このクマゼミはもう鳴かない。飛ぶこともない。
地上に出てきて、どのくらいの寿命であったろうか。
1週間ほど? 普通そのように言われている。
いかにも短命に思えるのだが、実際はそうでもない。
幼虫の時は、土の中で約7年、
環境が良ければそれ以上過ごすのだと言われる。
地上に出てくるのは成虫になってからだ。
ということは、セミの生涯というのは必ずしも短いとは言えず
昆虫の中では案外、長寿なのかもしれない。
今日、7月23日、80歳、傘寿を迎えた。
この数年はたびたびの入院・手術を繰り返したが、
それでも、何事もなかったかのように生き長らえている。
日本人男性の平均寿命82歳までは生きておれるだろう。
そう思っているし、このところその自信も湧いてきた。
還暦になった際、義兄から1枚の色紙をもらった。
それには──
◆20代は美しく
◆30代は強く
◆40代は賢く
◆50代はゆたかに
◆60代は健康に
◆70代はしなやかに
◆80代はつややかに
◆90代は愛らしく
◆「そして、いぶし銀のように美しく100歳に」
──義兄の直筆でこう書いてある。
それぞれの年代をどう生きていこう、こう生きなさい
との教えみたいなものである。
さて、「つややかに」生きていくにはどうすればよいのか。
「いぶし銀のように美しい100歳」まで望みはしないが、
とにもかくにも毎日毎日を精いっぱい生きていこうと思う。