AI問題と美術に関する私の考えを
いつか書こうと思っていましたが、
山田五郎さんがスッパリと答えてくださり、
そうだよねーと思いました。
手描きの絵に関してしか私は話せないんですが、
ヤマザキマリさんなんかも、
油絵、キアロスクーロに戻るか!と思われたのは、
山下達郎さんのおすすめもあったかもしれませんが、
AIの台頭が漫画界に押し寄せてきたのも関係あると思っています。
また、今、大問題になっている田中さんの原作者が亡くなった背景にも
漫画界でAIがいずれ漫画家にとって代わるだろうという危機感を感じているからこそ
原作というものを大切にしてもらわないと困ってくる状態になっていくんだと思います。
手塚治虫さんの息子さん、手塚眞さんは既にAIによって制作されたブラックジャックの続編を公開しており、
過去のブラックジャックから手塚治虫さんが描きそうなストーリーや絵をAIが選別して作品にしているんです。
漫画家さんたちへの脅威はかなりのものだったのではないか?と思うのです。
ある程度の作品があれば、漫画家本人は必要なく、出版社はAIさえあれば漫画が出版できるわけですから。
そうなれば、漫画家と契約して、
「あなたの作品を全部買い取り、契約料を払いますから、我々出版社は今後AIによって、あなたの作品をどんどん発表していきますよ。」
という話が必ず出てくるわけです。
もう、既にそういう雰囲気になってきているのではないかな?
もちろん、出版社も人手が足りなくなってきているのは当然だし、
面倒くさい漫画家とのやりとりや締切を気にする必要もなく、
社内のAIで漫画家の意思不在のうちに漫画は生産されていくでしょう。
私はタブレットで色を選びながら漫画を描いているのを見て
確かに便利で軽い荷物で世界旅行しながら漫画を描いて締切前に出版社にデータ送信したらいいだけなんだけど、
漫画家さんには申し訳ないけど、別にその漫画家がいなくてもできるんぢゃね、と思いましたよ。
出版社もそう思ったと考えます。
手描き原稿にこだわる漫画家はまだ何人かいて、彼らは手描きの素晴らしさはもちろん、便利さ、軽便さより、危機感を感じているのかもしれないです。
出版社が経営が傾いたら、テレビ局に漫画界の情報が詰まったAIを売り渡すこともあるかもしれませんね。
そうなったら、漫画界の維持の問題にもなります。
一方、油絵や日本画の絵画は、五郎さんの言われる通り出力の問題があって、
パソコン内で画家と同じような絵画ができたとしても
出力の時点でインクが絵具ではない、絵具が絵具内で微妙に盛り上がっているので、それも再現できない。
3Dでも無理だろう、ということです。
そりゃ当たり前で明暗は表現できても、微妙なハッチングの重なりはAIは再現できません。
私は最初っから、無理だねAI、と思っていました。
手で描く絵画には何千年という歴史があり、いくらAIががんばっても再現できるはずがないんです。
人間の手仕事って歴史の積み重ねがあるので、無理です。
ですから、AIによっていとも簡単に作品ができる表現の作家たちが少なくなり、
自分にしかできない技術の表現者が増えてくると思いますし、
うちはAIは使いません!(完全にはもう無理)と宣言する出版社とか出てくるかもしれないです。
手描き画家は、ふぅ〜ん、と
横目でAIを見て
淡々と昔っからの絵具と画法の絵を描いているだけなんです。
実に単純作業です。