それは、去年の晩秋、11月初め頃に、突然、やってきた。生まれて初めて、偶然にも、「霧氷」を目撃したのである。朝早くに、東京を発ち、八ヶ岳周辺の山の遅い紅葉を愉しみながら、松原湖・蓼科高原経由で、赤岳のトラピス・ロープ・ウェイを登っている途中に、何やら、雪のような、しかし、雪そのものではない情景、「紅葉と雪景色」とが、同時に、混在するような何とも絵も謂われぬ幻想的な情景に、出くわした。それが、「霧氷」だったのである。その昔、子供の頃、橋幸夫が、「霧氷」という唄を歌っていたので、言葉だけは、知識としては、知ってはいたが、実際の「霧氷」を「体感」するのは、初めてであった。スキー場で観る雪の造形美である「樹氷」ともやや違い、何とも、実に、「はかない、危うい」情景であった。色々な気象条件が、偶然にも、重ならないと、観られない情景のようで、実に、幸運であった。今年も何かの拍子に、出くわさないであろうか?何とも、楽しみなことである。