【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

新アプリ

2014-08-08 06:51:44 | Weblog

 スマホなどに組み込んで身近に持ち歩くことができる放射線測定アプリって、今の技術では無理ですか? あったら今の日本ではいろいろ手軽に役に立ちそうですが。

【ただいま読書中】『麻酔はなぜ効くのか? ──〈痛みの哲学〉臨床ノオト』外須美夫 著、 春秋社、2013年、1900円(税別)

 手術はコワイものですが、実は麻酔もコワイものです。本書は麻酔科の教授が、麻酔の現場で感じたことを綴ったエッセイ集です。
 私が印象的だったのは、寝たきりで意識ももうろうとしている老人の足の手術で、麻酔科の担当医が「このように弱った人の麻酔の危険性」を説明したら家族が「だったら手術はやめよう」となったエピソードです。考えてみたら、何のための足の手術だったんだ、ということなんですよね。寝たきりだから足を手術しても歩けるようになるわけではないのですから。
 経歴の長い人ですから、麻酔自体の変化についても実感を込めて書いておられます。ただ、麻酔薬や麻酔方法の進歩で安全性は以前よりははるかに向上はしていても、「100%安全な麻酔は存在しない」ことを忘れてはいけない、という叙述も印象的です。
 麻酔事故などなかなか深刻な話が多いのですが、中には「手術中に患者の回し蹴りから術者を守ることが麻酔医の使命」なんて手術も紹介されていて、思わず情景を想像してしまいましたよ。いや、もちろん患者が意識的に回し蹴りを放つわけではないのですが。
 私は「手術が必要になった」というだけである種の覚悟をしなければならない時代に育ちましたが、今は「治療をしたら助かるのが当たり前」という“常識”の時代になっているようです。だけど、たとえ時代が変わっても、手術も麻酔も「危険な行為」であることは変わらないはず。だから2年前に自分が手術を受けるときには、手術事故や麻酔事故の可能性をコミで覚悟をして私は手術の承諾書にサインをしました。幸いこうして今も元気で生きていますが。
 そうそう、「麻酔はなぜ効くのか?」の質問に対する著者の答えは「わからない」だそうです。