先日、友人の激励会で小林旭の「自動車ショー歌」を久しぶりに歌っていて想い出した。
「ミラン憎けりゃオペルまで憎い」といった心情に陥らせた、あの怒涛のカルチョ三昧の日々を。当時、ミランのユニフォームには、スポンサーの、丸に二引き崩し、いや、ての字とでもいおうか、たなびく一本霞のようなマークがもれなくついていた。和の文様にたとえるとエ霞に似ている。
サッカーの試合は二時間もあれば決着がつくのが有難い。…とか言いながら、あぁ、二時間あったら道成寺が二回さらえる…とか自責の念に駆られながら、深夜とも明け方ともつかぬ午前三時に起きだして、チャンピオンズ・リーグのライヴ中継を観ていた。
人間とは、執着するものができると、思いもかけない変な行動に出てしまうものだ。
『南国太平記』を現代に。
エル・ブランコ鍋で調伏の醍醐味を覚えてしまった私は、次なる相手、同じイタリアはセリエAのミランを叩きのめすべく、新たなメニューを編みだした。
ミランのチームカラーは赤と黒。
そこで今度は、食材のありとあらゆる赤いものを入れて、ロッソ鍋をつくった。
人参、トマト、赤玉ねぎ、赤ピメント、赤身の牛肉、赤ワイン…ボルシチと似たようなもんだから、ベースはビーツ。しかし、これがちょっとまずかった。缶詰のビーツが土臭い。
こりゃー、完食は無理だなー、と思った私は、よっしゃ、ボルシチにはサワークリームでしょう、と白いクリームを赤いところへ落としてみた。日の丸のネガのようになってしまった。なんだかいやな予感がした。
結局、私は調伏に失敗した。
敵に塩を贈るどころか、紅白まんじゅうをはなむけに贈ったような塩梅になってしまった。ユヴェントスのチームカラーは白と黒。
鯨幕と紅白幕じゃ、不祝儀のほうが分が悪いよね…とか、妙な落とし噺にして、お茶を濁しながら、私は肩を落とした。
「ミラン憎けりゃオペルまで憎い」といった心情に陥らせた、あの怒涛のカルチョ三昧の日々を。当時、ミランのユニフォームには、スポンサーの、丸に二引き崩し、いや、ての字とでもいおうか、たなびく一本霞のようなマークがもれなくついていた。和の文様にたとえるとエ霞に似ている。
サッカーの試合は二時間もあれば決着がつくのが有難い。…とか言いながら、あぁ、二時間あったら道成寺が二回さらえる…とか自責の念に駆られながら、深夜とも明け方ともつかぬ午前三時に起きだして、チャンピオンズ・リーグのライヴ中継を観ていた。
人間とは、執着するものができると、思いもかけない変な行動に出てしまうものだ。
『南国太平記』を現代に。
エル・ブランコ鍋で調伏の醍醐味を覚えてしまった私は、次なる相手、同じイタリアはセリエAのミランを叩きのめすべく、新たなメニューを編みだした。
ミランのチームカラーは赤と黒。
そこで今度は、食材のありとあらゆる赤いものを入れて、ロッソ鍋をつくった。
人参、トマト、赤玉ねぎ、赤ピメント、赤身の牛肉、赤ワイン…ボルシチと似たようなもんだから、ベースはビーツ。しかし、これがちょっとまずかった。缶詰のビーツが土臭い。
こりゃー、完食は無理だなー、と思った私は、よっしゃ、ボルシチにはサワークリームでしょう、と白いクリームを赤いところへ落としてみた。日の丸のネガのようになってしまった。なんだかいやな予感がした。
結局、私は調伏に失敗した。
敵に塩を贈るどころか、紅白まんじゅうをはなむけに贈ったような塩梅になってしまった。ユヴェントスのチームカラーは白と黒。
鯨幕と紅白幕じゃ、不祝儀のほうが分が悪いよね…とか、妙な落とし噺にして、お茶を濁しながら、私は肩を落とした。