12月──3密を避けながら師走を過ごし、
マスク姿で新年を迎えることになるのだろう。
兎にも角にも、新型コロナウイルスに翻弄され続けた年であった。
近々、今年の流行語大賞が発表されるはずだが、候補としてノミネートされている
30語の半分ほどをコロナに関するものが占めている。
「3密」「クラスター」「ソーシャル・ディスタンス」「Go Toキャンペーン」
「新しい生活様式/ニューノーマル」「テレワーク/ワーケーション」「Zoom」
「アベノマスク」「ソロキャンプ」「PCR検査」……等々ずらりと並ぶ。
ここで、どれが大賞になるか予想する気はないが、
おそらく、これらコロナ関連の中から選ばれるのではないか。

この中に大賞を狙うには、〝不都合な事情〟が指摘されているものがある。
「ソーシャル・ディスタンス」だ。「社会的距離」と訳されているが、
コロナの感染防止に、人との距離を2㍍以上取ろうというのはご存じの通り、
大賞候補にノミネートされるほどにすっかり定着している。
ところが、WHОがこれに異議を唱えたのである。
「ソーシャル・ディスタンスと言うと、
『人と人との社会的なつながりを断ちなさい』といったような、
そんな誤解を招きかねない。その結果、
社会的孤立を生じさせる恐れがある」というのだ。
そして、「ソーシャル・ディスタンス」と言うのを止め、
身体的、物理的な距離の確保を意味する
「フィジカル・ディスタンス」と言うよう推奨する。
実は、WHОがそう言い出したのは5月頃だったのだが、
何故かそのまま「ソーシャル・ディスタンス」が定着していってしまい、
「フィジカル・ディスタンス」と聞くことはあまりない。
やっと最近になって一部の自治体や教育委員会が
「ソーシャル・ディスタンス」という言い方を止め、
「フィジカル・ディスタンス」と言うよう住民に求める動きが出始めはしたが、
「ソーシャル・ディスタンス」がそのまま居座っている感じだ。

英語力がないものだから単純に「人との距離を2㍍以上取ろう」
そういう意味だとばかり思っていた。周囲の人たちも多くがそうに違いない。
だから、流行語大賞にもノミネートされているのではないかと思う。
では、これから「フィジカル・ディスタンス」と言い換えるか。
はて、困った。「ソーシャル・ディスタンス」をそのまま使いそうな気がするのだ。
確かに、「ソーシャル・ディスタンス」にはそういった
負の意味合いがあるのかもしれない。
でも、それは最初から分かっていたはずだ。
それなのに、「誰が」「どこが」何故使ったのか。
何とも腑に落ちない話ではある。
決まりました─2020年流行語大賞
3密