「○日暇? ○○染工に連れて行ってほしいのだけど」
孫息子がLINEでこう言ってきた。
大学院で学ぶこの子はファッション関係にことのほか興味があるらしく、
卒業論文もそのようなものだったし、
アルバイト先も古着屋といったあんばいである。

そんな子だから、先生から「○○染工という染物会社が、
展示会をやっているらしいので行ってみたら」と言われ、
「それは是非」ということでLINEしてきたのだという。
その染物会社まで車で一般道を走り、2時間弱ほどかかる。
これに、ポポ(孫たちは祖母のことをこう呼ぶ)が加わり、
24歳にもなる孫と祖父母の3人の、
どこかホンワカとした取り合わせとなった。
妻もこのあたりの話には関心が強いので、孫とも染物について
何やかやとやり取りしているのだが、こちとらはまるっきりである。
展示会場を見て回っても何が何やら、
ただ「見事な染物だなあ」と言える程度だ。
さすがに孫は係りの人と専門的な話をしているようだ。
孫が何かの勉強をしている姿を見ることはまずないが、
こんなところで、はからずもその一面が見れたような気がする。


最後には、孫の関心の強さに負け、相応の値のする染物を
プレゼント(7月19日が彼の誕生日だった)することにした。
それでも、惜しいといった気はまったくしなかった。
午後からは授業だという。
せわしない帰路であったが、途中の道の駅での昼食の
テーブルは3人ともに笑顔が絶えなかった。
たまに孫の〝アッシー君〟役も悪くない。