
生徒が離れて行くのは当然です。
本当に信じられないような、絵の知識のないイコン教室でした。
私がオリエント美術館の学芸員に紹介してしまって、大失敗でした。
後悔しています。
まだ、ネットを見ながら教えてるのかしら?


画材や技術の勉強は不可欠です。
画材や技術を知らないと、
描いていて、次の段階へ行けないんです。

上羽絵惣の棒絵具は呉竹が販売を続けられるそうで、これには安心しました。
文化庁も京都に移転したのは、いいタイミングだと思います。
日本の伝統技術を細くても残していってほしいです。
若い人から、きっと、伝統技術を継ぐ人たちが現れると信じています。




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