Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

心が折れる

2020年12月05日 06時00分00秒 | エッセイ
    やはり体のあちこちが傷んでくる。
    「あ~、年は取りたくないものだ」と長嘆息しても、
    こればかりはどうにもならない。
    時と共に細胞は再生する力を失っていき、劣化していく。
    医者の力、あるいは薬によって、その痛みを和らげることはできても、
    細胞の劣化を止める力は授かっていない。
                               
おまけに今年は2度の手術で体力を使い、めっきり弱ったような気がする。
臀部や大腿部の筋肉もげっそり落ちた。
5年ほど前までは、自分はこんなみすぼらしい姿になることはない、
他人様の話だと思っていたのに、いやはやである。
            
    周りにも腰・膝痛などに悩まされている人たちがたくさんいる。
    「年寄り病ですたい」と、長年の〝勤続疲労〟がもたらす必然を
    半ば笑ってはいるが、その実「年は取りたくないものだ」との
    心中の嘆きがある。
    妻も膝を痛め、病院通いを続けており、歩く姿はやはり痛々しい。
    妻にしても「私がこんなになるとは……。情けない」と恨めし気だ。
    それでも、気力を奮い立たせてビッコを引きながらも
    趣味の写真撮影へと出かけていく。
            
僕ら高齢者にとり厄介なのは、いったん体のどこかを痛めると、
そこから立ち上がろうとする気力を失っていくことだ。
つまり心が折れる。諦めが先に立つようになってくる。
家に閉じこもりがちになり、やがて寝た切りといったことになりがちだ。

    実は、2度の手術後の疲労感はこれまで経験したこともないほどで、
    とにかく横になっていたかった。それほどきつかった。
    「もう立ち上がれないかもしれない」そんな思いさえも……。
    そんな哀れな僕を立ち上がらせたのは、やはり妻だった。
    「さあ、ウォーキングへ行くよ」と外へ引っ張り出したのだ。
    「いやいや、そんな元気はないよ」と思ったものの、
    妻はそれを許さなかった。
    仕方なく、妻の後ろをとぼとぼとついて行ったのだが、
    そんな半強制的ウォーキングを毎日続けていたら、
    徐々に体に力が戻ってきたのだ。
    体調が回復すると気力も持ち直す。お陰で心が折れずに済んだのである。

    ただ、ただ妻に感謝。今度は僕が膝痛に悩む妻をいたわることにしよう。