長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」

三味線の音色にのせて、
主に東経140度北緯36度付近での
来たりし空、去り行く風…etc.を紡ぎます。

時雨西行

2010年04月01日 01時02分15秒 | お稽古
 山頭火の「うしろ姿の時雨ていくか」は、雲水の峻厳な果てしない旅程を感じさせて、時雨どきの寒々とした季節感がしみじみと偲ばれるけれども、同じ雲水の西行法師をモチーフにした長唄『時雨西行』は、その曲調の優美さもあるのか、なぜだか、花散る宵のイメージがある。
 昔、玉三郎が、歌舞伎座で勤めたときに、桜の花びらが散っていたような記憶もある。夢枕獏が大和屋のために書き下ろした芝居と、記憶が錯綜してしまったかもしれない。
 今日は旧暦だと如月の十六日。
 西行が「願わくば花のもとにて春死なむ その如月の望月のころ」と歌った、そんなころ。
 春爛漫と桜が咲きそろうのと、月が満月になるのと、同時にやってくる年はそうそうないから、今年はとても西行法師を偲ぶのによいめぐり合わせなのだ。
 
コメント
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