小諸 布引便り

信州の大自然に囲まれて、風を感じ、枝を眺めて、徒然に、社会戯評する日帰り温泉の湯治客です。愛犬の介護が終了しました。

小諸フィルム・コミッションの講演を聴く:

2013年03月27日 | 社会戯評
小諸フィルム・コミッションの講演を聴く:
KFCと表記されていたので、ケンタッキー・フライド・チキンが、スポンサーになっているのかと思いきや、どうやら、そうではないらしい。Komoro Film Commission (KFC)の略称であるようである。小諸市や佐久市などで映画「家」(文豪島崎藤村の同名小説が原作で、2012年10月に小諸市内では俳人高浜虚子が太平洋戦争時に疎開して住んだ「虚子庵」や、小諸病院で撮影が行われた。)を撮影した秋原北胤監督の「映画ビジネスにおける真の地域活性とは」と題した講演会である。もともと、フィルム・コミッッションとは、映画やCMやドラマなどの撮影場所や撮影支援をする帰還のことで、どうやら、届け出とか交通規制などとも、関わる性格上、地方公共団体や、地元の観光協会の一部署が、その運営事務局を担っているケースが、多いようである。映画撮影などを誘致することによって地域活性化、文化振興、観光振興を図るのが狙いとされているようである。
秋原北胤監督は、なかなか、その経歴からして、面白い人物である。東大文学部ではなくて、東大野球部という肩書きに全面に押し出した異色の映画監督である。異色のという意味は、まさに、叩き上げの助監督やらを、誰それに師事して経験してきた経歴ではなくて、レコード会社を振り出しに、当時、未だ、出来たてほやほやだった、WOOWOOを、そして、博報堂へ転出して、CMなどや、プロデューサー業を経験したその延長線上で、映画つくりをする為に、まさに、垂直統合的に、一人何役もこなす多機能工の究極の形であるところの映画監督という役を担うことになったようである。成る程、CMがついている俳優には、常に、作品が、自動的に、廻ってくる物なのであるのか?CMの多い俳優というランキングも、こうした観点から、もう一度、眺めてみると、確かに、正鵠を射ているわけである。未だ、インターネットのヤフーや楽天などが、黎明期の頃に、おまけに、ブロードバンドが、普及する以前の段階に、メディア作りに関われたという経歴こそが、同監督の後のビジネス・モデルを作り出すヒントになったとは、実に、面白いし、大きな映画会社に、就職していたら、きっと、そうしたきっかけはなかったのかも知れない。そういう意味からすれば、何が、遠回りで、何が、近回りなのか、人生分からない物である。しかも、監督になってからも、むしろ、俳優に、監督業を、カットのタイイングや間の取り方を学んだとは、教えた俳優の方は、余程、頭にきたのであろうが、(もっとも、実は、教えてはくれなかったらしいが、、、、何が、悪いのかを教えてくれなかったらしい。)それを「学ぶ」と言う形で、自分のノウハウにまで、昇華してしまった能力は、並のモノではない神経の図太さである。やはり、体育会系の激しいトレーニングの精神修養のたまものであろう。
CMが、ついてくることの重要性と言い、映画を見る貰う人の側に、すり寄ると言い方は、悪いが、自らを一人一人の観る側に、聴く側に、自らを置いて、制作に当たるようになる。一種の配給する、上映・流通させる革命みたいな物であろう。そうすると、大手も、成功を目の当たりにして、自ずと、すり寄ってくる物であり、地方の映画館にも、儲けを戴けるのであれば、そうした地域の映画を、掛けてみようかという機運も自ずから出てくるという。やがて、ロケの必要性を疑うところから、逆に、ロケの仕組みそのものの改革、エキストラの使い方(飽くまでも、本当は、エキストラその他ではなくて、登場する俳優の一人として)、主演・脇役なども含めた俳優の登用の仕方、所謂、売れている俳優ではなくて、使えそうな本当にやる気のある、切羽詰まった俳優達、具体的に、何人かの俳優を具体名で挙げていたが、、、、監督自身の立ち位置も含めて、ここまで来ると、これまでの製作=配給=宣伝などの別々な分業ではなくて、手売の販売促進活動も含めて、すべて、下から上まで、垂直統合的に、新しいビジネス・モデルを創り出して、映画配給の風穴を開け始めているということではないのか?
どうやら、地域活性化などと言うものは、ロケ場所の誘致とか、如何に、金が落とせる仕組みを作り出すかではなくて、話題性との関係性において、如何に、その地域の人間が、関連づけられるのか、意識が変革されるのか?地域だけで盛り上がっても、大都市では、全く、知られていないなどと言うことが、日常茶飯なことである以上、土地土地のその場所と人の繋がりこそが、重要であると、答は、未だ出ていないが、一つの方向性は、どうやら、展望できそうである。何もエキストラだけではなくて、ボランティアであってもよいが、無償奉仕という形での技術スタッフへのアシスタントとして、映画つくりへ参加することも、又、新しいフィルム・コミッションの在り方でもあるのかもしれない。又、新たな時代劇などの作品つくりで、どういった新たな斬新な映画つくりのビジネス・モデルを提起してくれるのか、楽しみである。なかなか、ユニークな地方都市の活性化、まちづくりへの住民の参加の仕方が、改めて問われている講演であったと思う。俳優で映画を観るタイプか、それとも、監督の作品中心で、観るのか?今回は、どうやら、監督中心で、観てみることにしよう。デジタル化に伴うカメラなどのハード面での研究、音声・照明などのカイゼン、そして、編集などの後工程での合理化などは、やはり、新しい世代でないと、なかなか、出来ないことなのかも知れない。
参考サイト:
http://www.kfcmovie.com/