イコンのもとに


在宅介護16年が終了後、やっと自分のために生きられる。イコンも描いてます。ブログは書いたり書かなかったり、気分で。

知識を得ること

2024年02月16日 | チャリティイコン
長文になります。

セクシー田中さんの問題で、
吉本ばななさんがSNSでの取材は個人的に受けなくて、
出版社にまかせてる、ということを書いてられましたね。

私も前の記事に書いたメルカリの聖ルカにいただいたフリーライターの方のコメントの依頼に
どうしようかな?と思いましたが、
私はイコン画家ではなく、
自分が出品している絵に関してだけの責任ですから、
ライターの方が、ご自分で記事を書いてみたいと申し出されたので、
いいんじゃないか、と思いました。
イコン画家だと名乗るには、教会のバックがありますからね。
私はチャリティイコンは、正教会は関係なく、ひとりで描いています。

ただ、そのライターの方は
正教会の歴史や私のイコンの画材について、ほとんど知らないみたいで、それはコメントからわかるのですが、
これを機会に、知ってくだされば、
知識として増えますから、そのライターの方のためや、
記事を読まれた方々の知識になると思いました。

正教会の歴史は、
他の宗教もそうなんですが、
凄まじい歴史、というのがピッタリです。
素晴らしいとか、素敵だとか、
神々しい歴史、なんて言葉は私は一切使いたくない。
宗教が生き残るって、凄まじい歴史なんです。
人間が生きてきた死闘の歴史ですから。
綺麗事では済まされないものがあります。
それを簡単に気楽に扱ってもらったら困るという信徒の方々もいらっしゃると思いますが、
いつまでもそれでは、どんどん信徒数が減りますし、教会の維持も難しくなります。

私がチャリティイコンを描こうと考えたのは、度々書いています通り、
絵が描けること、正教会信徒であること、人様のお役に立ちたいこと、などからです。
両親の在宅介護の16年間、考えてきたことを今、実行しているわけですが、
やり始めたら、気負いなく、実に簡単でした。
その理由として、
私はイコン画家ではないこと、
山下りんさんの苦しみを私は背負うことなく、描きたいイコンを自由に描いています。

技術的には、イコンは原始的な画法なので、日本画が描けたら
グレーズもハッチングも楽々で、しかも私は模写をしていましたから、
原本のイコン通りに描けと言われたら、剥落まで描けます。
模写は画材研究をすることが最初ですから、画材について調べてから描く癖がついています。

フリーライターの方が、私のイコンについて、みずみずしいという表現をされましたが、
みずみずしく見えるのは絵具ではなくて、
最後に塗ったワニス=バーニッシュなんです。
ワニスを見て、みずみずしいと言われたのかな?
みずみずしい印象なのか?
わかりませんが
描いている途中のイコンの写真を載せます。
金箔以外、全て、リキテックスプライムで描いています。


完成したイコンとはツヤが全く違うと思います。
リキテックスの黄色い蓋のリキテックスアクリル絵具レギュラーは
糊となるアクリルメディウムが7割、顔料が3割でできていると聞いています。
割合率は正確ではないので、ホルベインに確かめてください。
私が使っている黒い蓋のリキテックスプライムは、
アクリルメディウムが4割、顔料が6割と聞きました。
レギュラーとは違う性質のアクリルメディウムを使っており、
顔料も単一顔料がほとんどです。
ですから、同じアクリル絵具でも、顔料含有率が全く違うんです。

リキテックスプライムは街の画材屋さんには置いてなく、
大抵は、注文してからお取り寄せになります。
私はネット注文で買っています。
リキテックスプライムとレギュラーのアクリルメディウムは全く違うものなので、一緒に使うのは避けた方がよく、
完成後のバーニッシュは3種類あります。

グロスUVバーニッシュ、たっぷりツヤツヤになる
サテンUVバーニッシュ、少しツヤツヤになる
マットUVバーニッシュ、ツヤは出ない
の3種類で、私はサテンUVバーニッシュを使っています。

こんな感じに仕上がります。
半分ツヤツヤですね。





昔のイコンは亜麻仁油やオリーブ油が最後のワニス=バーニッシュでしたから、
鮮やかな顔料が油の色で黒くなったり、緑になったりしていました。
当時の人たちは、その色がイコンの色だと思っていたと思います。

50年以上前は文化財の社寺の修復にアクリル樹脂を使っていて、
アクリル樹脂の種類の中にカビを生やす性質のものがあるとわかり、
国が全てのアクリル樹脂を使った文化財を膠にやり直した経緯があります。
リキテックスプライムは、そういったことも考えて作られたアクリル絵具だと思っています。

今のところ、リキテックスプライムを使って描いていて
不具合は全くないんです。
正教会信徒の方々はイコンにキスをしますし、
リキテックスプライムにはバーニッシュリムーバーといって
最後に塗ったバーニッシュを拭き取る溶剤があり、
イコンの表面が汚れても、きれいにすることが可能です。
そのため、私はサテンUVバーニッシュを最低3層塗っています。
だいたい5層、5回は塗ってます。
それは、
リムーバーでバーニッシュの1層を拭き取っても、リキテックスプライムの絵具まで届かずに、
絵、そのものを損なわないためです。
最低3層もサテンUVバーニッシュを塗っているわけですから、
ツヤツヤ感満載になるんだと思います。
ですが、リキテックスプライムの絵具だけでは、ツヤツヤにはなりません。
これは、画材の性質、特性を知らないとわからないことです。

リキテックスプライムに決まるまで、様々な絵具でイコンを描いてみましたが、
とにかく、描きやすいんです。
初めてイコンを描く方にはおすすめします。
私はリキテックスプライムで、とても満足してますから、
ホルベインに感謝です。


今はキリシタン史を勉強中です。
私の先祖はキリシタンをかくまっていた家で
キリシタンの歴史を知らなければ私は自分のイコンは描けないんです。
そんなこともありまして、イコン画家とは名乗りません。
画家としたら、あんな不自由は他にない。
フツーの画家が自由に描けて、いちばん楽々なんです。
おばちゃん画家がイコンも描いてる、、、
それで、充分満足じゃあないでしょうか‼️







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