Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

早朝の心地良さ

2021年08月03日 06時00分00秒 | エッセイ


    5時半頃、ベッドを起き出し、部屋のあちこちの戸を開け放つ。
    セミがへばりつき、もぞもぞしている網戸越しに
    入ってきた風が部屋の中を通り抜けていく。
    ひんやりと実に心地良い。
    エアコンの冷気は、刺すように肌を冷やしてくれるが
    この自然の風は、やんわりと撫でるように肌を慰めてくれる。
    まるで、病院で辛い検査を受ける際、看護師さんが側にいて
    腕を優しく撫でてくれるように……。

           

    ソファに横になり、30分ほど目をつむる。
    優しい風が体を撫でてくれるのに任せ、もう一度眠る。
    熟睡するわけではないが、うつらうつらの中、
    あれこれと夢を見る。

    妻が起き出してきた。
    「雨降っている? 歩けるかなあ」
    戸を開けた時、確かに地面は濡れていた。
    だが、空は厚い雲に覆われているとはいえ、
    降っているようではない。
    「大丈夫だろう。歩くか」
    手早く身支度をして、
    いつもの川沿いの道へウォーキングへ出かけていった。
    言うまでもなく、湿気を含んでいるとはいえ風が心地良い。
    霧雨みたいな、目では見えぬほどの雨を体に感じる。
    川面もわずかに雨紋を描いている。
    「これくらい、何と言うこともない」
    気にすることもなく、歩き続ける。



    だが、折り返して帰途に入る頃から本格的に降り出してきた。
    それでも足は速めない。
    この程度の雨の心地良さを楽しむ。シャツは濡れるに任せる。
    シャワーを浴び、着ているものを全て取り換えて、
    トーストにヨーグルト、牛乳、
    それにグレープフルーツの朝食を摂り、
    ゆっくりと新聞を読み始める。
    紙面は日本人選手の活躍の模様で埋め尽くされている。
    テレビ番組欄を見て、今日のオリンピック放送の時間を確認する。

    こうしながら始めた一日。
    しばらくすると雨はやみ、時間と共に蒸し暑さが増してきた。
    午前中は何とか網戸越しの風で凌げたが、
    午後になるとそれでは耐えられないようになってきた。
    夫婦ともこの年齢、熱中症が心配だ。
    戸を閉め切り、エアコンに頼むことにした。