第86回愛知中央メーデー
内閣府が「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」を掲げてから、8年が経った。最近では、政府が企業に対し「有給休暇の消化義務付け」を図るなどの動きもあるが、現実は厳しい。不動産情報を手がけるオウチーノ(本社・東京)が、20~39歳の独身男女662名にウェブアンケートを行なったところ、約9割が「仕事とプライベートを両立したい」と考えている一方、「仕事とプライベートを両立できていない」との回答が50.7%を占めた(「『ワークライフバランス』に関するアンケート調査」)。「仕事とプライベートの両立」については、「できている」が11.4%、「まあまあできている」が37.9%と多数を占めたものの、「あまりできていない」人も35.3%と3人に1人以上、「全くできていない」も15.4%と6人に1人いた。
現在「恋人がいる」人のうち、仕事とプライベートを「両立できている」人は59.9%と、全体平均よりも高かった。一方で「恋人がいない」人のうち、「両立できている」人は44.2%で、恋人の存在が「ワークライフバランス」に良い影響を与えているのかもしれない。
「仕事とプライベートが両立できている」人に、その理由を自由に答えてもらったところ、「残業がなく趣味が充実しているから」(28歳女性)、「
独身男女、「ワークライフバランス実現できている」半数に満たず
現在「恋人がいる」人のうち、仕事とプライベートを「両立できている」人は59.9%と、全体平均よりも高かった。一方で「恋人がいない」人のうち、「両立できている」人は44.2%で、恋人の存在が「ワークライフバランス」に良い影響を与えているのかもしれない。
「仕事とプライベートが両立できている」人に、その理由を自由に答えてもらったところ、「残業がなく趣味が充実しているから」(28歳女性)、「
独身男女、「ワークライフバランス実現できている」半数に満たず
社長はリストラ部屋を見たか
(文・清武英利)
苦しくてもその仕事に目的や意味があれば、人は耐えることができる。残業や徹夜続きでも、サラリーマンは何とか我慢して生きていくものだし、時には、「楽しくてたまらない」という者も現れる。
では、「ここで君にはやるべき仕事はない。辞めるまで給料は出す」と上司に告げられたらどうだろうか。
「頑張る必要はない。努力するとしたら、この会社を出ていく努力だよ」と。
「リストラ部屋」の人々はそんな通告を受けて、「キャリア開発室」という名の部屋に収容されている。表向きは「社員がスキルアップや求職活動のために通う部署」と説明されていたが、実際は仕事だけでなく働く意味や目的を奪われ、会社から出ていくことを期待されている面々だ。
そんな彼らを訪ね、聞き取りを始めたのは2012年秋のことである。
ソニーの友人たちが次々にリストラの対象になっていくのを見て、私は不思議に思っていた。ソニーは、創業者の一人である盛田昭夫氏が、「わが社はリストラをしない」という趣旨の宣言をしていた会社だったからだ。
これは近著『切り捨てSONY リストラ部屋は何を奪ったか』にも記したことだが、志の高い大企業経営者が従業員に寄り添う時代があったこと、そして後継者はその創業者が亡くなると、時として十分な説明もなく終身雇用の方針を大転換することを思い起こしていただきたいので、あえてここにも書く。
盛田氏は欧米の経営者を前に、しばしば「経営者はレイオフの権利があるか」と訴えた。その講演の一部を、彼の著書『21世紀へ』(WAC)から引く。
「あなた方は、不景気になるとすぐレイオフをする。しかし景気がいいときは、あなた方の判断で、工場や生産を拡大しようと思って人を雇うんでしょう。つまり、儲けようと思って人を雇う。それなのに、景気が悪くなると、お前はクビだという。いったい、経営者にそんな権利があるのだろうか。だいたい不景気は労働者が持ってきたものではない。なんで労働者だけが、不景気の被害を受けなければならんのだ。むしろ、経営者がその責任を負うべきであって、労働者をクビにして損害を回避しようとするのは勝手すぎるように思える。われわれ日本の経営者は、会社を運命共同体だと思っている。だから、いったん人を雇えば、たとえ利益が減っても経営者の責任において雇い続けようとする。経営者も社員も一体となって、不景気を乗り切ろうと努力する。これが日本の精神なのだ」
これは2000年に、石原慎太郎氏や小林陽太郎元経済同友会代表幹事、キッシンジャー元米国務長官の推薦を受けて出版された本だ。小林氏はその後、ソニーの取締役会議長にも就いている。
だが、そのソニーは出版の前年の1999年3月から現在まで計6回、公表されただけで計約8万人の従業員を削減している。
若い新聞記者や忘れっぽい記者はリストラに寛容だが、少し前までは日本経済新聞でさえ、無計画な採用の末、人減らしに狂奔する大企業の姿勢を厳しく批判していたのだ。
ソニーは「理想工場」を目指した会社として知られている。普通の感覚ならば、そんな会社がなぜ、17年間も延々とリストラを続けるのか、後継者たちは何をしていたのか、最近の経営陣が厳しいリストラの一方でどうして巨額の報酬を取れるのか、疑問に思わない者はいないのではないか。
リストラの渦に巻き込まれた中には以前、ソニー広報部からも「ソニースピリッツを持ったエンジニア」と紹介され、私自身が取材した社員も含まれている。「リストラをしない」はずの会社で、その会社のお墨付きを受けたエンジニアたちが早期退社していくのを見て、「なぜだ?」と問いかけをしない記者はいないに違いない。
ほかにも私を取材へと引き寄せたことがある。
私は、リストラ部屋の取材を始める前に、「辞めても幸せ」という、今から考えると何とも曖昧なテーマで、ソニーの元サラリーマンたちを取材していた。
会社を辞めてなお、「私は幸せに生きている」という元サラリーマンたちに、「あなたは会社のなかで何を支えに生き、組織を離れた後、本当に幸せに暮らしているのか」と聞き歩いていたのだった。ソニーを選んだのは、そこに友人が多く、実際に「辞めても幸せ」と答える人が多かったからだ
なぜソニーは終わりのない「リストラ地獄」に陥ったのか。『しんがり 山一證券 最後の12人』の著者が描く、会社人の苦しみと誇りと再生の物語
(文・清武英利)
苦しくてもその仕事に目的や意味があれば、人は耐えることができる。残業や徹夜続きでも、サラリーマンは何とか我慢して生きていくものだし、時には、「楽しくてたまらない」という者も現れる。
では、「ここで君にはやるべき仕事はない。辞めるまで給料は出す」と上司に告げられたらどうだろうか。
「頑張る必要はない。努力するとしたら、この会社を出ていく努力だよ」と。
「リストラ部屋」の人々はそんな通告を受けて、「キャリア開発室」という名の部屋に収容されている。表向きは「社員がスキルアップや求職活動のために通う部署」と説明されていたが、実際は仕事だけでなく働く意味や目的を奪われ、会社から出ていくことを期待されている面々だ。
そんな彼らを訪ね、聞き取りを始めたのは2012年秋のことである。
ソニーの友人たちが次々にリストラの対象になっていくのを見て、私は不思議に思っていた。ソニーは、創業者の一人である盛田昭夫氏が、「わが社はリストラをしない」という趣旨の宣言をしていた会社だったからだ。
これは近著『切り捨てSONY リストラ部屋は何を奪ったか』にも記したことだが、志の高い大企業経営者が従業員に寄り添う時代があったこと、そして後継者はその創業者が亡くなると、時として十分な説明もなく終身雇用の方針を大転換することを思い起こしていただきたいので、あえてここにも書く。
盛田氏は欧米の経営者を前に、しばしば「経営者はレイオフの権利があるか」と訴えた。その講演の一部を、彼の著書『21世紀へ』(WAC)から引く。
「あなた方は、不景気になるとすぐレイオフをする。しかし景気がいいときは、あなた方の判断で、工場や生産を拡大しようと思って人を雇うんでしょう。つまり、儲けようと思って人を雇う。それなのに、景気が悪くなると、お前はクビだという。いったい、経営者にそんな権利があるのだろうか。だいたい不景気は労働者が持ってきたものではない。なんで労働者だけが、不景気の被害を受けなければならんのだ。むしろ、経営者がその責任を負うべきであって、労働者をクビにして損害を回避しようとするのは勝手すぎるように思える。われわれ日本の経営者は、会社を運命共同体だと思っている。だから、いったん人を雇えば、たとえ利益が減っても経営者の責任において雇い続けようとする。経営者も社員も一体となって、不景気を乗り切ろうと努力する。これが日本の精神なのだ」
これは2000年に、石原慎太郎氏や小林陽太郎元経済同友会代表幹事、キッシンジャー元米国務長官の推薦を受けて出版された本だ。小林氏はその後、ソニーの取締役会議長にも就いている。
だが、そのソニーは出版の前年の1999年3月から現在まで計6回、公表されただけで計約8万人の従業員を削減している。
若い新聞記者や忘れっぽい記者はリストラに寛容だが、少し前までは日本経済新聞でさえ、無計画な採用の末、人減らしに狂奔する大企業の姿勢を厳しく批判していたのだ。
ソニーは「理想工場」を目指した会社として知られている。普通の感覚ならば、そんな会社がなぜ、17年間も延々とリストラを続けるのか、後継者たちは何をしていたのか、最近の経営陣が厳しいリストラの一方でどうして巨額の報酬を取れるのか、疑問に思わない者はいないのではないか。
リストラの渦に巻き込まれた中には以前、ソニー広報部からも「ソニースピリッツを持ったエンジニア」と紹介され、私自身が取材した社員も含まれている。「リストラをしない」はずの会社で、その会社のお墨付きを受けたエンジニアたちが早期退社していくのを見て、「なぜだ?」と問いかけをしない記者はいないに違いない。
ほかにも私を取材へと引き寄せたことがある。
私は、リストラ部屋の取材を始める前に、「辞めても幸せ」という、今から考えると何とも曖昧なテーマで、ソニーの元サラリーマンたちを取材していた。
会社を辞めてなお、「私は幸せに生きている」という元サラリーマンたちに、「あなたは会社のなかで何を支えに生き、組織を離れた後、本当に幸せに暮らしているのか」と聞き歩いていたのだった。ソニーを選んだのは、そこに友人が多く、実際に「辞めても幸せ」と答える人が多かったからだ
なぜソニーは終わりのない「リストラ地獄」に陥ったのか。『しんがり 山一證券 最後の12人』の著者が描く、会社人の苦しみと誇りと再生の物語
ファストフード店労働者らが「時給1500円」を求めたデモが話題となりました。このデモは、最低賃金15ドルを求める世界的なキャンペーンの一環です。日本の最低賃金は780円(全国平均)と諸外国と比べて低い水準ですが、一方で物価を考慮すると大きな差はないとの指摘も。あなたは日本の最低賃金は高いと思いますか、低いと思いますか?(設問提供:みんなの政治)
※コメント内容は「みんなの政治」で匿名で紹介させていただく場合があります。
意識調査:日本の最低賃金、高い?低い?
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意識調査:日本の最低賃金、高い?低い?