駐在しているときに、飛行機の上から、数多くの丸いイリゲーション・サークルの輪を見たり、地上から、巨大なコンバインが、トウモロコシを収穫するのを、眼前で見て、アメリカの大規模農業のすごさを、現地で、体感したことがある。一方、同じ場所で、車をドライブさせていると、広大な大地に、転々として、数え切れない数のメキシコ移民が、レタスの収穫を、手作業で、日の出前の朝暗いうちから、行なっていた。何とも、皮肉な対照的な光景であった。これが、農業の現実かと考えさせられた。人口の老齢化と減少化に、直面する我が国農業は、以前から、研修生と技術実習生の制度を活用して、労働力を確保しようと躍起になっていたが、中国等の経済の発展により、賃金の値上げや、待遇の改善を要求され、実際に、ストや突然の帰国も、ここに来て、多く見られるようになったと言われている。インドネシアからの看護師・介護士派遣の問題も含め、真剣に、「移民政策」なり、技術実習生頼りのみの農業・漁業水産加工事業を、国家戦略として、早急に、見直し、確立しなければならない。私が、入社した頃は、お給料を貰った上に、知らないことをこんなに、教わって良いのかと、新入社員の頃は、そんな風に、新鮮な思いを抱いたことを今でも、覚えている。英会話も貿易実務も、エレベーターやタクシーの客との乗り方、接待の仕方、電話の掛け方、など、数え上げれば、キリがない。教科書には書いてないことを、随分と教えられた。経済成長で、給与水準が、母国でも上がり、デフレの日本では、メリットがないと考えるのも、やむを得ないかも知れないが、単なる拝金主義者に、成り下がっては、全くもったいない話である。TPPの交渉参加決定を受けて、こうした現実にも、我々は、目を向けなければ、レタスも、おいしく、食べられないのではないだろうか?